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33話 可愛い問題児達

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 ガッシャアァァァンッ!! 大きな音が倉庫の中から響いた。倉庫の外に居た、俺とラビと晴翔は一斉に倉庫を見る。ブーちゃんは……、うん、まぁ日常になりつつある音にもう慣れたのか、車の中でいつも通り仰向けで寝たままだ。

「おい、タク」

「はぁ、またやったな」

「これから協会に行くんだ、片付ける時間なんかないぞ」

「とりあえず確認して、あまりにも酷かったら、また別の日に片付けに来るよ。さすがに今日は遅刻はできないからな」

「だよな。今度は何をやらかしたんだか」

 俺達が話していると、倉庫の中からププちゃんが出てきた。そしてちょっと怒っている顔で俺の事を呼ぶ。ププちゃんが怒っているのは俺にじゃない、中にいる可愛い問題児にだ。

 すぐに倉庫の扉の前に行き中を覗くと、まぁ、やらかしていた。左側の棚の上に置いてあっただろう荷物が床に散らかり、足の踏み場が半分なくなっている。
 そしてその左側の棚の上には、『あらぁ』というような顔をしている可愛い問題児が。そう、クーちゃんが、散らかった床を見ていた。

「クーちゃん、何をやっているんだ?」

 そうして俺が声を掛ければ、ビクッと震えた後、俺の方を見てきて、『ん?』という可愛い顔をしてきたクーちゃん。いや、そんな顔をして誤魔化そうとしても、誰がこの倉庫内を、こんなに悲惨な状態にしたか、バレているからな? ププちゃんという目撃者もいるんだ。

「はぁ、クーちゃん。クーちゃんがやったのは分かっているんだぞ。また俺達の言う事を聞かないで、上の荷物を動かさずに、下の荷物を引っ張ったんだろう。まったくこんなに散らかして! これから用事で出かけるのに、片付ける時間はないんだぞ!」

『ボク、しらなぁい』

『ぷぷぷっ!! ぷぷ~!!』

 やったのはクーお兄ちゃんでしょう!! ぼくはダメって言ったのに!! と、ププちゃんにも怒られるクーちゃん。どっちがお兄ちゃんだか。まぁ数ヶ月の差だけどさ。

「クーちゃん、あんまり同じことばかりすると、もうどこにも連れてきてあげないぞ?」

『ボク、ちがうもん』

「自分が悪い事をしたら、ちゃんと謝らないといけないって教えただろう。というかお前のパパとママにも言われてるんだろう?」

『ブー』

『ブーじゃない! 誰がここを片付けると思っているんだ?』

 と、なかなか罪を認めないクーちゃん。ここでププちゃんの出番である。何故か俺の言うことよりも、ププちゃんの言う事を聞くクーちゃん。ここからププちゃんのお叱りが始まった。

 ちゃんとごめんなさいしないとダメなんだよとか、みんなが大切にしている物が、壊れちゃうかもしれないんだよとか。俺の代わりに叱ってくれる。そうして最後には、おやつあげないからね!! でお叱りが終わるんだ。

 そうなるとクーちゃんは、しっかりと俺や晴翔、みんなに謝ってくる。

『ごめんなさい……』

「はぁ、片付けは明日やるから、ちゃんと一緒に片付けるんだぞ」

『うん……』

 というような感じで。まぁ、ちゃんと謝ってくれるし、きちんと反省した後は、最後まできちんと片付けをしてくれるから良いんだけど。

 実はこのクーちゃんのやらかし。クーちゃんが何かをやらかして、ププちゃんが叱って、そして謝るまでで、話しは終わらないんだ。

 俺と晴翔が、クーちゃんが落としてバラバラにした物を、明日どう片付けようか話していると。ププちゃんとクーちゃんが、そっと小屋から出て行った。
 すぐに俺達はププちゃん達の様子を、倉庫から隠れて伺う。ププちゃん達は倉庫から出るとラビと合流し、小さな声で話し合いを始めた。

 今回のはやっちゃいけないやつだよ。大事な物が壊れちゃうかもしれないからね。今度やるなら、あっちに置いてある物が良いよ。それで隠しておいて驚かせるのが良いかも。
 あとは僕達が書いて良いよって言った場所には、道具を使ってお絵描きして、慌てさせるのも良いし。ちゃんと僕達が教えてあげるからね。良い? 今日のは本当にごめんなさいだからね。

 一体何の話し合いなのか? 真面目に話しているが、それはイタズラの話しなんだよ。今回は撮影の道具だから、壊れるとまずいって、ププちゃん達はちゃんと分かっていて。だから本気でクーちゃんを叱ったんだ。

 だけど大人の驚いたり、慌てたりする姿を見るのも大好きなププちゃん達。小さい頃、みんなもちょっとしたイタズラをしただろう? それと同じでププちゃん達も、俺達にイタズラをしたいんだ。

 たぶん今回のクーちゃんのやらかし。クーちゃんが興味があって触ったのも事実なんだろうけど。半分はイタズラの気持ちもあったのかもしれない。
 ダンジョンから出たばかりのクーちゃん。どこまでが本当に悪いことで、どこまでがイタズラなのか、今ププちゃん達が教えているところなんだ。

 それで俺達にイタズラの話しは聞かせられないからって、ああやって集まって、こそこそ話し合いをする、って感じだ。

「可愛い問題児が増えたな」
 
「今までだって、かなりのイタズラをやってきたのに。これからさらに増えるのかよ」

「イタズラが成功した時のラビ達は、本当に嬉しそうだからな。そのせいで一応怒るけど、本気で怒れないし」

「はぁ、撮影の時だけは静かにしていてほしんだけどな」

「そうなんだよなぁ。この前の紹介配信の時みたいになるとな」

 この前のクーちゃん紹介配信。最後はボロボロだった。俺が転けたことで被害が増えて。そしてその後またクーちゃんがやらかして。視聴者さん達は大盛り上がりだったし、その後のアーカイブ配信も、ドタバタのおかげなのか、再生回数が伸び続けているから、まぁ良いけど。

 だけど毎回俺や周りがボロボロになってたら、たまったもんじゃない。自分に癒し魔法をかけたいくらいだ。もう少し落ち着いてくれると良いんだけどな。

「はぁ、明日はここの片付けか」

「ははっ、パパは大変だな。俺もだけど。さ、そろそろ協会へ行くか」

「ああ」

 可愛い問題児達が、今日はもう何もやらかさないと良いけど。
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