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創一郎のバレンタインデー(嬉し恥ずかし編)
しおりを挟む「ただいま」
「おかえりなさい、創一郎さん」
花が玄関で出迎えてくれる。
これだけで一日の疲れも吹き飛ぶから不思議だ。
今日はバレンタインデー。
先ほどの電話で花からチョコ無い宣言をされた時はショックだったけれど、帰ってすぐに花に会えて癒されたから、まぁいいか。
「はい、これ。いつもありがとう」
フラワーアレンジメントの入った紙袋を渡す。
紙袋を覗き込んだ花は、わぁ、と嬉しそうな声をあげてとびきりの笑顔を見せてくれた。
中にはハート形のボックスに入った赤とピンクベースの可愛らしいフラワーアレンジメントが入っている。
けれど笑顔を見せてくれた花が、すぐにフッと暗い表情になった。
「花、どうした?」
「ごめんなさい、私、バレンタインの用意ができてなくて」
落ち込む様子が可愛くて、玄関でギュッと抱きしめ頭をポンポンとする。
ん……?
「なんか、甘い匂いがするけど?」
明らかに、チョコレートの匂い。
「あの、すぐに片付けますっ」
リビングの方へ慌てて戻る花をすぐに追いかけた。
花はリビングの横のキッチンへと入っていく。
キッチンに立つ花の前には、溶けたチョコの入ったボウルやケーキの焼き型など、お菓子作りの材料と道具が並んでいた。
「ガトーショコラを作ろうと思ったんですが、毎回失敗してしまって出来上がりがカチコチで。やり直してたところだったんです」
申し訳なさそうに花が俯く。
「この一週間毎日練習したけど、どうしても上手くいかなくて」
思わず口元を左手で覆う。
少しでも気を緩めると顔がにやけてしまいそうだ。
一週間毎日練習? 俺のために!?
どうしよう、嬉しすぎる。
ゆっくりと深呼吸をしてからキッチンへ行き、花の隣に立つ。
「ありがとう、花。失敗しててもいいよ、食べたいから頂戴」
「もう、無いです」
「え? 全部ないの?」
「はい、全部ないです」
え、無い? 誰かにあげたのか? 花の手作りを? まさか、男に?
胸の奥にモヤモヤとどす黒い気持ちが沸いてくる。
「お昼ご飯と夕食代わりに食べたので」
あ……
この一週間、ランチを断られ続けたのはその理由か?
カチコチになったガトーショコラをショボンとしながら食べる花の姿を思い浮かべたら、愛おしすぎてどす黒い思いが瞬時に消えた。
花の背後に立って、後ろから手を伸ばし俺のに比べると細すぎるくらいの手首を右も左もそれぞれ握る。
「花、手、両方とも人差し指だけ伸ばして“1”の形にして」
「え? は、はい」
花が素直に、両手とも人差し指だけを伸ばす。
指差し確認でもするかのように。
「このチョコ、熱くはない?」
「熱くないですよ」
俺は花の身体のうしろから掴んだ手首を操作して、まっすぐ伸ばされた花の人差し指をチョコレートの入ったボウルに挿し込んだ。
両手同時に、花の人差し指の第二関節くらいまで使ってチョコをすくう。
垂れない程度にトロリとしたチョコが、花の両手の人差し指についた。
手首を掴んだまま、花の右手を俺の口元へ持っていく。
人差し指が、唇に触れるか触れないかのところまで。
「舐めていい?」
途端に花の頬が赤く染まる。可愛い。
「指についたのじゃなくて、こっちにたくさんありますよ」
花が軽く人差し指を曲げ、ボウルの方を指差した。
「こっちがいい」
「指舐められるなんて、恥ずかしいです」
「舐めさせて」
花、俺に許可を。
甘えたくて、少しでも多く触れていたくて、花の頭に頬ずりする。
今日一日がんばったご褒美が欲しいな、花。
「いい?」
躊躇いながら頷くように、花の頭が僅かに動いた。
「……いい、ですよ……ひゃぁっ!?」
花の背中と膝裏に腕をまわしてふわりと抱き上げる。
そのまま寝室へ向かい、花の身体をベッドの上にそっと横たえた。
花はチョコを垂らさないように気を遣っているのだろう、ベッドと垂直になるように肘を曲げ、両手とも天井を指差すように人差し指を上に向けている。
そんな花の両手首を掴んで唇にキスをした。
作っている時にチョコの味見でもしたのか、花の口の中がほんのり甘い。
美味しいから口内を余すところなく丁寧に舐めた。
「ん……ふ、ゥン……」
花の口から漏れる吐息も、蕩けそうなくらい甘い。
ゆっくりと唇を離して見下ろした花の目は、熱を帯びたようにトロンと潤んでいた。
