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99話 オジットギルド高山武の場合(2)
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「よう、武。戻ったぞ」
「ギルドマスター、今回は早いお戻りで」
ギルドマスターの代わりに、ギルドの仕事をしている時だった。ギルドへ戻ってくるのは10日後のはずだった、ギルドマスターが戻ってきた。
そのため俺は、その場の書類をサッと片付け、ギルドマスターの席を離れる。俺が離れるとすぐに、ドカッとギルマスが座った。
「あのダンジョンの魔獣達が弱過ぎてな。早めにダンジョン攻略が終わっちまったんだよ」
「他の場所へは?」
「協会の連中が、近くのダンジョンで緊急も調査を始めたもんでな。今、少しでも俺達に繋がる、何かに気づかれるとまずいから、今回は取りやめだ」
「ああ、なるほど。前回の魔獣達の襲撃や、他にも何かあったようで、それの調査をしていますからね。まぁ、これは仕方がないでしょう」
「まぁな。で、こっちはどうだった? 早く戻ったとはいえ、20日も開けていたからな」
「こちらは、いつも通りという感じですかね。素材は予定通りに集められていますし、それについて何か、協会から疑われている事もありません」
「そうか。奴らは、修也達はどうだ?」
「あの馬鹿な人達は、いつも通りの生活に戻っている感じですかね」
「そうか」
「まぁ、どちらかと言うと、おとなしいですかね。あの事があってからは、ギルド内からの評判も悪いですから、前のようにはまだ振る舞えないでしょう。……私への態度はいつも通りですが」
「……」
「……」
「……あー、それは申し訳ないんだが、もう少し待ってもらってだな」
こいつ、忘れてたな。俺が早くあの馬鹿な人達のパーティーメンバーから抜けたいと、代わりを用意してくれとお願いしていし、そっちも分かったと言っていたのに。
他の県のダンジョンへ行っていて、忙しいのは分かっているが、その中の数日は、お酒を飲んで過ごしているのを知っているんだぞ。
「次回のあなたの仕事が終わるまでに、私ねの対応が変わらないのであれば、私が代わりにダンジョンへ行き、あなたはここに監禁して、毎日書類仕事を……」
「わ、分かった!! 悪かった!! 必ず代わりを用意する!!」
「私は本気ですからね。ああ、そうですね! まずは体験してみたらどうでしょう? せっかく早く帰れて、10日ほど時間ができたんですから、10日程、監禁生活をしてみる。まぁ、私はあなたの何倍もの速さで、あなたが溜めていた書類を片付けていたので、残りは少ないから、すぐに監禁生活は終わると思いますが」
俺は、ギルドマスターの前に、書類の山を置いてやる。
「待て待て、まだ全ての話しが終わってないだろう!!」
「話しながらでも、書類仕事ができなくてどうします。さぁ!」
俺はギルドマスターに、書類の山から、適当に書類を何枚か取ると、ギルドマスターの前にバシッ!! と置いた。
「ちっ、こんな事なら帰って来るんじゃなかったな」
「何ですか?」
「い、いや、こっちの話しだ。はあぁぁぁ……。で、話しを戻すが、そろそろ修也達の方、俺からの方の仕事も、徐々に戻していこうと思うんだが。そろそろまた計画を進めたいからな。……この書類、パソコンに入んないのかよ」
ペラペラ書類をめくるギルドマスター。ちゃんと見ろと睨めば、慌てて1枚目からやり直す。
「それは協会に言ってください。ああ、チェックリストはデータで送られてきていますよ。署名はそちらに。それで、あちらの様子は?」
「何で蒼効率が悪いんだよ。と、まぁまぁ、ってところだな。ただ、レベルがやはり上がりにくいみたいでな。あれからまた2しか上がっていない」
「2ですか!? 確かにもともと上がりにくいとは思っていましたが。最初よりもされに上がらなくなっていませんか? あれだけダンジョンに入っているし、素材も与えているのに」
「人間や他の魔獣と同じで、レベルが上がればあがるだけ、後半は上がりにくくなるのか。まぁ、それにしても上がらなすぎだが。それか、俺達のレベル上げの方法が間違っているのか。俺も、あれの事はよく分からんからな」
「あまりにも上がらないのならば、他の物を試した方が良いのでは?」
「それがなぁ、魔獣を倒す以外に与える素材を、同じ種類でも違う物に変えてみたんだが、変化はなかった。だから、もしも変えるのならば、また初めから調べ直さなくちゃならんかもしれん」
「はぁ、そうですか。……まだまだ時間がかかりそうですね」
「ああ、だが、確実に少しずつではあるが、俺の目標には近づいてきているからな」
「そうですね」
トントンッ!!
