33 / 110
33話 可愛い問題児達
しおりを挟む
ガッシャアァァァンッ!! 大きな音が倉庫の中から響いた。倉庫の外に居た、俺とラビと晴翔は一斉に倉庫を見る。ブーちゃんは……、うん、まぁ日常になりつつある音にもう慣れたのか、車の中でいつも通り仰向けで寝たままだ。
「おい、タク」
「はぁ、またやったな」
「これから協会に行くんだ、片付ける時間なんかないぞ」
「とりあえず確認して、あまりにも酷かったら、また別の日に片付けに来るよ。さすがに今日は遅刻はできないからな」
「だよな。今度は何をやらかしたんだか」
俺達が話していると、倉庫の中からププちゃんが出てきた。そしてちょっと怒っている顔で俺の事を呼ぶ。ププちゃんが怒っているのは俺にじゃない、中にいる可愛い問題児にだ。
すぐに倉庫の扉の前に行き中を覗くと、まぁ、やらかしていた。左側の棚の上に置いてあっただろう荷物が床に散らかり、足の踏み場が半分なくなっている。
そしてその左側の棚の上には、『あらぁ』というような顔をしている可愛い問題児が。そう、クーちゃんが、散らかった床を見ていた。
「クーちゃん、何をやっているんだ?」
そうして俺が声を掛ければ、ビクッと震えた後、俺の方を見てきて、『ん?』という可愛い顔をしてきたクーちゃん。いや、そんな顔をして誤魔化そうとしても、誰がこの倉庫内を、こんなに悲惨な状態にしたか、バレているからな? ププちゃんという目撃者もいるんだ。
「はぁ、クーちゃん。クーちゃんがやったのは分かっているんだぞ。また俺達の言う事を聞かないで、上の荷物を動かさずに、下の荷物を引っ張ったんだろう。まったくこんなに散らかして! これから用事で出かけるのに、片付ける時間はないんだぞ!」
『ボク、しらなぁい』
『ぷぷぷっ!! ぷぷ~!!』
やったのはクーお兄ちゃんでしょう!! ぼくはダメって言ったのに!! と、ププちゃんにも怒られるクーちゃん。どっちがお兄ちゃんだか。まぁ数ヶ月の差だけどさ。
「クーちゃん、あんまり同じことばかりすると、もうどこにも連れてきてあげないぞ?」
『ボク、ちがうもん』
「自分が悪い事をしたら、ちゃんと謝らないといけないって教えただろう。というかお前のパパとママにも言われてるんだろう?」
『ブー』
『ブーじゃない! 誰がここを片付けると思っているんだ?』
と、なかなか罪を認めないクーちゃん。ここでププちゃんの出番である。何故か俺の言うことよりも、ププちゃんの言う事を聞くクーちゃん。ここからププちゃんのお叱りが始まった。
ちゃんとごめんなさいしないとダメなんだよとか、みんなが大切にしている物が、壊れちゃうかもしれないんだよとか。俺の代わりに叱ってくれる。そうして最後には、おやつあげないからね!! でお叱りが終わるんだ。
そうなるとクーちゃんは、しっかりと俺や晴翔、みんなに謝ってくる。
『ごめんなさい……』
「はぁ、片付けは明日やるから、ちゃんと一緒に片付けるんだぞ」
『うん……』
というような感じで。まぁ、ちゃんと謝ってくれるし、きちんと反省した後は、最後まできちんと片付けをしてくれるから良いんだけど。
実はこのクーちゃんのやらかし。クーちゃんが何かをやらかして、ププちゃんが叱って、そして謝るまでで、話しは終わらないんだ。
俺と晴翔が、クーちゃんが落としてバラバラにした物を、明日どう片付けようか話していると。ププちゃんとクーちゃんが、そっと小屋から出て行った。
すぐに俺達はププちゃん達の様子を、倉庫から隠れて伺う。ププちゃん達は倉庫から出るとラビと合流し、小さな声で話し合いを始めた。
今回のはやっちゃいけないやつだよ。大事な物が壊れちゃうかもしれないからね。今度やるなら、あっちに置いてある物が良いよ。それで隠しておいて驚かせるのが良いかも。
