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しおりを挟む『なあ、おっぱい揉まれて、気持ちよかっただろ』
この声……!?
『今度は俺が気持ちよくなる番。テータ、口で、して』
『いいわよ、その代わり早く陛下に私を婚約者だと紹介してね、デセーオさまぁ』
やはり、デセーオ王太子殿下と聖女のテータ様!?
そういえば私のまわりにある衣装、よく見たら殿下のかも。
普段あまり殿下のお姿をじっくりと見ないから、全然気が付かなかったけど。
ここ、デセーオ殿下のお部屋なの!?
『わかったから。早く咥えて』
ペチャ……ヂュプ……と微かに聞こえる水音がやたらとうるさく感じる。
アエルが寝ていてくれてよかった。こんなの聞かせる訳にいかない。
だけど……よく考えたらアエルだって、魔物といえば魔物。
なのに王城の、しかも王太子の部屋へ入り込めるなんて、結界の状況はどうなっているの?
テータ様、夜会が終わった後、ちゃんと夜の祈りは捧げましたか!?
『そろそろ欲しいだろ。挿れてやるよ』
『え、まだあんまり濡れてないんだけどぉ』
『あー』
やる気のなさそうなデセーオ殿下の、ため息まじりの声が響いた。
『なら、これ使うか。この前、城に出入りする商人から買ったローション。口止め料も含めるとけっこう高かったから、少しだけだぞ』
『ふふ、王太子が結婚前にこんなの使ってるなんて知られたら大変だものねぇ。しかもこの時間帯の見回り兵まで口止めしないとだし。全部でいくら使ってるのぉ?』
え? 耳を疑うような値段が聞こえた気がするけれど、聞き間違いかしら。
『うわぁ、デセーオ様ってお金持ちなのねぇ』
『惚れ直しただろ。ほら、尻こっちに向けろよ、塗ってやるから』
いいえ、お金なんてないはずですよ!?
クルーティス王国は裕福な方だと思うけれど、それは国の話であって、王室が自由に使えるお金ではない。
陛下はご自身をも律することができる方で、私欲のための無駄遣いを許す方ではないし。
自由に使えるお金をデセーオ殿下に与えるなんてことは、絶対になさらないはず。
それならその自由に使えるお金は、いったいどこで手に入れたのですか、殿下!?
『あー、うしろから胸揉みながらヤるの、さいこー』
サイテーなセリフに耳を疑う。
あなたは一国の王太子ですよ、デセーオ殿下!!
女性との営みに使うローションと、口止め料に使うお金は、いったいどこから!?
ああ、頭に血が上っていたのかもしれない。
自分のまわりの状況を、把握できていなかったなんて。
――誰ッ!?
背後に何者かの気配を感じた時には遅かった。
――ッ――!?!?
裸の身体を後ろから抱きしめられるように拘束され、声を発する間もなく大きな手で口を塞がれる。
振りほどこうと身体を捩らせたけれど、びくともしない腕から逃れることはできなかった。
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