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はぁ、今日は疲れた……

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 はぁ、今日は疲れた……

 シュトルム王太子殿下の執務室から退室し、クラウド様とレイン様と一緒に自分達の部屋へ戻ってきた僕。

 今はベッドに座るレイン様の膝の上にのせられて、レイン様にぎゅッと抱きしめられながら頭を撫でられている。
 そんな僕たちの姿が正面から見える位置に置いてある椅子に、クラウド様は長い脚を組んで座っていた。

「俺が護衛してデュオをずっと守ってやりたい」
「はいはい、無理な事を言うんじゃないよ、レイン。べったりくっついて守っていたら、それこそデュオンが周りからどう思われるか」
「分かってるさ、分かってるけど……」

 平民の僕を騎士団長のレイン様が護衛していたら、周りの人は何事かと思うだろう。
 僕は、平民だから……

「……僕が平民だから、フォッグ様から嫌われているのでしょうか。それとも僕はフォッグ様に、何か嫌われるような事をしてしまったのでしょうか……」

 今までは僕が平民だから嫌われているのだと思っていたけれど、これだけ敵意を抱かれるという事はもしかしたら自分では気付いていないだけでフォッグ様に何かしてしまったのかもしれない。
 そうだとしたら、僕は自分を改めないと。

 僕たちを見つめていたクラウド様が、悲しそうに微笑んだ。

「デュオンは何も悪くないよ。筆頭公爵家の子息とはいえ、フォッグは次男で嫡男ではないからね。自分の将来のため、今回のお世話係をきっかけにミチェーリの父親である王太子に近付き取り入りたいと考えているのさ。でもお世話係としてはデュオンの方が優れているから、フォッグは焦っているんだ。勝手にデュオンの事を敵対視しているだけだよ」

「フォッグの野郎をお世話係に任命したのがそもそも間違いなんだ。妃殿下だって嫌がっていただろ?」

「そこはシュトルムなりに考えたのだろう。陛下派のルフトエア公爵は、いまだに王太子から陛下へ権力を奪い返すために虎視眈々とその機会を狙っているからね。シュトルムがフォッグをお世話係に起用し歩み寄る姿勢をみせたから、ルフトエア公爵も今はおとなしくしているけれど」

 子どもにあまり興味が無さそうなフォッグ様がお世話係になったのは、そんな背景があったのか……。

 だからフォッグ様がおひとりでミチェーリ様のお世話にあたることが無かったんだ、と腑に落ちた。

 まだ小さい大切な我が子を子どもが好きかどうか分からない人へ託すのが、ネージュ様は心配だったのだろう。





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