あとは僕達が書いて良いよって言った場所には、道具を使ってお絵描きして、慌てさせるのも良いし。ちゃんと僕達が教えてあげるからね。良い? 今日のは本当にごめんなさいだからね。
一体何の話し合いなのか? 真面目に話しているが、それはイタズラの話しなんだよ。今回は撮影の道具だから、壊れるとまずいって、ププちゃん達はちゃんと分かっていて。だから本気でクーちゃんを叱ったんだ。
だけど大人の驚いたり、慌てたりする姿を見るのも大好きなププちゃん達。小さい頃、みんなもちょっとしたイタズラをしただろう? それと同じでププちゃん達も、俺達にイタズラをしたいんだ。
たぶん今回のクーちゃんのやらかし。クーちゃんが興味があって触ったのも事実なんだろうけど。半分はイタズラの気持ちもあったのかもしれない。
ダンジョンから出たばかりのクーちゃん。どこまでが本当に悪いことで、どこまでがイタズラなのか、今ププちゃん達が教えているところなんだ。
それで俺達にイタズラの話しは聞かせられないからって、ああやって集まって、こそこそ話し合いをする、って感じだ。
「可愛い問題児が増えたな」
「今までだって、かなりのイタズラをやってきたのに。これからさらに増えるのかよ」
「イタズラが成功した時のラビ達は、本当に嬉しそうだからな。そのせいで一応怒るけど、本気で怒れないし」
「はぁ、撮影の時だけは静かにしていてほしんだけどな」
「そうなんだよなぁ。この前の紹介配信の時みたいになるとな」
この前のクーちゃん紹介配信。最後はボロボロだった。俺が転けたことで被害が増えて。そしてその後またクーちゃんがやらかして。視聴者さん達は大盛り上がりだったし、その後のアーカイブ配信も、ドタバタのおかげなのか、再生回数が伸び続けているから、まぁ良いけど。
だけど毎回俺や周りがボロボロになってたら、たまったもんじゃない。自分に癒し魔法をかけたいくらいだ。もう少し落ち着いてくれると良いんだけどな。
「はぁ、明日はここの片付けか」
「ははっ、パパは大変だな。俺もだけど。さ、そろそろ協会へ行くか」
「ああ」
可愛い問題児達が、今日はもう何もやらかさないと良いけど。
「おい、タク」
「はぁ、またやったな」
「これから協会に行くんだ、片付ける時間なんかないぞ」
「とりあえず確認して、あまりにも酷かったら、また別の日に片付けに来るよ。さすがに今日は遅刻はできないからな」
「だよな。今度は何をやらかしたんだか」
俺達が話していると、倉庫の中からププちゃんが出てきた。そしてちょっと怒っている顔で俺の事を呼ぶ。ププちゃんが怒っているのは俺にじゃない、中にいる可愛い問題児にだ。
すぐに倉庫の扉の前に行き中を覗くと、まぁ、やらかしていた。左側の棚の上に置いてあっただろう荷物が床に散らかり、足の踏み場が半分なくなっている。
そしてその左側の棚の上には、『あらぁ』というような顔をしている可愛い問題児が。そう、クーちゃんが、散らかった床を見ていた。
「クーちゃん、何をやっているんだ?」
そうして俺が声を掛ければ、ビクッと震えた後、俺の方を見てきて、『ん?』という可愛い顔をしてきたクーちゃん。いや、そんな顔をして誤魔化そうとしても、誰がこの倉庫内を、こんなに悲惨な状態にしたか、バレているからな? ププちゃんという目撃者もいるんだ。
「はぁ、クーちゃん。クーちゃんがやったのは分かっているんだぞ。また俺達の言う事を聞かないで、上の荷物を動かさずに、下の荷物を引っ張ったんだろう。まったくこんなに散らかして! これから用事で出かけるのに、片付ける時間はないんだぞ!」
『ボク、しらなぁい』
『ぷぷぷっ!! ぷぷ~!!』
やったのはクーお兄ちゃんでしょう!! ぼくはダメって言ったのに!! と、ププちゃんにも怒られるクーちゃん。どっちがお兄ちゃんだか。まぁ数ヶ月の差だけどさ。
「クーちゃん、あんまり同じことばかりすると、もうどこにも連れてきてあげないