【R18】婚約破棄された転生聖女は魔の森に捨てられる~ヤンデレ黒の魔王が溺愛してくるけどどうしたらいいですかッ!?~

弓はあと

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 ヴェルク様に抱きしめられたままマントから顔だけピョコリと出すと、そこは元いたヴェルク様の部屋のベッドの上だった。

 アリアはまだスヤスヤと寝ている。傍らにはハシビロコウのファロスがいた。


 「ギョ……」と口を開きかけたファロスが慌てて口を噤む。
 ヴェルク様が人差し指を唇にあてて、黙るように無言で伝えたから。
 「ふぇ」とアリアが声を上げたのでドキリとしたけれど、少し経つと再び寝息が聞こえ始める。


「ファロス、アエルがおねしょをしてしまったようだ。着替えさせて、そのままここで一緒に寝ていてくれないか。我たちも着替えてくるから」


 小さな声でヴェルク様がファロスに伝える。そしてマントの中からアエルを解放すると頭を撫でて「大丈夫、我も小さな頃はしたぞ」と宥めるように言った。

 確かにアエルのズボンがぐっしょりと濡れている。恐らく抱っこしていたヴェルク様の服も濡れてしまっているだろう。
 それにデセーオ殿下のクローゼットには、きっと小さな水溜まりができているに違いない。大丈夫かしら。


 アエルが服を着替える間も、私の身体はヴェルク様に抱きしめられマントに包まれたまま。
 そしてアエルが着替え終わると同時に、私とヴェルク様のまわりで転移魔法の光が煌めきだした。



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