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step2 ポジティブシンキングが大事です
兄妹?遠い親戚?つまりただの男女?
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これは運命なんだと思う。
家賃滞納でアパートを追い出されたのも。
たまたま入ったお店で間違ってお酒を出されたのも。
そして、運ばれた先の病院に彰人さんがいたことも。
全ては彰人さんに巡り会わせるために、神様が仕組んでくれたに違いない。
だけど、巡り会わせてくれたこのお兄さんは本当に私のお兄さんなんでしょうか?
世間一般のお兄さんってこんなに冷たいもの?
もしかして私の存在って迷惑……?
そんなことない、きっと照れてるだけだ。
急に妹だって言われて、受け止められていないだけだ。
彰人さんは今、人見知りしているだけであって、一緒に住んでいるうちに、きっと仲良くしてくれるようになるはず……っ。
「ハム子っ、私頑張るからね」
そう決意し、鼻息を荒くしながらダンボール箱を開けていく。
ひとまず、引越し業者さんが運んでくれた私の荷物は、彰人さんの物置部屋に置かれていたのだ。
……しかし、ちょっと私には贅沢過ぎるお家だ。
この簡単に使っていいって言われた物置部屋にしたってそう。
私の前住んでいたお部屋より広いんじゃなかろうか……。
きょろきょろ部屋を見渡す。
彰人さんのお部屋はもっと広いんだろうか……?
それは、ちょっとした好奇心だった。
こっそり、部屋を出てリビングへ。
そして、彰人さんの部屋と思わしきドアを開ける。
そこには大きなベッドが一つ、でーんと置いてあった。
そして壁にはクローゼット。
だけど昼なのに暗いなー、カーテン締め切ってるからか。
シャっと開けると、そこからはそれはそれは見事な眺めが広がっていた。
夜景なんて素敵なんだろうなー……。
「……おい」
「……っ!」
……やっば、調子に乗り過ぎて時間気にしてなかった。
恐る恐る振り向くと、そこにはお風呂上りの彰人さんの姿が。
上半身裸にタオルを首にかけ、下だけズボンを履いている。
濡れた髪と裸がなんともセクシーで、思わず両手で目を覆った。
「きゃっ」
「……それ、隠す気ねぇだろ」
彰人さんに、はぁとため息をつかれながら言われる。
確かに、手で目を覆ったはずなのにしっかり見えている……。
なぜだ……?
はっ!
目のとこだけ手が避けているっ
いい男の裸を見たいという本能には抗えなかったか。
「なんで勝手に入ってんだよ」
「すいません、溢れ出る好奇心をどうしても抑えられなくて……っ」
「はぁ、これじゃ先が思いやられるな……。言っとくけど、もうこうれ以上一緒に暮らせないと思ったら、次の転居先決まっなくても容赦なく追い出すからな」
「そんな……っ、実の妹なのに。あんまりです」
「悪いけど、俺は今更お前のお兄ちゃんになるつもりはない。勝手に、家族として認識されるのは迷惑だ」
……そっか、だから冷たかったんだね。
しょぼんと俯く。
でも、
「そんな寂しいこと言わないでください!」
すぐさま顔をあげて、両手で拳をつくりながらそう言った。
「は……?」
「たった2人の兄妹じゃないですか、支え合って生きていきましょうよっ」
「俺はお前の支えなんてこれっぽちも必要としてないけどな」
「うーっ、あれ?」
ちょっと待って、そしたら彰人さんと私の関係って……。
脳内でムフフな妄想が浮かんでしまい、思わずにやけてしまう。
「なんだよ」
気持ち悪そうなものを見るような目つきで私を見る彰人さん。
「兄妹って認めないってことは、私達の関係ってどうなるんですか?」
「そうだな、共通の親族がいる遠い親戚ってとこか」
「つまり、ただの男女……」
「気持ち悪いな、何にやにやしてんだよ」
1人浮かれる私に、彰人さんはくだらなそうにクローゼットを開けて着替え始めた。
負けじと、そんな彰人さんの傍に寄っていき、目をキラキラさせながら言った。
「そんな2人が一緒に暮らしていくうちに、恋愛関係にはって……ブッ」
しかし言い終わらないうちに、ゴツンっとクローゼットがおでこにクリーンヒット。
「あ、わり、視界に入ってなかった」
「ぜっったい、嘘!」
ひりひりするおでこをすりすり擦りながら、涙目で恨めしく見上げながらそう訴えた。
あっ、もしかして……!
