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創一郎の自慰講座(実践編)

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 今日のお姫様はおいたが過ぎる。
 そんなことをしていると、手負いの獣に襲われるぞ。

 必死に堪えているこっちの身にもなってくれ。
 獰猛な姿になった俺の下半身を見せないように、悪戯をしていた花の左手を軽く握りながら、反対の腕で彼女の身体をぐっと抱き締めた。

「花、いいか、男が射精する時なんて、理性を無くした獣みたいになってる。そんな俺のこと、見たくないだろ」

 男がひとりでイク瞬間なんて、きっと身勝手に必死すぎて、見たら絶対に引く。
 好きになってもらうことができなくても、せめて嫌われたくはない。

「創一郎さんなら、どんな創一郎さんでもいいです。射精するの手伝わせてください」

 どんな俺でもいいって、そんなこと言われたら、自分にいいように解釈したくなる。

 勘違いするな、俺。
 花は俺のこと、格好悪くてもそのままでいいって言ってくれているだけ。
 特別な恋愛感情じゃなくて、いつもみたいに人間愛的なもので。

「そんな俺見たら、花、きっと俺のこと嫌いになるぞ」

 繋いだ手に、きゅっと力が込められた。

「創一郎さんだから嫌いにならない。大丈夫、理性を無くした獣みたいになってください」

 たぶん花は、言っていることの重大さに気づいていない。
 そんなこと言うと、獣に身を捧げてもいいって聞こえるぞ。
 他の男には絶対に、そんなセリフ言うなよ。

 はぁ、どうしたら、このお姫様は俺の射精を手伝いたいなんて、突拍子もないことを諦めてくれるんだろう。
 少し姫に呆れられても仕方がない。姫が嫌がるように仕向けるか。

「花、男はスケベだから、女に挿れないで射精する時はいっぱいエロいこと想像する。花の淫らな姿とか、俺が考えてたら嫌だろ」

「想像……は、嫌かもしれません」

 自分で話題を振っておいて、花の回答に一瞬ヒヤリとした。
 風呂場で俺、花の事考えながらシテるから。
 そうだよな、想像されたら嫌だよな。

 花、嫌だろ。
 自分の淫らな姿を想像されるなんて。
 エロいこと想像しながら自慰する俺なんて。

 だからもうやめよう。
 射精するところなんて、見たくないって言って。

「創一郎さんは目の前に私がいても、他の女の人のこと、考えたり、しますか?」

 目の前にいてもいなくても、花のこと考えてるけど。
 いつも花のことしか、考えてないけど。

「まぁ、目の前にいるから、花のことだけ、考えると、思う」
「創一郎さんの頭の中、淫らな私で、いっぱいにしたら、してくれますか? それともどこかに入れないと、できないですか?」

 意外なセリフに驚いて、花を抱きしめていた腕から少し力が抜けた瞬間、花の方から俺に唇を重ねてきた。
 びっくりして薄く口を開けると、さっき俺が花にしたように、今度は花が俺の口中へ深く舌を挿し込んでくる。

 今までもキスの時に、ふたりで舌を絡めたことは何度もあった。
 でも花が俺のテリトリーに侵入してくることは、無かったのに。

 花の舌は小さいから、どんなにがんばっても俺の口の奥まで届くことはない。
 それでも俺の理性へダメージを与えるには充分すぎる。

 花が、俺を求めている。

 ただ単に、俺の屹立を鎮めるための義務感からの行動なのかもしれないが、今だけは勘違いさせて欲しい。
 花に求められていると感じることが、絡められた舌以上に、俺を甘く痺れさせる。

