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79話 追放した人達は今(7)
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「許可証を」
協会の人間にそう言われて、俺は許可証を取り出して渡す。
「確認終わりました。今回入るのはお1人という事で、こちらをおつけください」
「分かっている。……これで良いか」
「動作確認をいたしますのでお待ちください。……大丈夫ですね、ではお気をつけて」
「お前達行くぞ」
俺は今、B級ダンジョンに来ている、もちろん俺のレベルに合わせて、B級でもなかなかに、強い魔獣達が出てくるB級ダンジョンにだ。
久しぶりの仕事以外のダンジョン。ずっと赤西との問題で、罰としてダンジョンに潜っていたのが少し前。ようやくそれが終わっても、なかなかここまでのレベルのダンジョンには入れる仕事をまわされず。ようやく入れるようになったのが少し前だ。
そしてそんな忙しく面倒くさい生活をしていたため、俺達は仕事以外でなかなかダンジョンに入る事ができず。今日ようやく久しぶりに、仕事以外でダンジョンに入れる。
しかし久しぶりのダンジョンと言っても、パーティーメンバー全員で来たわけではない。今頃他の奴らは他の奴らで好きな事をしているだろう。俺は今日1人で、ダンジョンにやってきたんだ。
「良いですか、それは絶対に外さないでください」
「分かっている」
まったくしつこい奴らだ。俺ならば問題などないというのに。今協会の奴らが、こちらをお付けください、絶対に外さないでください、と言った物。それは1人でダンジョンに入る者に必ず渡される物で、形は腕時計のような物だ。
何故こんな物を渡されるのか。それはダンジョン内で何かがあった時のためだ。協会はダンジョンからプレイヤーが戻ってこない時の事を想定して、色々対策をとっている。
これもその一環なんだが、パーティーでダンジョンで中に入った場合は。もし何かが起きた場合、そう動けなくなるような何かが起きた場合。自分が動けなくなったとしても、他のパーティーメンバーの誰かが動く事ができれば、協会の人間に助けを求める事ができる。
何も外に出なくとも、途中で見回りをしている協会の人間に出会ったら、そいつに頼めば良いしな。
しかし個人でダンジョンに入った場合、動けなくなってしまえば、助けを呼ぶこともできず。最悪そのまま……、ということも。
まぁ、パーティーメンバー全員が動けなくなれば、同じだろうと思うが。それでもパーティーよりも個人の方が危険は多いからな。
そういう時の場合、この腕時計のような物を使い、プレイヤーを捜索するし。自分でこれを使い、協会の練習に連絡をとることもできる。
新人達のパーティーの場合も、全員がやられる可能性が高いため、付けさせることが多い。俺達の時はもちろん付けなかったが。
今日のダンジョン。もちろん俺にとっては余裕だが、これを使わないと違反として扱われ。その時の状況に応じて、2ヶ月から最高は決められておらず、ダンジョン立ち入り禁止を言い渡されてしまうため。ここは協会の規則に従っておく。
俺はさっさとダンジョンの中に入り、周りを確認する。
「入り口付近や中間までは、大した奴らはいないからな。さっさと奥まで進むぞ」
『ぐおぉぉぉっ!!』
『ギギギギギッ』
『ピピピッ』
俺の前を、今日は誰から戦うか話しながら進む魔獣達。久しぶりに自由な戦闘ができると、朝からかなり盛り上がっていたが。
数日前、受付の女から癒しを受けないかと言われ。もしかしたらあいつがそれを言ってきたのかと思ったが、最初は本当にあの受付の女方の提案だったようだ。後からコイツらから聞いたからな。まぁ、本当の事を言っているか分からないが。
しかし、後からの提案は。定期的に癒しを受けないかという提案。あれも受付の女から提案だと言っていたが、どうにも最初と違いかなり詳しい提案だったからな。こちらはあいつからの提案だろう。
そして俺は、この提案を受け入れた。前だったらそんな事は絶対にしなかっただろうが、今回は確かめたい事があるからな。
少し前のこいつらの強さ。あれがあいつの力と関係していたら? 癒しなんて、あんなどうしようもない力と思っていたが。本当にそれで力が強くなるならば、定期的にあいつの癒しを受けた方が良い。
何せ、あいつの癒しは毎回予約がいっぱいだと言うからな。提案を受けて優先的に癒しをさせる事ができれば、こんなに良い事はないだろう。
そういった事を全て確認するためにも、何度か定期的に癒しを受けダンジョンに入らなければ。
そしてもし、俺の考えが合っているならば、他に知られてはいけない。その事が皆に知られれば、あいつの評価は上がり、簡単に癒しを受けられなくなるだろう。
しかし、おかしいと思う部分も。あいつは今までに、何体もの魔獣達を癒してきたはずだ。それなのにそういった話しを聞いた事はないし、噂さえ聞いた事がない。
癒しを受けた魔獣達の契約者が、魔獣達を家族だ相棒だと、生ぬるい事を言っている奴らだとしても。いやそういう奴らだからこそ、魔獣達の変化には敏感なはずで、その変化に気づくはずだ。だが、何も言っている雰囲気はない。
「まぁ、何にしろ、確かめれば良いだけのこと」
『グアァァァ』
『ギギギ』
『ピピっピッ!!』
「おい! 先の戦うのはそっちの2匹だ! お前は出るんじゃない!!」
勝手な事を。メッセージバードが最初に小さな魔獣を戦うと言い出し、俺はすぐにそれを止めた。まったくふざけた事を言う。小さな鳥に何ができる? 俺が知りたいのはそっちの2匹の力だ。お前の場合は、連絡が早くなるくらいだろう。
