悪役令嬢は婚約破棄されて破滅フラグを回収したい~『お嬢様……そうはさせません』イケメンツンデレ執事はバッドエンドを許さない~

弓はあと

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 再び足を踏み入れることができたメルヴェイユ王国。
 隣国とはいえ不穏な動きもあるため今までほとんど訪れた事が無かったのに。
 武術大会から帰ってまだそんなに日にちが経たないうちに再訪することになるなんて。

 昨日行われたマッジョルド第二王子の誕生パーティーは、それはそれは豪華絢爛で贅沢なものだった。
 第一王子派と第二王子派の勢力争いがあって情勢が不安定だという事を忘れてしまうほど、華やかな宴のひととき。
 私の住むアルアスラ王国への戦争を企てている者が第二王子側近にいるとは思えないくらい、表面上は平和そのもの。

 第一王子クルーフォス殿下の姿が無かった事で、派閥の対立は現実なのだと認識するくらい。
 クルーフォス殿下がパーティーに姿を見せていない件について、特にメルヴェイユ王室からの説明は無かった。

 腹違いとはいえ弟のお祝いに姿を見せないなんて、側近達だけではなく兄弟仲も悪いのかしら。
 それともお父様やモフィラクト王太子殿下から聞いている通り、クルーフォス殿下は体調が悪く臥せっている?
 第二王子派に幽閉されているという噂もあるけれど……。

「お待たせしました、行きましょう」

 クンベル殿下の声に、ハッとして顔を上げる。

「ごめんなさいボーっとしてしまって、行きましょう」

 今日はこれからクンベル殿下と一緒に馬車に乗って出かけるところ。

 街の様子を見てみたいと事前にクンベル殿下へ伝えておいたら、許可をもらっておいてくれた。
 でも街へ行っても馬車から降りる事はできないらしい。
 おそらく、戦争に関して思うところがある市民の暴動が起きる可能性があるため。

 それでも構わない、馬車の中から街を眺められるだけでも助かる。
 別に買い物や散策を楽しんだりしたかったわけじゃないもの。
 街を見たいというのは建て前で、クリフを探す事が一番の目的なのだから。

 クンベル殿下に続いてメルヴェイユ王室が用意してくれた馬車に乗り込み……
 思わず、あ、と声をあげそうになってしまった。

 馬車の中に、メルヴェイユ王国第二王子マッジョルド殿下がいらっしゃったから。





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