【R18】王太子に婚約破棄された公爵令嬢は純潔を奪われる～何も知らない純真な乙女は元婚約者の前で淫らに啼かされた～

公爵令嬢リーベの想い①

　こんな事、ストルグ様にさせてはいけない、のに。


　アフェクト様に婚約破棄を告げられて。
　自分でも気付かぬうちに、助けて、と悲鳴を上げていたのかもしれない。

　ストルグ様だけに伝わってしまう、心の中の叫び声で。

　あの日の、ように――





　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊





「……あのッ」

　王太子妃教育の帰り道、庭園内の温室横で声をかけられて振り返る。
　少し離れたところに、第二王子のストルグ様が立っていた。
　訓練の後だったのだろうか、武具を身につけていらっしゃる。

「ぁ……、突然声をかけたりして、すまない……」

　首を傾げた私に、頭を掻きながらストルグ様が謝罪した。
　婚約者であるアフェクト王太子殿下の弟君だから、何度もお会いしたことはある。
　ただ、ストルグ様とは同い年だけれど特別に親しいというわけではなく、こんな風にふたりきりで話すのは初めてだった。

「いつも疲れているように見えて、気になっていて……」

　疲れている？　いつも？？
　そんな事、初めて言われたけれど……。

　私は人前で、そんなにみっともない姿を見せていたのだろうか。
　しっかりしなければ。あと４年もしたら王太子妃になるのだから、いかなる時も気を緩めないように気をつけないと。

「温室内にベンチがあるから、そこで休んでいってはどうだろうか。ほんの少しだけでも。誰も入らぬよう、俺が入り口で見張っているから」

「いいえ結構ですわ、ストルグ様。お気遣いいただきありがとうございます」

　休むなんてとんでもない。
　今日も王太子妃教育にかかわるそれぞれの先生から、山のように課題を出されているのだ。
　課題をこなすだけではなく家に帰ったら外国語の発音の練習もしなければならないし、マナーとダンスのレッスンの復習もしておきたい。

　王族として生を受け、生まれた瞬間から王族にふさわしい教育を受けてきた方々とは違う。
　９歳でアフェクト様の婚約者になった私は、９年分の遅れがあるようなもの。
　１８歳で王太子妃となる前に、９年分の遅れを取り戻しつつ王太子妃教育を終えねばならない。

　人前で出すのにふさわしい笑みを浮かべて一礼しながら、ストルグ様の前から立ち去ろうとする。

　立ち去ろうとした……のに、ガシッと手首を掴まれた。