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創一郎へのプレゼント(クリスマスの季節ではありません)

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「ただいまー」

 ……………………
 ……………………
 ??

 ? 花の返事がない?
 いつもなら『おかえりなさい』って玄関まで迎えに来てくれるのに。

 時計を見ると、時刻は午後9時をまわったところ。

 夕食後、ふと気になった書類があって会社へ取りに戻った俺。
 その間に出かけたのか、花? コンビニへ買い物とか?
 もう遅いし、外にいるなら迎えに行かないと。

 花に電話をかけながらリビングのドアを開けると、ローテーブルの上で震えている花のスマホ。

 あれ? スマホがある?


 そこで異変に気がついた。


 ソファのすぐ後ろで揺れている……
 ……………………
 ……………………
 白いポンポンがついた、赤い三角帽子。

 へ? サンタクロース??

 いや、今日はクリスマスではない。

 音を立てないようにソファに座りながら、三角帽子の正体を突き止めるためソファの後ろを覗き込む。

 ……………………
 ……………………
 思わず自分の目を疑った。

 我が家にあわてんぼうのサンタクロースが来たのだろうか。
 これは、日頃がんばっている俺へ神様からのプレゼント?
 それとも、天使が迷い込んだだけなのか。
 
 ソファの後ろに隠れていた天使のようなプレゼントを、ヒョイと持ち上げて自分の膝にのせながらソファに座る。

 俺の膝に可愛らしく座っているのは、胸のところがハート型になっている白いエプロンをつけて赤いサンタ帽子をかぶった花。

 俺は夢でも見ているのだろうか? それとも幻覚か?

 花、もしかして、リボンとレースがたくさんついたフリフリのエプロンの下には、何も着ていない?


「お、おかえりなさい、創一郎さん」


 頬を赤く染めて恥じらうような声で話す花が可愛すぎて、思わずぎゅうぅぅと抱きしめた。

 そして、気づく。

 抱きしめたことで見えたのは、俺の欲望を爆発させる威力を持つ、花の後ろ姿。

 首と腰のところで結ばれたリボン以外は、剥き出しになった花の肌。

 通常なら見ることのない背骨のライン、柔らかさが伝わってきそうな、お尻の丸み。


「花、この格好、どうして……」

「あの、あのあの、スージーさんからの手紙に、素肌に直接エプロン1枚だけで着ると創一郎さんが喜ぶからって、書いてあったので……」


 スージー? ああ、源太か。
 いや、喜ぶっていうか、そんな可愛い感情では済まない。

 獣のように花に襲いかかりたい衝動と、必死に戦う俺がいた。

 欲望にまかせてこのまま花の身体を貪りたい。
 花の生理もそろそろ終わるはず、今すぐ花のナカに挿れて、果てたい。

 ……いや、ダメだ。
 初めての性交渉からだいぶ日にちも経っているし、ガツガツと乱暴にしたら花に痛い思いをさせてしまう。

 でも、今にも理性が吹っ飛びそうで。
 花の妖艶な後ろ姿に気づいてしまった俺のモノはもう準備万端だし、好きな女のこんな姿見て、我慢しろなんて、そんな殺生な。

 くぅぅ、勝てるか? 俺の理性。


「くしゅんッ」


 花のクシャミで、一気に目が覚めた。
 大切な天使のようなプレゼントに、風邪をひかせるわけにはいかない。
 もらったプレゼントを乱暴に扱ったことでサンタの怒りを買って、世界中の子どもたちにプレゼントが届かなくなったりしても大変だ。

 ソファに置いてあったブランケットで、花の身体を包みこむ。
 本当は、もっと見ていたかったけれど。
 すっぽりとブランケットにくるまれた花は暖かそうで、その中がエプロン1枚だけなんて想像もできない。

 往生際が悪いことに、どうすれば花が風邪をひかずにもう一度ブランケットの中の秘密を垣間見ることができるか考えてしまう。
 自分の煩悩への情けなさで、はぁぁ、とため息をつく。
 先ほど眼に焼きついてしまった映像が頭から離れない。

 寝室なら脚に布団もかけられるし、ブランケットを取っても大丈夫だろう。
 よし、寝るまでの間、エプロン姿を見るのは少しだけ我慢だ。
 我慢した方がプレゼントの包みを開ける時の喜びも大きくなるから、と自分に言い聞かせる。


「創一郎さん、私、お風呂に入ってきますね」


 ?……ん!?

 花の言葉で、ハッとした。
 お風呂に入ったら、花の事だから絶対にエプロンを1枚だけで着けたりしない。
 裸のエプロン姿がどれだけ花を魅惑的にして俺を誘惑しているか、きっと気づいていないから。
 下手したら、これから先この格好をしてくれることもないかもしれない。


「ごめん、花、お風呂は明日の朝にしよう」


 え、と驚く花にチュッと軽くキスをする。
 大切に扱うと誓うから、プレゼントを開けることを許してほしい。
 ブランケットにくるんだ花を横抱きにして立ち上がり、寝室へと向かった。


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