ブツブツ何か文句をいう魔獣達。だが戦えるからなのか、それ以上馬鹿な事は言わなかった。
協会の人間にそう言われて、俺は許可証を取り出して渡す。
「確認終わりました。今回入るのはお1人という事で、こちらをおつけください」
「分かっている。……これで良いか」
「動作確認をいたしますのでお待ちください。……大丈夫ですね、ではお気をつけて」
「お前達行くぞ」
俺は今、B級ダンジョンに来ている、もちろん俺のレベルに合わせて、B級でもなかなかに、強い魔獣達が出てくるB級ダンジョンにだ。
久しぶりの仕事以外のダンジョン。ずっと赤西との問題で、罰としてダンジョンに潜っていたのが少し前。ようやくそれが終わっても、なかなかここまでのレベルのダンジョンには入れる仕事をまわされず。ようやく入れるようになったのが少し前だ。
そしてそんな忙しく面倒くさい生活をしていたため、俺達は仕事以外でなかなかダンジョンに入る事ができず。今日ようやく久しぶりに、仕事以外でダンジョンに入れる。
しかし久しぶりのダンジョンと言っても、パーティーメンバー全員で来たわけではない。今頃他の奴らは他の奴らで好きな事をしているだろう。俺は今日1人で、ダンジョンにやってきたんだ。
「良いですか、それは絶対に外さないでください」
「分かっている」
まったくしつこい奴らだ。俺ならば問題などないというのに。今協会の奴らが、こちらをお付けください、絶対に外さないでください、と言った物。それは1人でダンジョンに入る者に必ず渡される物で、形は腕時計のような物だ。
何故こんな物を渡されるのか。それはダンジョン内で何かがあった時のためだ。協会はダンジョンからプレイヤーが戻ってこない時の事を想定して、色々対策をとっている。
これもその一環なんだが、パーティーでダンジョンで中に入った場合は。もし何かが起きた場合、そう動けなくなるような何かが起きた場合。自分が動けなくなったとしても、他のパーティーメンバーの誰かが動く事ができれば、協会の人間に助けを求める事ができる。
何も外に出なくとも、途中で見回りをしている協会の人間に出会ったら、そいつに頼めば良いしな。
しかし個人でダンジョンに入った場合、動けなくなってしまえば、助けを呼ぶこともできず。最悪そのまま……、ということも。
まぁ、パーティーメンバー全員が動けなくなれば、同じだろうと思うが。それでもパーティーよりも個人の方が危険は多いからな。
そういう時の場合、この腕時計のような物を使い、プレイヤーを捜索するし。自分でこれを使い、協会の練習に連絡をとることもできる。
新人達のパーティーの場合も、全員がやられる可能性が高いため、付けさせることが多い。俺達の時はもちろん付けなかったが。
今日のダンジョン。もちろん俺にとっては余裕だが、これを使わないと違反として扱われ。その時の状況に応じて、2ヶ月から最高は決められておらず、ダンジョン立ち入り禁止を言い渡されてしまうため。ここは協会の規則に従っておく。
俺はさっさとダンジョンの中に入り、周りを確認する。
「入り口付近や中間までは、大した奴らはいないからな。さっさと奥まで進むぞ」
『ぐおぉぉぉっ!!』
『ギギギギギッ』
『ピピピッ』
俺の前を、今日は誰から戦うか話しながら進む魔獣達。久しぶりに自由な戦闘ができると、朝からかなり盛り上がっていたが。
数日前、受付の女から癒しを受けないかと言われ。もしかしたらあいつがそれを言ってきたのかと思ったが、最初は本当にあの受付の女方の提案だったようだ。後からコイツらから聞いたからな。まぁ、本当の事を言っているか分からないが。
しかし、後からの提案は。定期的に癒しを受けないかという提案。あれも受付の女から提案だと言っていたが、どうにも最初と違いかなり詳しい提案だったからな。こちらはあいつからの提案だろう。
そして俺は、この提案を受け入れた。前だったらそんな事は絶対にしなかっただろうが、今回は確かめたい事があるからな。
少し前のこいつらの強さ。あれがあいつの力と関係していたら? 癒しなんて、あんなどうしようもない力と思っていたが。本当にそれで力が強くなるならば、定期的にあいつの癒しを受けた方が良い。
何せ、あいつの癒しは毎回予約がいっぱいだと言うからな。提案を受けて優先的に癒しをさせる事ができれば、こんなに良い事はないだろう。
そういった事を全て確認するためにも、何度か定期的に癒しを受けダンジョンに入らなければ。
そしてもし、俺の考えが合っているならば、他に知られてはいけない。その事が皆に知られれば、あいつの評価は上がり、簡単に癒しを受けられなくなるだろう。
しかし、おかしいと思う部分も。あいつは今までに、何体もの魔獣達を癒してきたはずだ。それなのにそういった話しを聞いた事はないし、噂さえ聞いた事がない。
癒しを受けた魔獣達の契約者が、魔獣達を家族だ相棒だと、生ぬるい事を言っている奴らだとしても。いやそういう奴らだからこそ、魔獣達の変化には敏感なはずで、その変化に気づくはずだ。だが、何も言っている雰囲気はない。
「まぁ、何にしろ、確かめれば良いだけのこと」
『グアァァァ』
『ギギギ』
『ピピっピッ!!』
「おい! 先の戦うのはそっちの2匹だ! お前は出るんじゃない!!」
勝手な事を。メッセージバードが最初に小さな魔獣を戦うと言い出し、俺はすぐにそれを止めた。まったくふざけた事を言う。小さな鳥に何ができる? 俺が知りたいのはそっちの2匹の力だ。お前の場合は、連絡が早くなるくらいだろう。
ブツブツ何か文句をいう魔獣達。だが戦えるからなのか、それ以上馬鹿な事は言わなかった。
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