【R18】お兄ちゃんと契約結婚!?~不感症でオタクなちょいぽちゃの私がスパダリ御曹司に溺愛されて恋愛フラグ争奪戦~

弓はあと

文字の大きさ
上 下
13 / 18

11(太陽視点)

しおりを挟む


 逃げられないように、琴莉の身体へ覆い被さり唇を重ねる。

 ――ぁぁ、ようやく俺の腕の中に……。

 薄く開いた口へ舌を入れ、琴莉の舌を探して絡めた。
 そうしたら驚いたのか、俺から逃げるように奥へと動く琴莉の舌。

 ゆっくりと、時間をかけて深く口付ける。
 琴莉が怯えないように、優しく抱きしめ頭を撫でながら。
 少しずつ、琴莉の身体から力が抜けていった。

 小さい頃、怖いテレビを見た日の夜こんな風に琴莉を抱きしめて頭を撫でてあげたのを思い出す。
 もちろん今みたいにキスなんてしていないけれど。

 あの頃は怖がる琴莉を安心させるために抱きしめていた。
 でも実のところ琴莉を抱きしめて安らぎを得ていたのは俺の方だったのかもしれない。

 琴莉の身体は、ぷにぷにしていて柔らかくて。
 抱きしめているだけで不思議と心が安らぐ、特別な存在。
 大切な、大切な宝物。

 琴莉はよく自分の事を、そこらへんに石を投げれば当たるようなレベルのいたってフツーの女の子だと言う。
 俺にとっては唯一無二の存在なのに。

 小学三年の時、クラスのほとんどの女子に好きだと言われた事が原因で、同じクラスの男子ふたりから苛めを受けていた俺。
 下校時に傘でつつかれたり、背中を強く押されたりとか、些細なものではあったけど。

 そんな時はいつも、一年生でまだ小さな琴莉が泣きながらいじめっ子を追い払おうとしていた。
 自分だって怖いだろうに、必死で俺を守ろうとして。

 それがきっかけだったと思う。
 守られる方じゃなくて、琴莉を守れるような強い大人になろうと決意した。

 そのためには勉強も運動も、頑張らないと。
 琴莉のためなら努力するのが楽しくて。
 俺のした事で琴莉が笑顔を見せてくれると、嬉しかった。

 琴莉の笑顔は可愛くて好きだ、俺に力を与えてくれる。
 ……いや、違うな。
 どんな時でも琴莉は可愛くて、存在自体が好きだ。

 眉を寄せて真剣に漫画を読みながら、突然泣いたり、頬を膨らませたり、ころころ変わる琴莉の表情が可愛い。
 ふっくらとしているからか、頬に触れるだけでいつも癒された。

 そんな事を思い出しながら、キスをしたまま琴莉の頬を手のひらで撫で、指先で琴莉の耳を弄る。
 苦しそうな、でも甘さを含んだ声が琴莉の口から漏れた。
 その瞬間、ズクン、と熱が滾る俺の下半身。


 琴莉が愛しいという想いは、幼い頃から変わらない。
 純粋に妹として琴莉の事が好きだった、あの頃からずっと。 

 でもいつからか琴莉に対して感じる好きの意味合いは変わっていった。
 妹への愛情から、異性に対する好意へと。

 最初にそう気付いたのは、確か中学一年の時。

 妹が大好きだなんて俺って変なのだろうか、どうしてこんなに妹を可愛いと思ってしまうんだろう、と毎日のように悩んでいた。

 そして俺が中学二年の時に母が――琴莉の母さんが亡くなり、俺たちに血のつながりが無い事を知って。

 ショックだったけど、どこか安心もしていた。
 琴莉を好きでいてもいいんだ、将来結婚する事もできるんだ、と。

 父は琴莉が社会人になったら伝えるつもりでいたようなので、その時が来たら琴莉に好きだと告白しようと決意する。

 だからそれまでは、周りにいる男たちから琴莉を守る事にした。
 琴莉に彼氏ができないように。
 それなのに、俺が就職して海外出張中に彼氏ができてしまうなんて。
 学生の時はよかった、すぐそばで守ってあげられたから。


 だんだんと慣れてきたのかそれとも抵抗したかったけど諦めたのか、力を抜いてなされるがままに俺の深い口付けを受け入れている琴莉と舌を絡ませながら、俺は高校の頃を思い出していた。





しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

練習なのに、とろけてしまいました

あさぎ
恋愛
ちょっとオタクな吉住瞳子(よしずみとうこ)は漫画やゲームが大好き。ある日、漫画動画を創作している友人から意外なお願いをされ引き受けると、なぜか会社のイケメン上司・小野田主任が現れびっくり。友人のお願いにうまく応えることができない瞳子を主任が手ずから教えこんでいく。 「だんだんいやらしくなってきたな」「お前の声、すごくそそられる……」主任の手が止まらない。まさかこんな練習になるなんて。瞳子はどこまでも甘く淫らにとかされていく ※※※〈本編12話+番外編1話〉※※※

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

処理中です...