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「あ……、ごめん! 陽奈、大丈夫か!?」

 酷く慌てた様子の声が、上から降ってくる。

「ん、らいじょぶ」

 突っ伏したところは柔らかいベッドの上。
 少し勢いがついていたけれど、痛いというほどではない。
 
 いや、だけど……大丈夫でも、ないかも?

 だってゆう君が、大きな手のひらで私の腰の横側を直に掴んでいるから。

 この状況、いったい何??

 私のショートパンツとショーツは、相変わらず私の膝のところでクシャッと皺だらけになっている。

「大丈夫か、よかった……。ん?」

 腰を掴まれていた感触が片方だけ無くなったと思ったら、手をギュッと握られた。
 ……いえ、手、ではなく、指で摘まんでいたもの、が正しそう。

「これ、何?」

 首だけひねってゆう君を見上げると、私から取りあげた座薬をしげしげと眺めている。

 うう……、それが何かは言いたくないけど、ゆう君は嘘をつかれるのが大嫌い。
 小学3年生の時、中学生だったゆう君が完成させたジグソーパズルをバラバラにしたのに嘘をついてごまかしたら、負のどす黒いオーラを背にして、しずかーに怒っていた。
 心の中では絶対に怒っているはずのゆう君だけど、顔が笑顔だったのがもの凄く怖かったのをよく覚えている。

 あれ以来、ゆう君に嘘をついたことは無い。
 どんな時でも正直でいることが身についている。

 恥ずかしすぎて、ベッドに顔をうずめたまま、ゆう君の質問に答えた。

「痔、の……薬、です」
「お尻に挿れる薬?」
「ん……そう」

 少しの間、重ーい沈黙が流れた。

 沈黙を最初に破ったのは、ゆう君。

「自分で挿れるのが大変そうな感じ、だったのかな?」
「ん……そう」
「そう……か」

 ふたたび腰の横側を両手で掴まれた。

「ふぁ!?」

 今回は掴まれただけでなく、そのままググググッと私の腰がベッドの上で約九十度移動していく。
 必然的にゆう君が立つ方向へ、私のお尻の穴が向いてしまう。
 
「それなら俺が、挿れてあげるよ」
「ふぇ!?」

 ゆう君のとんでもない発言に驚いて、首をひねってゆう君を見上げた。

 あれ?

 想定していたところに、ゆう君の顔がない。
 膝立ちになったのか、ゆう君の顔の位置は私が考えていたよりもずっと下だった。

 ちょうど私のお尻の高さと一緒のところに、ゆう君の顔。

「力抜いて、陽奈」
「んッ」

 ゆう君の息にお尻を擽られて、力を抜くどころかキュッとお尻の穴に力が入ってしまった。





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