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22 ずっと愛してるんだ
しおりを挟む伝わってくるキアルズの鼓動が、更に強く速くなったような気がした。
――あなた自身に包まれたいんだ――
その言葉に、デイラは別の意味を見出そうとする。しかし、それはすぐにくじかれた。
「あなたと……深くつながりたい」
デイラはそっと胸板を押しやり、キアルズの顔を見る。
翠玉色の瞳は、熱に浮かされているかのように潤んでいた。
「デイラ、ずっと愛してるんだ」
唇をきゅっと結び、デイラは自分に言い聞かせる。
これは媚薬が言わせているたわごとだと。
「あなたが欲しくて欲しくて、たまらない……っ」
だが、切迫感に満ちたキアルズの声はデイラを強く急き立てた。
少しの沈黙の後、デイラはやんわりとキアルズの腕をほどいて起き上がる。
「……デイラ……?」
無言のまま寝台から降りると、デイラは扉のほうへと歩いていった。
「……どこに……行くの……?」
一脚の立派な椅子の前でデイラは立ち止まり、背もたれにかけてあったキアルズの上着を手に取る。
「例の干し果物は、こちらでしょうか?」
内側を探って取り出した布包みを開くと、他の果物に交ざって一粒の褐色の実が鈍く光っていた。キアルズが「お土産に」と自ら手に取ってフェイニアからもらったものだ。
「――頂戴します」
つまみ上げたナツメヤシを、デイラは躊躇することなく自分の口に放り込む。
実の部分をしっかりと噛んで飲み下すと、戦いに臨むときのような凛々しい顔つきで、再び寝台のほうを向いた。
呆気にとられたようなキアルズと目が合うと、心配いらないとでもいうようにデイラは口の端を少し上げてみせた。
非常事態とはいえ正気のままではとても無理だが、これならなんとかなるかも知れない。
今まで縁と関心がなかっただけで、確固たる意志を持って大切に純潔を守ってきたわけではない。ここでキアルズを楽にさせられるのなら望むところだとデイラは思った。
「失礼いたします」
寝台の上に戻ったデイラは、キアルズの身体を覆っていた上掛けをめくる。
先ほどよりもさらに逞しく張り出して見えるそれが目に映り、デイラはかすかに喉を鳴らした。
こんな大きなものを本当に受け容れられるのだろうかという不安を振り払い、デイラはキアルズに跨って長い下着の裾をたくし上げる。
騎士の格好をしているときとは違い、一般の女性たちと同じようにその下には何も穿いていなかった。
今度はキアルズの喉がこくりと鳴ったような気がしたが、デイラは視線を合わせずに屹立をつかみ、自分の腿の間にあてがった。
硬いのに滑らかな感触に、デイラはぴくりと身体を揺らす。
「あ……っ」
先に艶めいた声を漏らしたのは、キアルズのほうだった。
そんな様子を見ると、デイラはもっと喜ばせたくなる。
要領もよく分からないまま触れている部分を擦りつけると、そこを中心に全身が熱くなり、温かい何かがじわりと溢れてきた。
「んっ……」
呼吸が乱れる。甘やかな快さが広がってぼうっとしてきた頭の片隅で、媚薬とはこんなにすぐ効いてくるものなのかとデイラは驚いていた。
くちゅくちゅと湿った音が立つのが恥ずかしいのに、こすり合わせるのが止められない。
「デイ……ラ……」
渇望するような切なげな声が耳に届き、デイラはキアルズの望みがまだ果たされていないことを思い出した。
あなた自身に包まれたい、とキアルズは言った。
デイラもまた、自分がきゅうきゅうとキアルズを包みたがっているのを感じる。
これが愛する人を求めるということなのか――などと浮かんだ考えを、少しだけ残った理性でデイラは打ち消した。
今は、媚薬の力を借りて必要な応急処置をしているだけだ。
心の中で自分を戒め、デイラはそそり立った屹立を身中に収めようとする。
「う……」
しかし、大きく張り出した先端は、なかなかうまく挿入っていかない。
すると、不意にキアルズの手が伸びてきてデイラの臍の下あたりに優しく触れた。
「あっ」
デイラはびくんと身体を揺らす。こんなことだけで恐ろしいほど心地よく、声までしっとりと濡れたようになってしまう。
「キアルズさま……」
「『さま』は、要らない」
「キアルズ……」
素直に応じてしまう自分がデイラは不思議だった。
「デイラ、大好きだよ……」
甘い囁きにも、たやすく胸が高鳴る。
つい「私も」などと口走ってしまいそうになるのをかろうじて堪えながら、デイラは深く息を吐き、身体の力を抜いた。
「ん……っう」
すっかり蜜にまみれていた秘所のとば口を、昂りの先端がぐっと押し開く。
「ああ……」
身体の求めに正直に従い、デイラはゆっくりと腰を下ろしていった。
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