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しおりを挟む一瞬、意識が飛んでいたのかもしれない。
ピト……と脚の付け根に何かが当たり、ふ、と我に返る。
「琴莉、子どもができるかもしれないけど、いい?」
子ども……?
本能的に何かを感じ、チラ、と自分の股を見てしまった。
お兄ちゃんの……なのにお兄ちゃんらしくない猛々しいソレ、が私の脚の付け根に当てられている。
「ぉ、お兄ちゃんは、いいの……?」
「子ども……すごく欲しい」
……そっか、お兄ちゃんが『本当の家族になろう』って言ったのは、この事だったんだ。
いつかお父さんの会社を継ぐお兄ちゃんには後継者が必要だから。
わだかまり無く見合いの話を断る事ができて、子どもも授かれる私との結婚は本当に都合がよかったのかも。
優しくて世話好きなお兄ちゃんなら、いい父親になると思う。
お兄ちゃんにはいつ子どもが生まれても大丈夫だと確信できる。
私なんかが相手でいいなら、お兄ちゃんの子どもを産んであげたい。
だけど……
「まだ私に子どもは無理だよ。就職してからじゃないと。お兄ちゃんだけに負担をかけるわけにいかないし」
一瞬お兄ちゃんは目を見開いてすぐに、ふ、と微笑んだ。
勉強を教えてもらった時、私が必死に答えを導き出したら「人に聞いてばかりじゃなくて自分でがんばっていて偉いな琴莉は」って褒めてくれた日のように。
「それなら琴莉、佐藤グループの会社に勤めないか?」
「お兄ちゃんと同じ会社?」
「そう。育休や在宅勤務の制度もしっかりと整えてある。すぐに俺の子を孕んでも、夫婦で一緒に育てていけるから」
「は、孕ん……!?」
妊娠するために必要な営みが頭に浮かび、急に現実味を帯びてくる。
私の膝裏に手を添え脚の間に陣取っているお兄ちゃんが心配そうに私の顔を見つめた。
「琴莉?」
「な、に、お兄ちゃん……」
「少し緊張してきた? 身体に力が入っている気がする」
「ちか、ら……?」
言われてみると、そうかもしれない。
さっきまでの、気持ちいいという感覚はどこかへいってしまった。
今は脚の付け根に当てられた、お兄ちゃんの尖端にいつ攻撃されるのか身構えている感じ。
「やっぱり怖いよな……。ごめんな琴莉、少し焦り過ぎた」
「だ、大丈夫。大丈夫だよ。お兄ちゃん、しよう。あ、でも今日はナカには出しちゃダメだよ、外に出してね」
身寄りが無くなった私と結婚までしてくれたのに、何もお返しできないなんて申し訳ない。
それに前の彼は、私が痛がったから途中までしかできなくて凄くイライラしてた。
きっと男の人って、最後までしないとつらいんだと思う。
いま妊娠するのは無理だけど本当の家族になるためにいつの日かお兄ちゃんの子どもだって欲しいし。
そのためには、セックスくらい平気でできないと。
「琴莉、それは避妊じゃないからな。それにそんなセリフ、男に言ったらダメだぞ」
「ぐゅッ」
むに、と鼻をお兄ちゃんに摘ままれた。
「今日は夫婦らしく少しいちゃいちゃを楽しもう。琴莉、俺に背中向けて横向きに寝て。ぁ、その前にパジャマの上も脱ごうか」
ボタンが外された状態だったパジャマを、スルリと肩から滑るようにして剥ぎ取られた。
お兄ちゃんも私も、裸。
横向きに寝た私のぷにぷにの身体が、程よく鍛えられていて逞しいお兄ちゃんの腕にうしろから抱きしめられている。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【読者様へ】
いつも小説の閲覧&しおりやお気に入り登録、感想の投稿等してくださりありがとうございます。
新作のお知らせで大変恐縮ですが……
少し前に以下の小説を投稿させていただきました。
また、こちらの小説はひっそりと『第10回BL小説大賞』にエントリーしております。
もし差し支えなければ、弓はあとの小説に読者様の一票を投じていただけると嬉しいです。
(アンダルシュ作品)
『【BL-R18】転生しても平凡な僕~前世で別れたスパダリが、双子に生まれ変わって溺愛過剰~』
珍しくBL小説、さらに主人公がふたりの恋人と体の関係を持つお話です。
苦手だったら申し訳ありません。その場合はそっと画面を閉じていただければと思います。
なお、相手はふたり(双子)ですが、前世ではひとりの人格だったためかなり一途な恋愛になる予定。
もし少しでも気になったら、試しにちょ~っとだけ読んでみてください。
複数プレイの話、一度挑戦してみたかったんです。
かといって連載中の『お兄ちゃんと~』や『白い結婚~』で複数プレイを書いたら驚きの展開になってしまうため新作公開とさせていただきました。
亀更新な作者なのに、新たに書き始めてしまって本当にごめんなさい。
『白い結婚~』、『お兄ちゃんと~』、そして他の番外編の更新も引き続きがんばっていくので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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