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せっかくの服がびしょ濡れ
しおりを挟む疑われたので即座に否定する。
「違います。シュトルム殿下のおさがりをネージュ様からいただいたんです」
「ネージュ様からいただいただと」
シャツとトラウザーズはいったんテーブル横の椅子へ置いた。
一枚だけ上着をいただいたので、それをハンガーへかけに行く。
するとうしろで、ガシャン、と何かが倒れる音がした。
音に驚いて振り返ると、テーブルの上には倒れたティーポット。
中身は零れ、テーブルの端から床へ向かって茶色い液体がポタポタと落ちていた。
テーブルと床の間には、僕がシャツとトラウザーズを置いた椅子の座面もある。
慌ててテーブルへ駆け寄りシャツとトラウザーズを持ち上げたけれど、すでに一番上のシャツはびしょ濡れだった。
「お前が片付けもせずにこんな所へ服を置くのが悪いんだぞ。いいか、床も拭いておけよ」
ミチェーリ様の部屋へ行く前に、フォッグ様へお茶をだしていた事を思い出す。
自分で飲んだお茶くらい自分で片付けろと言い返したい気持ちはあるがシャツを洗う方が先だ。
僕は濡れたシャツとトラウザーズを持って洗濯場へと急ぐ。
すぐに洗ったから、なんとか染みにはならなそう。
よかった……。
だけど今日からずっと、フォッグ様と一緒に過ごさないといけないのか……。
夜中に起こされて喉が渇いたとか、寝るまでずっとマッサージしろとか言われたらどうしよう。
睡眠不足でミチェーリ様のお世話にあたって、怪我をさせてしまったりすることだけは絶対に避けないと。
フォッグ様に理不尽な要求をされたら断ろう。
だけどきっと、断ったらまた蹴られたりするんだろうな……。
洗ったシャツとトラウザーズを干し終え憂鬱な気持ちで部屋に戻ると、室内にはなぜかフォッグ様ではなくレイン様がいた。
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