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結
しおりを挟むつらそうに眉根を寄せるお嬢様の痛みを和らげるために、どうしてあげたらいいのか経験不足の俺には分からなくて。
手をギュッと握りしめて、そっとキスをした。
そうしたら、お嬢様の力がフッと抜けたような気がしたから。
触れるだけのキスを何度も繰り返しながら、少しずつ少しずつ腰を押し進めていく。
チロ、とお嬢様の舌が、俺の唇に触れたので、おそるおそる吸って絡めてみた。
気持ち、いい。
お嬢様も、そう思ってくれているといいけど。
嫌がる様子がないから夢中で舌を絡ませてしまった。
気持ち、良すぎる。
口の中も、お嬢様のアソコのナカも。
イかないように必死に耐えていた、けど。
お嬢様のナカに全部入った瞬間、気が緩んでドクッドクッと精を吐き出してしまった。
早すぎだろ俺っっ、カッコ悪……
でも吐精直後で脱力している俺の鎖骨を、お嬢様がぺろぺろ舐めてくるから。
お嬢様のナカに挿れっぱなしだった俺の欲棒は、すぐに復活してしまって。
もう一度、したい、けど。
初めてのお嬢様に、無理させちゃ可哀想、だよな。
でも……どうしてお嬢様は、俺とこんな事を?
ああ、そうか……
仕事の資料のために見たいだけだった。
俺なら文句も言わずに後腐れなく安全に、お嬢様の好奇心を満たしてあげられるから、か。
お嬢様の膝裏をグッと押して、ふたりの接合部がお嬢様から見えるように腰を持ち上げる。
「見てください、ほら、ちゃんとつながってますよ」
「……そうだね、戒理くん」
低い声に驚いて声のした方に顔を向けると。
お嬢様の部屋のドアが開いていて、こちらに冷たい視線を送る天王寺社長の姿がそこにあった。
* * * * * * *
天王寺社長の私室の応接用ソファに座り、緊張で固まっている俺。
あのあと慌てて衣服は直したから、今はシャツのボタンも留めてきちんとズボンも穿いている。
隣にはお嬢様、正面には天王寺社長が座っていた。
「戒理くん、娘とこんな事になったからには、君にうちの執事を続けてもらうわけにいかない」
中学を卒業したら天王寺の家を出て働くと言っていた俺に、ここで執事として働きながら大学まで卒業しなさいと言ってくれた社長を裏切ってしまった。
申し訳なくて、胸が締めつけられる。
「悪いけど、責任をとってもらうよ」
責任、か……
執事の職を、クビになってしまった。
自業自得だけど、もうお嬢様のそばで働けないと思うと、やっぱりつらい。
俺のため息と同時に、ハァ、と天王寺社長も大きなため息をついた。
「まさか、こんな強硬手段にでるとはね……」
「ち、違ッ!」
「違くないんだよ、戒理くん」
そう、か……
男親にしてみたら、今回の件は俺が無理矢理お嬢様を襲ったようにしか思えないよな。
「ずっと前から好きだったのは、分かっていた……」
――え?
天王寺社長は、俺がお嬢様のことを好きだったこと、気づいていた――?
「戒理くん」
「は、はい」
「君もよく知っているように、うちは息子も自分の好きな道に進んでしまったから、天王寺グループの次期社長となる者を婿に取るつもりでいる」
そう、よく知っている。
お嬢様が将来、お見合い結婚する予定だったことを。
「娘が二十歳になってからは釣書を渡されることも多くなった。今もそれを持ってきたところだ。それなのに……」
天王寺社長は、結婚前のお嬢様を俺がキズモノにしたと怒っているのだろう。
「見合いが嫌で、戒理くんとの仲を親に見せつけるような事をするとは……」
「既成事実がないと、お父様は納得してくれなさそうだったから」
「……確かに、一方的に好きという気持ちだけなら、これ以上戒理くんを天王寺の家に縛りつけるつもりはなかった」
「へ……?」
話が見えなくなった。
「でも最初はここまでの姿を見せるつもりは無かったのよ。戒理が下だけ脱いで、お父様との約束の時間に合わせてそれっぽく見えるようにしようと思っていただけで」
「……こんな娘が君の将来を奪ってしまって申し訳ないけど、戒理くん、娘と結婚して天王寺グループを継いでもらえないだろうか」
けっこ、ん……?
え、本当に?
天王寺社長はそれでいいの?
「申し訳ないなんて……。俺は、むしろ、喜んで、お受けします……」
嘘だろ? これ現実? ドッキリ?