身体の奥がゾクリと疼く。
「そ、創一郎さん、舐めないんですか?」
花が戸惑った様子でチョコレートのついた人差し指へチラリと視線を送る。
「舐めるよ、いっぱい。花に舐めてもいいって許可を貰えたからね」
花の服の上から、胸の先端を指でクリクリと転がす。
「ぁ……ッ」
「まずはここから、舐めてみようか」
花が大きく目を見開いた。
「え、な、舐めるってチョコのことじゃ?」
「俺はそんなこと言ってないよ。舐めていい?って聞いただけ」
「ま、待って」
「待てない。今日はもうたくさん待った。ずっと待ってた」
「え? ええ!? ァ、ゃッ、ン」
花のチュニックを捲り、ブラのホックをプツンと外して露わになった胸の尖端を口に含む。
チョコレートを舐めるように舌で転がした。
花は家ではチュニックの下にスキニーを穿かないから、下半身はもうショーツと靴下だけ。
スッとショーツに指を忍ばせ敏感な部分をくすぐってみると、クチュ……と水気を帯びた音がした。
「ぃ、ゃぁ……」
「花、下着濡れちゃうから脱がせるよ。ああ、そうだ、次はここを舐めよう」
花が次に何をされるかよくわかるように、陰核の皮をクニュクニュと優しく剥いていく。
「だ、め、そこ、汚い、から」
花が抵抗するように身体を捩らせる。
でも指にチョコをつけているから手でどこかに触ることができず、上手く抵抗できないみたいですんなりとショーツを脱がすことに成功した。
剥き出しになった陰核を指の腹で優しく虐めながら片方の乳首を指で、もう片方を舌で愛撫する。
「そ、いち、ろ、さん。どっか、つかみ、たい、の」
ああ、何も掴めないと力が入らないから、快感を逃せなくてつらいのかもしれないな。
「右手のチョコ舐めていいよ、花。左手は俺に頂戴」
花の口元へ指を持っていってあげる。
花が自分の指を咥えるのと同時に、陰核を撫でていた指を一本、くぷ、と穴へ滑らせた。
陰核とナカを擦る俺の指に悶えながらちゅぶちゅぶ指をしゃぶってる花が、淫らで可愛くて。
その姿を眺めながら、チョコを纏った花の左手の人差し指を口に含み舌を絡ませる。
今までに食べたことのあるどのチョコよりも、一番甘い味がした。
花の両手が自由になりシーツをギュッと掴んで快感を逃せるようになったから、もう遠慮せずに花の脚の付け根に顔をうずめる。
「ぁ、ぁ、ァアッん!」
溶けたチョコのようにトロトロに蕩けた花のナカを、奥の奥まで貪るように美味しくいただいた。
疲れ切った様子で微睡んでいる花の頭を撫でる。
ふんわりと指に絡んでくる髪が愛しくて。
至福の時間だ。なんて幸せなバレンタインデー。
「花、ホワイトデーに何が欲しいか考えておいて。したい事でもいいよ」
服かな、靴かな、アクセサリーでもいいし。
それとも、花は物じゃなくて、食事とか旅行とか?
「今何か、思いつくものある? 予約が必要ならしておくから」
もぞもぞと動いて、花が俺の胸に顔をうずめてきた。
ん? なんだか言いにくそう?
花にしては珍しく高価なものだったりするのか?
そっと花の身体を抱きしめる。
「何でもいいよ、教えて。何が欲しい?」
「創一郎さんの……」
「ん? 何?」
教えて、花。
どんな願いでも、叶えてあげたい。
「創一郎さんのこと、たくさん舐めさせてほしいです……」
どうしようもなく身体が熱くなって、溶けてしまうかと思った。
ごめん、花。今日はもう一度食べさせて。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【お知らせ】
閲覧ありがとうございます。
このたび新たにエタニティの小説を投稿しました。
タイトルは
『【R18】お兄ちゃんと契約結婚!?~不感症でオタクなちょいぽちゃの私がスパダリ御曹司に溺愛されて恋愛フラグ争奪戦~』
になります。
また、以下の小説も連載中です。
(ノーチェ作品)
『【R18】婚約破棄された転生聖女は魔の森に捨てられる~ヤンデレ黒の魔王が溺愛してくるけどどうしたらいいですかッ!?~』
(レジーナ作品)
『悪役令嬢は婚約破棄されて破滅フラグを回収したい~『お嬢様……そうはさせません』イケメンツンデレ執事はバッドエンドを許さない~』
もしお時間がありましたら、拙作ではありますが、物語の世界に遊びにいらしてください。
心よりお待ちしております。
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