「彰人さん、照れてるんですか?」
「……もう一回、ぶつけられたいのか?」
すると1人私を部屋に残し、リビングへ行く彰人さん。
その後をついていくと、さっき貼り付けたばかりの2人のきまりごとに、
俺に一切の恋愛感情を抱かないこと
と、太字ででかでかと一番下に付け足されてしまった。
「そもそも、法律的にアウトだろ」
「法律的に?」
「認めたくないけど、一応血の繋がりはあるらしいからな」
「でも、恋は障害がある方が燃えるって言うじゃないですか」
どろどろの昼ドラ、ベタベタな少女漫画
を思い出しながら、声を張り上げて言う。しかし、呆れきった彰人さんは完全にシカト。
「じゃ、俺は夜まで寝るからくれぐれも起こすなよ」
「分かってます!静かにしてますっ」
びしっとおでこの上で敬礼のポーズをする。
すると無言のまま冷たい目で見下ろされてしまった。どうやら信用ないらしい。
そのまま何か諦めたかのように部屋の中へ。
私はというと自分の部屋に戻り、ダンボールを開けながらうんうん唸る。
まぁ彼女になりたいなんて冗談。
そもそも無理な話だっていうのは自分でも十分分かってる。
けどさ、いきなり兄妹だって言われて、戸惑うのはしょうがないけど。
血が繋がってる以上妹と認められたい。
そして、もうちょっと優しくして欲しいっ。
欲を言えば、もっと可愛がって欲しい!頭を撫でて、にこやかに笑いかけて欲しい!
そして、私はそんな彰人さんに存分に甘えたい!
……おっと、いけない、私のお兄さんへの想いが暴走してしまった。
お兄ちゃんに会えて、私はすごく、すごく嬉しかったのに。
だけど、彰人さんは…………
一瞬、落ち込みそうになって、すぐに自分を奮い立たせた。
いけない、いけない。
後ろ向きな考えはなしっ、現実を直視せず都合良く前向きにっ!
それが私のモットーだ。
まぁ、ろくでもない考え方だけど。
だって真面目に考えても落ち込むばっかでいいことないんだもん。
……大丈夫、絶対認めさせてやるっ!
期限は一ヶ月!
それまでに、一緒にここで暮らさないかって言わせてやる!
家賃滞納でアパートを追い出されたのも。
たまたま入ったお店で間違ってお酒を出されたのも。
そして、運ばれた先の病院に彰人さんがいたことも。
全ては彰人さんに巡り会わせるために、神様が仕組んでくれたに違いない。
だけど、巡り会わせてくれたこのお兄さんは本当に私のお兄さんなんでしょうか?
世間一般のお兄さんってこんなに冷たいもの?
もしかして私の存在って迷惑……?
そんなことない、きっと照れてるだけだ。
急に妹だって言われて、受け止められていないだけだ。
彰人さんは今、人見知りしているだけであって、一緒に住んでいるうちに、きっと仲良くしてくれるようになるはず……っ。
「ハム子っ、私頑張るからね」
そう決意し、鼻息を荒くしながらダンボール箱を開けていく。
ひとまず、引越し業者さんが運んでくれた私の荷物は、彰人さんの物置部屋に置かれていたのだ。
……しかし、ちょっと私には贅沢過ぎるお家だ。
この簡単に使っていいって言われた物置部屋にしたってそう。
私の前住んでいたお部屋より広いんじゃなかろうか……。
きょろきょろ部屋を見渡す。
彰人さんのお部屋はもっと広いんだろうか……?
それは、ちょっとした好奇心だった。
こっそり、部屋を出てリビングへ。
そして、彰人さんの部屋と思わしきドアを開ける。
そこには大きなベッドが一つ、でーんと置いてあった。
そして壁にはクローゼット。
だけど昼なのに暗いなー、カーテン締め切ってるからか。
シャっと開けると、そこからはそれはそれは見事な眺めが広がっていた。
夜景なんて素敵なんだろうなー……。
「……おい」
「……っ!」
……やっば、調子に乗り過ぎて時間気にしてなかった。
恐る恐る振り向くと、そこにはお風呂上りの彰人さんの姿が。
上半身裸にタオルを首にかけ、下だけズボンを履いている。
濡れた髪と裸がなんともセクシーで、思わず両手で目を覆った。
「きゃっ」
「……それ、隠す気ねぇだろ」
彰人さんに、はぁとため息をつかれながら言われる。
確かに、手で目を覆ったはずなのにしっかり見えている……。
なぜだ……?
