【R18】お兄ちゃんと契約結婚!?~不感症でオタクなちょいぽちゃの私がスパダリ御曹司に溺愛されて恋愛フラグ争奪戦~

弓はあと

文字の大きさ
上 下
3 / 18

1

しおりを挟む


『今日の占い第1位は、やぎ座のあなた!』


 自分の星座を言われて、思わずテレビに目を向ける。


『人生をハッピーに変える出来事が!
 チャンスを見逃さないで!』


 そういえば占いって、朝のテレビでやってたっけ。


 テレビは毎朝ついていたけれど、お父さんが亡くなってからのこの一週間は、何を観たのか聞いたのか、全く覚えていない。

 なんだか、久しぶりにテレビの音をちゃんと聞いた気がする。 
 こうやって少しずつ、日常の生活に気持ちが戻っていくのかな。

 お父さんが亡くなったのは、私の大学の卒業式の翌日だった。
 出張先で、突然倒れたと聞いている。
 卒業式に来てくれたお父さんは、いつもと変わらぬ様子で元気だったのに。


 続いて表示された第2位は、お兄ちゃんのおひつじ座だった。


 そうだ、お店に頼んでおいたお兄ちゃんの誕生日プレゼントを受け取りに行かないと。
 それに、入社式用に仕立ててもらっていたスーツも。


 ガチャリ、とドアが開き、リビングへ入ってきたのはスーツ姿のお兄ちゃんだった。


「あ、琴莉、おはよう」


 朝一からお兄ちゃんは完璧なくらいカッコイイ。
 私はまだパジャマだというのに。

 スラリと背が高いうえに、程よく鍛えられた身体で着こなす上質な濃いグレーのスーツ。
 顔立ちもキリリと秀麗で、芸能人とかが持っていそうなオーラまで纏っている。
 これからドラマの撮影に行ってくるって言われたら信じてしまいそう。

 対して今パジャマ姿の私は、身長155センチ体重55キロのちょいぽちゃ体型。
 ゴーゴーって感じで覚えやすいからこう言っているけれど、もしかしたら身長は155センチよりも小さいかもしれないし、体重は55キロよりも多いかもしれない。
 そのあたりは、ちょっとうやむやにしておきたい。

 顔もいたってフツー。どうして兄妹でこうも違うのだろう。
 きっとうちの両親は、お兄ちゃんに優秀な遺伝子をすべて使い切ってしまったに違いない。


「食欲ある? フルーツヨーグルトとサラダが冷蔵庫に、スープはテーブルの上の保温鍋にあるから用意しようか? 食べられそうならパンも焼くけど、どうかな?」


 ソファに座る私の横に腰をおろすと、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
 うわ、綺麗な顔。
 目が合って、思わずドキッとした。


「だ、大丈夫。自分でするから」


 この一週間、何もやる気が起きなくなってしまった私のために、忙しいにもかかわらずお兄ちゃんは毎日食事を用意してくれた。
 冷蔵庫を見なくてもわかる。食欲の無くなってしまった(でもなぜか痩せない)私でも栄養を取れるようにヨーグルトに入っているフルーツは5種類以上で食べやすい大きさにカットしてあって、バナナは変色防止のためにちゃんとレモン汁もかけてある。
 そしてスープには、ポタージュ状にした野菜がたくさん。

 本当にお兄ちゃんは、優しい。
 って、いけないっ、今日は私が優しくしないと。


「お兄ちゃん、お誕生日おめでとう」

「憶えててくれたんだ、ありがとう、嬉しいよ」


 ふわっと微笑むお兄ちゃんは、普段の凛々しい表情からは想像できないくらい可愛い。


「今日、ちょっと出かけてくるね」


 私の言葉に一瞬目を見開いたお兄ちゃんだったけど、すぐにまた嬉しそうな笑顔になって私の頭をポンポンとした。


「よかった、父さんが亡くなってから琴莉の元気がなくて心配してたんだ。でもまだ無理しないように。なるべく早く帰っておいで」

「うん、3時くらいには帰ると思う。あれ? でもお兄ちゃん、今日土曜日なのに仕事行くの?」

「ああ、葬儀や相続の手続きで少し休んでいたからね。そうそう、午後は顧問弁護士の成瀬さんが家に来るんだけど」


 チラリ、とお兄ちゃんが私の様子を窺うような視線を送る。


「琴莉が帰ったら、一緒に話を聞いてもらってもいいかな? それとも後日の方がいい?」


 弁護士さん、ということは相続の話かな。

 突然のお父さんの死がショックで抜け殻状態だった私は相続関係を全部お兄ちゃんに任せてしまっていた。
 亡くなったお父さんは日本有数の企業である佐藤グループの社長だったから、相続の手続きもきっと大変だったと思う。
 どのくらい凄い企業かと言うと、日本人なら誰でも知っている某有名テーマパークのすぐそばには、世界中どこでも佐藤グループの所有するホテルがあるとか、ラスベガスにあるカジノとショーで有名なホテルを経営しているとか、新婚旅行で大人気の水上コテージのあるリゾートをモルディブに所有している、みたいな感じ。
 他にも様々な事業を展開しているみたいだけど、難しい事は私にはわからない。

 お兄ちゃんも弁護士さんも忙しいだろうし、日を改めるなんて申し訳ない。午後3時に私も同席して話を聞くことにした。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

練習なのに、とろけてしまいました

あさぎ
恋愛
ちょっとオタクな吉住瞳子(よしずみとうこ)は漫画やゲームが大好き。ある日、漫画動画を創作している友人から意外なお願いをされ引き受けると、なぜか会社のイケメン上司・小野田主任が現れびっくり。友人のお願いにうまく応えることができない瞳子を主任が手ずから教えこんでいく。 「だんだんいやらしくなってきたな」「お前の声、すごくそそられる……」主任の手が止まらない。まさかこんな練習になるなんて。瞳子はどこまでも甘く淫らにとかされていく ※※※〈本編12話+番外編1話〉※※※

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

処理中です...