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もしかして、いい人なのかな?
しおりを挟むフォッグ様の財布紛失事件から二週間が過ぎた。
いま僕の目の前に置いてあるのは見た目も美しくて、食べるのがもったいないくらい可愛らしいお菓子。
休憩時間にフォッグ様が、僕にくれたもの。
外国の珍しいお菓子で、入手するのが大変なものらしい。
このお菓子は高いんだぞ感謝しろよ、とフォッグ様に言われたので、神様に感謝しながら食べた。
味も、美味しい。
貰ったのがひとつだったから僕が食べてしまったけれど、孤児院のみんなにも食べさせてあげたかったな。
フォッグ様に貰ったお菓子のように高価な物は買えないけれど、今度孤児院へ行く時は何かお土産を持っていこう。
そんな事を考えていたら、フォッグ様が僕の分もお茶を淹れてくれた。
フォッグ様がお茶を淹れるなんて、初めての事。
しかも僕の分も淹れてくれるなんて。
感激しながら、フォッグ様の淹れてくれたお茶を飲む。
お世辞にも美味しいとは言えないお茶だったけど。
僕のために淹れてくれたという事が、凄く、凄く嬉しい。
財布の紛失事件前は、酷い事をされたけど。
フォッグ様、もしかして本当はいい人なのかな?
今日はシュトルム王太子殿下から最近のフォッグ様の様子について聞かれたので、僕にお茶を淹れてくれた話をした。
「そぅ……、フォッグがデュオンにお茶を淹れてくれたんだね」
「はい、すごく嬉しかったです。まだフォッグ様はお茶を淹れるのに慣れていらっしゃらないようで少し苦かったのですが、すぐ上手になると思います」
「デュオン、お茶を飲んだのは何時頃? 体調に変化は無い?」
どうしてシュトルム殿下は、僕にこんな事を聞くのだろう。
「ぇ、と……、確かお昼くらいだったでしょうか。そうそう、昼食を取った直後です。お菓子と一緒にいただきました。体調に変化は……特にありません」
「ごめんね、変な事を聞いて。私は王太子という立場上、毒見のされていないものを口にする事が無いから、つい気になってしまってね。でもデュオンも、用心するに越したことはないからよく知らない相手から何か貰っても、すぐ口にしない方がいいよ」
「はい……わかりました」
身分の高いお方は本当に大変なんだな……。
でも僕も王太子殿下の言う通り、初対面の人からは何か貰っても食べたり飲んだりしないように気をつけよう。
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