はっ!
目のとこだけ手が避けているっ
いい男の裸を見たいという本能には抗えなかったか。
「なんで勝手に入ってんだよ」
「すいません、溢れ出る好奇心をどうしても抑えられなくて……っ」
「はぁ、これじゃ先が思いやられるな……。言っとくけど、もうこうれ以上一緒に暮らせないと思ったら、次の転居先決まっなくても容赦なく追い出すからな」
「そんな……っ、実の妹なのに。あんまりです」
「悪いけど、俺は今更お前のお兄ちゃんになるつもりはない。勝手に、家族として認識されるのは迷惑だ」
……そっか、だから冷たかったんだね。
しょぼんと俯く。
でも、
「そんな寂しいこと言わないでください!」
すぐさま顔をあげて、両手で拳をつくりながらそう言った。
「は……?」
「たった2人の兄妹じゃないですか、支え合って生きていきましょうよっ」
「俺はお前の支えなんてこれっぽちも必要としてないけどな」
「うーっ、あれ?」
ちょっと待って、そしたら彰人さんと私の関係って……。
脳内でムフフな妄想が浮かんでしまい、思わずにやけてしまう。
「なんだよ」
気持ち悪そうなものを見るような目つきで私を見る彰人さん。
「兄妹って認めないってことは、私達の関係ってどうなるんですか?」
「そうだな、共通の親族がいる遠い親戚ってとこか」
「つまり、ただの男女……」
「気持ち悪いな、何にやにやしてんだよ」
1人浮かれる私に、彰人さんはくだらなそうにクローゼットを開けて着替え始めた。
負けじと、そんな彰人さんの傍に寄っていき、目をキラキラさせながら言った。
「そんな2人が一緒に暮らしていくうちに、恋愛関係にはって……ブッ」
しかし言い終わらないうちに、ゴツンっとクローゼットがおでこにクリーンヒット。
「あ、わり、視界に入ってなかった」
「ぜっったい、嘘!」
ひりひりするおでこをすりすり擦りながら、涙目で恨めしく見上げながらそう訴えた。
あっ、もしかして……!
「彰人さん、照れてるんですか?」
「……もう一回、ぶつけられたいのか?」
すると1人私を部屋に残し、リビングへ行く彰人さん。
その後をついていくと、さっき貼り付けたばかりの2人のきまりごとに、
俺に一切の恋愛感情を抱かないこと
と、太字ででかでかと一番下に付け足されてしまった。
「そもそも、法律的にアウトだろ」
「法律的に?」
「認めたくないけど、一応血の繋がりはあるらしいからな」
「でも、恋は障害がある方が燃えるって言うじゃないですか」
どろどろの昼ドラ、ベタベタな少女漫画
を思い出しながら、声を張り上げて言う。しかし、呆れきった彰人さんは完全にシカト。
「じゃ、俺は夜まで寝るからくれぐれも起こすなよ」
「分かってます!静かにしてますっ」
びしっとおでこの上で敬礼のポーズをする。
すると無言のまま冷たい目で見下ろされてしまった。どうやら信用ないらしい。
そのまま何か諦めたかのように部屋の中へ。
私はというと自分の部屋に戻り、ダンボールを開けながらうんうん唸る。
まぁ彼女になりたいなんて冗談。
そもそも無理な話だっていうのは自分でも十分分かってる。
けどさ、いきなり兄妹だって言われて、戸惑うのはしょうがないけど。
血が繋がってる以上妹と認められたい。
そして、もうちょっと優しくして欲しいっ。
欲を言えば、もっと可愛がって欲しい!頭を撫でて、にこやかに笑いかけて欲しい!
そして、私はそんな彰人さんに存分に甘えたい!
……おっと、いけない、私のお兄さんへの想いが暴走してしまった。
お兄ちゃんに会えて、私はすごく、すごく嬉しかったのに。
だけど、彰人さんは…………
一瞬、落ち込みそうになって、すぐに自分を奮い立たせた。
いけない、いけない。
後ろ向きな考えはなしっ、現実を直視せず都合良く前向きにっ!
それが私のモットーだ。
まぁ、ろくでもない考え方だけど。
だって真面目に考えても落ち込むばっかでいいことないんだもん。
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