 花……花ッ、俺の可愛いお姫様。
 もっと俺を求めて欲しい。
 俺の舌を捕らえようと一生懸命な花が愛しくて、幸せ過ぎて、蕩けそう。

 花の後頭部の髪を軽く掴む。もう一方の手は彼女の頬に添え、花が与えてくれる愉悦を貪った。

「……ッゥ……!」

 突然、ビリっと身体の中心に電流が流れたような衝撃が走る。
 甘い刺激で知らず知らずのうちに敏感になった俺の漲りに、何かが触れた。

 思わず唇を離すと、目の前にはお酒に酔ったかのように、少し火照った花の表情。

「創一郎さん……」

 耳が溶けそうなくらい、甘い、甘い、花の声。

 そして憤った俺の肉棒を、いい子いい子するように撫でる花の手。
 撫でられるたびに、背筋がゾクゾクした。

 ぅぁ……もう、無理。

 これ以上何かされたら、花のこと襲いそう。
 もう一刻でも早く、俺の欲望は発散させないと、危険。
 花を傷つけたりするくらいなら、嫌われた方がまだマシ。

「花……。一緒に、手伝って。お願い、俺のこと、イカせて」

 さっきしたように、花は俺の左腿に跨ったまま、肉棒を握った俺の手に、小さな手を重ねる。
 ふたりで重ねた手を、ゆっくりと動かす。

 あ……これだと最後、激しく動かしたら花の太腿に手が当たるかも……。
 
 花の白くて柔らかい肌を傷つけたくない。
 いつもよりもガバッと股を開いて、花の太腿を危険地帯から遠ざける。
 格好悪いけど、仕方がない。
 行為の時に脚を開かなくちゃいけない女性の恥ずかしさが、少し理解できた。

 花の右腕は俺の首に回させて、広く空いた脇の下から俺は左手を伸ばし、花の身体を抱き寄せる。
 こうすれば、グロテスクな現場は、花には見えない。

 花の身体、柔らかい。
 こんな風に、肌をくっつける日がくるなんて。
 髪の毛に軽く頬ずりする。あぁ、幸せだ。
 
 でも、愛しいお姫様をこんな労働から早く解放してあげないと。
 いつもよりも早いけれど、手の動きを増していく。
 
「花、だんだん動きが激しくなるから、手が痛くなったり、嫌になったりしたら、言って」

 俺の首に回された花の腕に、少し力が入る。

「創一郎さん、何かして欲しい事、ありますか」
「……時々、名前、呼んで……あと、どこでもいいから、キスして欲しい」

 花が俺の鎖骨にキスをして、ペロ……と舐めた。

「……ふッ……!」

 呼吸が、少しずつ速くなってくる。
 気持ちよさが、増してきた。

 ふと、左腿に感じる違和感。
 花の座っているところの、しっとりとぬめった感じが、最初にヌメリに気付いた時よりも、明らかに増えていた。

 花が……濡れてる。

 ドンッと肉棒に熱が集中した。
 花に悪いことを教えているような背徳感が、俺の興奮を後押しする。

「創一郎さん……」

 名前を呼ばれただけなのに、身体の奥が甘く痺れる。

 ぅわ、脳が、溶けそ……

「ハ、ナ、……こっち、む、いて……」

 唇を重ね、舌を絡ませた瞬間、ドピュッドピュッと欲望が解放されたのがわかった。

 いつもより、早……。

 呼吸の乱れを花に悟られないように、なるべくゆっくりと息を吐く。
 シャワーを出して、白い液体がかかってしまった花の手を洗った。

 花はくったりとして、少し酔っ払ったような感じに身体の力が抜けている。
 ふらついたので、グッと抱きしめた時に、俺の太腿で座っていた位置が滑った。

 ……ヌルっと、滑った。

 花、さっきよりも……濡れてる。
 
 俺がそばでシテたから……?
 触ったりしてないのに、こんなに濡れるくらい、欲情してるのか?
 そう、か……、花だってそういう気分になることくらい、あるよな。

 でも、花のこの欲情って、放っておいたらどうなる?
 このまま燻っていたら、勇太と会っている時に何かのきっかけで火が点いたりなんて……。

 これって今、発散して鎮めておかないと、危険なんじゃないか?

 俺の太腿と花の秘処のあいだに、ぬるッと指を2本差し淹れる。
 花の身体がビクンッと跳ねた。
 軽く指を動かすと、それだけでクチュと耳に届く花の音。

「花……」

 耳元で小さく囁いただけなのに、花は驚いたようにビクッと揺れる。

「花のココ、熱持っててこのままじゃ明日からつらいと思う。ベッドで少しだけ気持ちいいことすれば熱を逃せるから、そうさせて。絶対に、痛いことはしないから。いいね?」

 本当に小さく、震えるように花が頷いた。
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