【BL-R18】転生しても平凡な僕~前世で別れたスパダリが、双子に生まれ変わって溺愛過剰~

弓はあと

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大切だから

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 ギシ……とベッドの軋む音がする。
 
 クラウド様が、ベッドの上にのったから。

「デュオン、もう少しこちらへおいで。打ち身に効く薬を塗ってあげよう」

 クラウド様が手にしていた小さな容器は、薬を入れたものだったらしい。

 おずおずとベッドの中央まで進み、脚を崩して座っているクラウド様の正面にペタンと座る。
 続いてレイン様もベッドへ上がると、僕のすぐうしろで脚を崩して座った。

「身体を動かすと痛いだろうから、動かないで」

 クラウド様の手で、僕のシャツのボタンが上から順にひとつ、またひとつと外されていく。

 なんだか前世で怜に服を脱がされた時の事を思い出してしまう。
 頬が、熱い――

「こうしていると、優陽を思い出すよ。だけどねデュオン。私は優陽の事も大切だけど、今のデュオンも同じように大切だから」
「僕も、大切?」

 ボタンを外していた手を止め、クラウド様は両手で僕の左手をそっと包み込んだ。

「そうだよ。だからどうか私に、これからもずっとデュオンを守り愛し続ける事を許してほしい。どうかな、許してもらえるのなら頷いてくれると嬉しいのだけど」

 怜にそっくりで、それでいて少し悲しみを帯びた瞳で見つめられ、思わずコクリと頷く。

 ありがとう、と微笑むとクラウド様は再びシャツのボタンを外し始めた。

「なぁ、クラウドが脱がせてる間、デュオにキスしててもいいか?」
「へっ!?」

 レイン様からの突拍子もない質問に、思わずマヌケな声で返事をしてしまった。
 ハァ……、とクラウド様が首を横に振りながらため息をついている。

「ダメだよレイン。前世では恋人でも今世ではまずデュオンの気持ちを確認しないと」
「わかった。デュオ、嫌だったら俺を突き飛ばしてくれ」

 頬に添えられた手で、くぃっと横を向かされたかと思ったら唇を塞がれた。

「ムゥ、ン……っ」

 薄く開いた唇から、レイン様の熱くて厚い舌が侵入してくる。
 舌を絡められ、ゾクリと身体の奥が震えた。

「強引だね、レインは。許可を取ってからするのではなく、嫌だったら拒否しろだなんて」

 前世では、甘やかしてくれる怜も、少しイジワルな怜も、どちらも好きだった僕。
 どんな怜でも、怜は、怜だから。

 だから優しいクラウド様も強引なレイン様も、僕には拒否する事なんてできない。





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