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11《本編最終話》
しおりを挟むベッドで横になったままの私に、ゆう君がチュッと触れるだけのキスをした。
「陽奈、痛くしてごめんな。今日はもう、挿れないから安心して」
――いれない? それは困る。
「ゆう君、座薬を入れて」
「え、座薬? もうとっくに入れたよ」
「ええ!?」
座薬を入れたなら、今ゆう君が言ったいれないものは、何?
「陽奈、挿れないけど、痛い思いだけは上書きして消しておこう」
グチャグチャに濡れそぼった私の脚の付け根に、ゆう君が顔をうずめる。
そして躊躇なくレロレロ……と舐めた。
熱くヌルリとした感触に、思わずビクンッと背中を反らしてしまう。
「そ、そんなところ舐めちゃダメ、ゆう君!」
「そんなところじゃないよ」
ゆう君の頭をどかそうと両手で押したのに、びくともしない。
「俺だけが見ることのできる、特別な場所」
私の抵抗をまったく気にすることなく嬉しそうに呟くと、ゆう君は再び脚の付け根を舐め始めた。
「ァアッ!」
その穴っ!
舌、入れるところじゃ、ないからっっ!!
ゆう君があり得ないところに舌の先を当て、ものすごく時間をかけて少しずつ這入ってくる。
そして穴の奥の方で舌先をチロチロ動かしてから、ゆっくりゆっくり出て行こうと蠢いていた。
身体の芯がゾワゾワする。
もうやめてほしいような、まだして欲しいような、不思議な感覚。
ゆう君の舌先が出口付近に辿り着いた。
行かないで、という思いが頭をよぎってしまう。
願いが伝わってしまったのか、ゆう君の舌がニュル……と、また這入ってきた。
ゆっくりだった抜き挿しが、だんだんと速度を増していく。
気付いた時にはグジュッ、グジュッ、と卑猥な水音を伴う激しいものになっていて。
「ッん、んン……ャ、ン……ァッ……」
息が、熱い。
快感の波が次々に押し寄せてきて翻弄される。
挙句の果てに、ゆう君は私の敏感な尖りへ軽く歯を当てながら、ぢゅぶぢゅぶッと音を立てて吸った。
痙攣したように身体がビクビクと揺れてしまう。
ハッ、ハッ、と浅い呼吸しかできなくて、苦しい。
少し呼吸が落ち着いてきたと思ったら、ゆう君がまた舌で舐めて挿し込んで吸ってを繰り返すから。
あまりの気持ちよさに頭が真っ白になって、いつの間にか意識を手放してしまった。
――ん…………?
名前を呼ばれたような気がして目が覚めた。
いつの間にか照明が落とされていて、部屋の中は薄暗い。
「……陽奈…………」
ゆう君……?
少しだけ顔を上げて、声のした方へ視線を向ける。
私に背を向けてベッドの端に座っているゆう君の姿。
どうしていない方に向かって私の名前を呼んでいるのか不思議で、声をかけようとして普段と違う様子に気がついた。
「…ハ、ァ……ひな……ッ、ひ、な……」
ゆう君が何をしているのか察してしまい、ぼわッと顔が熱くなる。
そういえば、ゆう君は私に挿入してすぐに引き抜いていたけど。
本当はゆう君、そのまま続けたかったのかもしれない。
……我慢、してくれたのかな。
今度はひとりでしなくてもいいように、してあげたい。
ゆう君のためにできること、何でもしてあげよう。
そう決意して目を瞑り、寝たふりをする。
いま私が起きたりしたら、ゆう君を慌てさせてしまうと思うから。
それにしても、切ない吐息交じりのゆう君の声、なんだか可愛い……。
後日、遊園地デートをした翌日のこと。
婚姻届を提出した後、隣の家のゆう君の部屋で私の初めて(初めて?)は、ゆう君にそれはもう優しく丁寧に、そしてちょっぴり意地悪に奪われました。
【本編 完】
ここまで読んでくださり感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。
あと一話だけおまけの話(本編直前のゆう君視点)がありますので、もしよろしければお付き合いください。
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