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真祖との交渉

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「さ、行くか」

いつものようにレイは、狩の支度をした。とりあえず次に行くだけの実績はできたし、準備も整いつつあるが、今日はまた大型蝙蝠を狩に行くつもりだった。ただあまり目立つと父や母に自分が蝙蝠を狩っていることがバレてしまうので、これを最後に別のもっと目立たない狩り場へと行く予定だった。ただ、肉屋からどうしてもあと一頭は手に入れて欲しいとの要望があったので、今日で仕上げをするつもりだった。

狩りは全く問題なく順調に終わった。恐怖耐性があるレイであれば、相手を脅かして直線的に体当たりをするという魔物の攻撃は通じない。最初の頃、かなり手間取っていた見かわしも、今ではスキルが生えてくるぐらいスムーズだ。

脇に退いて、刀で刺す。そして、また躱して刺す。これを繰り返し相手が失血死するまでやるだけだ。ただ、この方法だとかなり時間はかかるが3歳児のレイには、これ以上の戦法は思い浮かばないのだ。

そして、ドウッと横倒しになった蝙蝠を前に息を整えていたところ、急に寒気がして、動けなくなった。

レイの持っている恐怖耐性が仕事をしてくれない相手だと、はるか格上の相手であることが予想された。また、危険察知のスキルがいきなり生えてきたことからも、これはかなりヤバイ相手であることがわかった。

「我が眷属を殺しまわっている人間がいると知りきたら、なんと鬼子か」

これがレイと真祖ラミラの出会いであった。

真祖ラミラ。序盤戦で、運が非常に良ければ仲間にできる相手で、うまく育てれば中盤戦、そして後半戦でさえ代位戦で十分使えるキャラである。しかし、基本、最初の方で会えるお助けキャラということで、あまり使い続けるものはいなかった。なぜなら、装備がきちんとしていないと紙装甲である上、気まぐれで身につけているアイテムをつけたまま離脱してしまうことが多かったため、使うのはガチ勢だけであった。

ずっとほぼ基本、ギルドのメンバーとやっていた彼は、基本、ソロプレイ中心のためのお助けキャラは使ってこなかった。しかし、このお助けキャラは無課金で使用でき、育てさせすれば、十分課金用のサポートキャラと同じような性能だということは知っていた。ただ、邂逅率はかなり厳しく、しかもあまり使えないということで、レイは、存在をすっかり忘れていた。

しかし、いざ、現実に目の前にしてみると、終盤まで使えるキャラということで威圧感がラスボス級である。足の震えが止まらないが、レイは、勇気を振り絞って、声を出した。

真祖ラミラからの威圧が強まり、危険察知のレベルが上がったのをレイは感じた。
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