話していると、誰かがドアをノックした。
「赤西です。ギルドマスターがお帰りと聞いて」
「おう! 入れ!」
来たのは私の後輩の赤西だった。私がギルドのため、ギルドマスターのために用意した後輩だ。
「ギルドマスター、武先輩、お疲れ様です!!」
「おう! お前も調子良さそうじゃねぇか。これなら修也達よりも早く、ギルドランキングを上るんじゃねぇか?」
「そんな、先輩達を抜くなんて」
「ふっ、そんな顔して、全然そんな事思ってないだろう」
「あっ、バレましたか?」
「そりゃあ、あの人達と、本当に実力が違いますからね。それで、何か用事が?」
「実は、次回のギルドマスターのダンジョン攻略に、僕も連れて行ってもらいたいんです」
「次回の?」
「詳しく話しなさい」
「ギルドマスター、今回は早いお戻りで」
ギルドマスターの代わりに、ギルドの仕事をしている時だった。ギルドへ戻ってくるのは10日後のはずだった、ギルドマスターが戻ってきた。
そのため俺は、その場の書類をサッと片付け、ギルドマスターの席を離れる。俺が離れるとすぐに、ドカッとギルマスが座った。
「あのダンジョンの魔獣達が弱過ぎてな。早めにダンジョン攻略が終わっちまったんだよ」
「他の場所へは?」
「協会の連中が、近くのダンジョンで緊急も調査を始めたもんでな。今、少しでも俺達に繋がる、何かに気づかれるとまずいから、今回は取りやめだ」
「ああ、なるほど。前回の魔獣達の襲撃や、他にも何かあったようで、それの調査をしていますからね。まぁ、これは仕方がないでしょう」
「まぁな。で、こっちはどうだった? 早く戻ったとはいえ、20日も開けていたからな」
「こちらは、いつも通りという感じですかね。素材は予定通りに集められていますし、それについて何か、協会から疑われている事もありません」
「そうか。奴らは、修也達はどうだ?」
「あの馬鹿な人達は、いつも通りの生活に戻っている感じですかね」
「そうか」
「まぁ、どちらかと言うと、おとなしいですかね。あの事があってからは、ギルド内からの評判も悪いですから、前のようにはまだ振る舞えないでしょう。……私への態度はいつも通りですが」
「……」
「……」
「……あー、それは申し訳ないんだが、もう少し待ってもらってだな」
こいつ、忘れてたな。俺が早くあの馬鹿な人達のパーティーメンバーから抜けたいと、代わりを用意してくれとお願いしていし、そっちも分かったと言っていたのに。
他の県のダンジョンへ行っていて、忙しいのは分かっているが、その中の数日は、お酒を飲んで過ごしているのを知っているんだぞ。
「次回のあなたの仕事が終わるまでに、私ねの対応が変わらないのであれば、私が代わりにダンジョンへ行き、あなたはここに監禁して、毎日書類仕事を……」
「わ、分かった!! 悪かった!! 必ず代わりを用意する!!」
「私は本気ですからね。ああ、そうですね! まずは体験してみたらどうでしょう? せっかく早く帰れて、10日ほど時間ができたんですから、10日程、監禁生活をしてみる。まぁ、私はあなたの何倍もの速さで、あなたが溜めていた書類を片付けていたので、残りは少ないから、すぐに監禁生活は終わると思いますが」
俺は、ギルドマスターの前に、書類の山を置いてやる。
「待て待て、まだ全ての話しが終わってないだろう!!」
「話しながらでも、書類仕事ができなくてどうします。さぁ!」
俺はギルドマスターに、書類の山から、適当に書類を何枚か取ると、ギルドマスターの前にバシッ!! と置いた。
「ちっ、こんな事なら帰って来るんじゃなかったな」
「何ですか?」
「い、いや、こっちの話しだ。はあぁぁぁ……。で、話しを戻すが、そろそろ修也達の方、俺からの方の仕事も、徐々に戻していこうと思うんだが。そろそろまた計画を進めたいからな。……この書類、パソコンに入んないのかよ」
ペラペラ書類をめくるギルドマスター。ちゃんと見ろと睨めば、慌てて1枚目からやり直す。
「それは協会に言ってください。ああ、チェックリストはデータで送られてきていますよ。署名はそちらに。それで、あちらの様子は?」
「何で蒼効率が悪いんだよ。と、まぁまぁ、ってところだな。ただ、レベルがやはり上がりにくいみたいでな。あれからまた2しか上がっていない」
「2ですか!? 確かにもともと上がりにくいとは思っていましたが。最初よりもされに上がらなくなっていませんか? あれだけダンジョンに入っているし、素材も与えているのに」
「人間や他の魔獣と同じで、レベルが上がればあがるだけ、後半は上がりにくくなるのか。まぁ、それにしても上がらなすぎだが。それか、俺達のレベル上げの方法が間違っているのか。俺も、あれの事はよく分からんからな」
「あまりにも上がらないのならば、他の物を試した方が良いのでは?」
「それがなぁ、魔獣を倒す以外に与える素材を、同じ種類でも違う物に変えてみたんだが、変化はなかった。だから、もしも変えるのならば、また初めから調べ直さなくちゃならんかもしれん」
「はぁ、そうですか。……まだまだ時間がかかりそうですね」
「ああ、だが、確実に少しずつではあるが、俺の目標には近づいてきているからな」
「そうですね」
トントンッ!!
話していると、誰かがドアをノックした。
「赤西です。ギルドマスターがお帰りと聞いて」
「おう! 入れ!」
来たのは私の後輩の赤西だった。私がギルドのため、ギルドマスターのために用意した後輩だ。
「ギルドマスター、武先輩、お疲れ様です!!」
「おう! お前も調子良さそうじゃねぇか。これなら修也達よりも早く、ギルドランキングを上るんじゃねぇか?」
「そんな、先輩達を抜くなんて」
「ふっ、そんな顔して、全然そんな事思ってないだろう」
「あっ、バレましたか?」
「そりゃあ、あの人達と、本当に実力が違いますからね。それで、何か用事が?」
「実は、次回のギルドマスターのダンジョン攻略に、僕も連れて行ってもらいたいんです」
「次回の?」
「詳しく話しなさい」
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