16 / 45
大切だから
しおりを挟むギシ……とベッドの軋む音がする。
クラウド様が、ベッドの上にのったから。
「デュオン、もう少しこちらへおいで。打ち身に効く薬を塗ってあげよう」
クラウド様が手にしていた小さな容器は、薬を入れたものだったらしい。
おずおずとベッドの中央まで進み、脚を崩して座っているクラウド様の正面にペタンと座る。
続いてレイン様もベッドへ上がると、僕のすぐうしろで脚を崩して座った。
「身体を動かすと痛いだろうから、動かないで」
クラウド様の手で、僕のシャツのボタンが上から順にひとつ、またひとつと外されていく。
なんだか前世で怜に服を脱がされた時の事を思い出してしまう。
頬が、熱い――
「こうしていると、優陽を思い出すよ。だけどねデュオン。私は優陽の事も大切だけど、今のデュオンも同じように大切だから」
「僕も、大切?」
ボタンを外していた手を止め、クラウド様は両手で僕の左手をそっと包み込んだ。
「そうだよ。だからどうか私に、これからもずっとデュオンを守り愛し続ける事を許してほしい。どうかな、許してもらえるのなら頷いてくれると嬉しいのだけど」
怜にそっくりで、それでいて少し悲しみを帯びた瞳で見つめられ、思わずコクリと頷く。
ありがとう、と微笑むとクラウド様は再びシャツのボタンを外し始めた。
「なぁ、クラウドが脱がせてる間、デュオにキスしててもいいか?」
「へっ!?」
レイン様からの突拍子もない質問に、思わずマヌケな声で返事をしてしまった。
ハァ……、とクラウド様が首を横に振りながらため息をついている。
「ダメだよレイン。前世では恋人でも今世ではまずデュオンの気持ちを確認しないと」
「わかった。デュオ、嫌だったら俺を突き飛ばしてくれ」
頬に添えられた手で、くぃっと横を向かされたかと思ったら唇を塞がれた。
「ムゥ、ン……っ」
薄く開いた唇から、レイン様の熱くて厚い舌が侵入してくる。
舌を絡められ、ゾクリと身体の奥が震えた。
「強引だね、レインは。許可を取ってからするのではなく、嫌だったら拒否しろだなんて」
前世では、甘やかしてくれる怜も、少しイジワルな怜も、どちらも好きだった僕。
どんな怜でも、怜は、怜だから。
だから優しいクラウド様も強引なレイン様も、僕には拒否する事なんてできない。
27
お気に入りに追加
1,258
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【報告】こちらサイコパスで狂った天使に犯され続けているので休暇申請を提出する!
しろみ
BL
西暦8031年、天使と人間が共存する世界。飛行指導官として働く男がいた。彼の見た目は普通だ。どちらかといえばブサ...いや、なんでもない。彼は不器用ながらも優しい男だ。そんな男は大輪の花が咲くような麗しい天使にえらく気に入られている。今日も今日とて、其の美しい天使に攫われた。なにやらお熱くやってるらしい。私は眉間に手を当てながら報告書を読んで[承認]の印を押した。
※天使×人間。嫉妬深い天使に病まれたり求愛されたり、イチャイチャする話。
僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない
ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』
気付いた時には犯されていました。
あなたはこの世界を攻略
▷する
しない
hotランキング
8/17→63位!!!から48位獲得!!
8/18→41位!!→33位から28位!
8/19→26位
人気ランキング
8/17→157位!!!から141位獲得しました!
8/18→127位!!!から117位獲得
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる