【R18】お兄ちゃんと契約結婚!?~不感症でオタクなちょいぽちゃの私がスパダリ御曹司に溺愛されて恋愛フラグ争奪戦~

弓はあと

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 目が覚めたら、逞しい腕に抱きしめられていた。
 寝たままの姿勢でいる私の目の前に、程よく鍛えられた胸板が。

 ――……誰の胸板?

 恐る恐る視線を目の前の胸板から鎖骨、首へと動かしていく。
 そうしたら、目を瞑っているお兄ちゃんの顔があった。

 目を閉じていてもイケメンだなんて、さすがお兄ちゃん。

 って、そうじゃなくてっっ

 ぇ、ぇ、ぇ、ぇぇええっ!!
 どうしてお兄ちゃんと一緒のベッドに!?
 しかもお兄ちゃん、はだ、裸!?!?

 こ、これって……

 漫画や小説で見たことある。
 まさかの、朝チュン!?
 ゎ、わたしがっっ!?!?
 ヒロインにはほど遠いちょいぽちゃのモブキャラなのに、スパダリのお兄ちゃんと――??

 …………
 …………
 ……違う。

 チュンチュンしてない。
 部屋は明るいけど、まだ外は暗そう。
 
 そういえば、お兄ちゃんのベッドで肩を揉んでもらってた。
 私そのまま寝ちゃったの、かな?

 そーっとお兄ちゃんの腰の辺りを触ってみた。

 よかった、上半身は裸だけど、ズボンは穿いてる。
 そうだよね、私もパジャマの上下ちゃんと着てるし、お兄ちゃんと何かあるわけない。

 私がホッと小さく息を吐いた瞬間。
 ふっ、と可笑しさを堪えたような声がした。

「くすぐったいよ、琴莉」
「っ!」

 ビクッと肩が震えてしまう。
 悪戯が見つかった子どもって、こんな感じかも。

「ごめん、驚かせてしまったね」
「ぁ、私こそ、ごめんね……。お兄ちゃんのベッドで寝ちゃって」
「いいんだよ、もう夫婦なんだから」
「ぇ、でも……」

 私たちは契約結婚だから、一緒のベッドで寝るのはどうかと思う。

「そういえば小さい頃はよく一緒に寝たよな。怖いテレビを見た時とか、雷が凄い日とか」

 ……そっか、お兄ちゃんにとって私と同じベッドで寝るのは小さな頃と同じ感覚なんだ。

「ふふ、そうだね。お兄ちゃんに背中を撫でてもらうと安心したの、よく憶えてる」
「そうだな、こんな風にしてた」

 お兄ちゃんが手を伸ばして、私の背中を優しく撫で始めた。
 向かい合うようにして並んで横になっていたから、まるで恋人同士が添い寝しているかのような体勢。

 ちょっと、ううん、かなり恥ずかしい。

「ぉ、お兄ちゃんっ、私、けっこう寝てたの?」
「十分くらいじゃないかな、そんなに寝てないよ」
「そっか……」

 ゆっくり、ゆっくり、私の背中を優しく撫でるお兄ちゃんの大きな手。
 なんだか背中に全神経が集中しているみたいにその動きを意識してしまう。

 くすぐったいような、もどかしいような、不思議な感覚。

 撫でられているのは背中なのに、膝をモジモジ擦りあわせていないと落ち着かない。

「俺にこうやって触られるの、嫌?」
「嫌じゃないよ、お兄ちゃんだもん」

 目を見て伝えたら、本当に嬉しそうにお兄ちゃんが微笑んだ。

 その笑顔は、私が持ってる漫画のどのヒーローよりも甘く人を蕩けさせる。
 一緒に暮らしているから免疫ができていてよかった。
 そうじゃなかったら、今ごろ私は悶え苦しんでいたはず。

「琴莉……」
「なぁに、お兄ちゃん?」
「実は誕生日プレゼントに、もうひとつ欲しいものがあるんだ」
「ぇ、何、何、教えて」

 お兄ちゃんがおねだりするなんて珍しい。
 ううん、珍しいどころか、初めてかもしれない。

「お願いしたら、琴莉はくれるかな?」
「うん、あげるよ。ぁ、でも……そんなに高級な物は買えないけど」
「世界で一番高級だけど、買わなくて大丈夫だよ」
「買わなくて、いいの……?」

 お兄ちゃんは頷くと、私の身体をフワッと抱きしめた。
 私の頭をゆっくりと撫でながら、お兄ちゃんが何か呟いている。

『ことりのはじめてがほしい』

 声が小さくてよく聞き取れなかった。

 ――お兄ちゃん、今なんて言ったの??





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