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早く欲しい
しおりを挟むな、に……今、の?
もぅ、くたくた、で、ちから、入らな……
魔王はそっと私の身体を包み込むと、壊れ物でも扱うような感じでゆっくりとベッドに横たえた。
目を瞑って息を吸い、少しずつ息を吐いて呼吸を整えていく。
カチャカチャという金属音と微かに衣擦れの音が聞こえてきたので重い瞼を少しだけ開けてみた。
見えたのは、ベッドに横たわる私へ覆い被さるように身体を傾けてくる魔王の姿。
それだけならもう驚かないけれど、ピト、と何かが脚の付け根にあたる感触に思わずヒュッと息を飲む。
これ、もしかして、男性の……!?
かなり近い位置で魔王が私の顔を見つめながら、スルリと頬を撫でてきた。
「ま、ま、まお、う……?」
「駿、だ。名を呼べ、愛理」
魔王の、名前……?
「しゅ、ん……」
魔王が嬉しそうに笑った。
大人だけど少年っぽさも感じさせる、可愛らしい笑顔で。
「そうだ、愛理。もっと呼んでくれ」
「駿……」
「愛している、愛理。俺が愛理を元の世界へ帰すから」
元の世界へ……
そのために必要な行為が頭に浮かび、身体が強張る。
とうとう、挿入される時がきた。
初めては痛いと聞くし、駿は私を知っていると言っていたけれど私にとっては知らない人だし。
いざとなると不安でいっぱいだ。不安しかない。
駿は私の頬を撫でながら、安心させるように反対側の頬へ触れるだけのキスをした。
「なるべく痛みを伴わないようにしてあげられるといいけど」
心配そうな表情で駿が私の顔を見つめてくる。
いよいよ、ですね。
覚悟を決めて駿の顔を見つめたら、彼の顔が下へ下へとずれていく。
それに伴い駿の身体も私の足の方へ動いていくから、必然的に挿入されると思っていた男性器も入れるはずの穴から遠ざかってしまう。
…………?
…………?
…………?
「ひぁッ!?」
私の脚の付け根を……ついさきほど指で快楽を教えられた突起を、駿の舌がレロレロ舐めている。
それだけじゃない。軽く歯を当てたかと思うとじゅるッと音を立てて吸ったり、指を使って広げてから、またレロレロ舐めた。
「ぇ、ァ、ぅそッ、すっ、ゃ、ぁ、ァアっ」
「可愛い、愛理。腰が揺れている」
息継ぎをするように呟いた駿が今度は、ぬりゅ、とあり得ないところへ舌を挿し込んでくる。
痛くされるのを覚悟していた穴が、駿の舌に与えられる快楽を悦んで受け入れていた。
気持ち、いい……
でも……
何か、何か、変……。
身体の奥がムズムズする。
凄い快楽を与えられているのに、満たされない。
舌では疼いているところへ届かないから。
もっと奥の方まで愛してほしい。
「愛理……挿れても、平気か?」
コクコクと頷く。
もう、もう、早く欲しいっ。
駿の先端が入口に当てられる。
そっとおでこにキスをされた。
「好きだ、愛理……」
「駿……」
こんなに丁寧に愛してくれる人が、初めての相手でよかった。
駿にこじ開けられていく圧迫感は凄くて苦しいくらいだけれど、喜びの方が大きい。
――こんなに、幸せだなんて……
ふたりの間に隙間が無くなった途端、瞬く間に身体が光で包まれていった。
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