「ありがとう、娘をよろしく頼む」
「え、と……お嬢様は俺で、いいの、ですか?」
「ごめんね戒理。あなたが、いいの」
「あ、そうか……、俺と結婚すれば、漫画を描き続けられるから」
結婚相手によっては、お嬢様が漫画を描くことに難色を示すかもしれない。
しかも描いている内容が、内容だけに。
「そんな理由じゃないわよ、戒理」
ハハハ、と楽しそうに天王寺社長が笑った。
「中学卒業したら家を出ると戒理くんが言っていたのを、絶対にひきとめてと言っていた頃から君の事が好きだったと思うよ」
「違うわお父様。私が戒理を好きになったのは、おねしょした私に優しくしてくれた5歳の時よ」
* * * * * * *
あれから三か月が過ぎた。
お嬢様の連載漫画は好評のようだ。
読者からのリクエストがたくさん寄せられるくらいに。
「おじょ、さ、まッ、ン、ちょ、とま、てそ、れ、っ!」
俺、仕事の手伝いにきたんだよな……?
読者からのリクエストに応えるシーンを描くための参考資料にしたいと言われ、お嬢様のリクエストに応えてモデルになっていた俺。
今日のお願いは、最初は些細なものだったけど。
小さな願いをいくつも叶えているうちに、気づいたら社長が使うような立派な背もたれ付きの椅子の肘掛けに、肘じゃなくて膝裏を置く大股開きの格好になっていた。
しかも全裸で後ろ手に縛られ、身体を緊縛されてるって、どういうことだっ!?
そして初めての日に持っていたバイブを、お嬢様は今も手にしていて。
グッと天井を向いた俺の屹立の先端から尻の穴までの間を、最弱の出力に設定されたバイブが動いていた。
屹立に触れるか触れないかの微妙な距離で、じれったいくらいゆっくりと、バイブが何度も行ったり来たりしている。
「くッ……ぁ、ぅ……ッ……」
先走りでヌルヌルになった屹立がビクッビクッと揺れ、我慢しようとしても声が漏れてしまう。
お嬢様に見られて恥ずかしい、のに。
こんな風にお嬢様から虐められるのが、まんざらでもない自分がいて、怖い。
「戒理の声、可愛い」
お嬢様の嬉しそうな声。
両想いだとわかってからお嬢様の事がますます愛しく感じられ、願いを叶えて嬉しそうなこの声をもっと聞きたいと思ってしまう。
「お尻の穴に入れた時の声も、聞いてみたいな……」
お嬢様が聞きたい俺の声は、そっちかよ!!
今はまだ後ろの穴は無事だけど、もしかしたら時間の問題かもしれない……。
初恋拗らせてた非童貞ですが、最愛のお嬢様に処女を奪われそうです。
【完】
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《あとがき》
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。
この話を書いていたら、戒理くんみたいに好きな女の子から淫らに虐められるヒーローもいいかも……と、思ってしまいました。
いつか、もう少しハードな感じで淫らに虐められる系ヒーローの登場する話を書いてしまうかもしれません、苦手な方がいらっしゃったらごめんなさい。
ちなみに今回名前の登場しなかったお嬢様ですが、作者が初めて書いた小説
『【R18】婚約破棄予定の御曹司に溺愛調教される無自覚ドSな同居生活でお試し中です 』の「はじめてだったの!?」の話の中で兄の名前は登場しています。
当時は次の小説に天王寺兄がヒーローの話を書く予定で、同作の「ディナーの時間」と「好みのタイプ」の話にもチラリと会話の中に登場していたのですが、未だに書けておらず……
まずは他の長編の完結を目指して頑張ります。
ただちょこちょこ短編は書いてしまうと思います……長編亀更新、本当に申し訳ありません。
こんな作者ですが、今後もどうぞよろしくお願いいたします。
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柚木ゆず様
再びの感想、本当にありがとうございます!
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きゃー♪(/ω\*)
とっても淫らで可愛くてたまらん😍
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私も可愛くていじめがいのあるイケメン君欲しい✨
キョロo(・ω・= ・ω・)oキョロ
鍋様
最後までお付き合いくださり本当にありがとうございます!
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可愛くていじめがいのあるイケメン君……いいですね、今度書く時はよりえっちぃ話にできるよう修行(妄想?)してきます♪
きゃー(*/□\*)
いきなりの展開💖
エロいの大好き🌸🌸🌸
続き楽しみにしてまーす🎵
鍋様
お忙しい中、今作にも感想をくださり本当にありがとうございます!
大好きと言ってもらえるえちえちシーンにできるといいな……☆彡
続きも楽しんでいただけるようにがんばりまーす♪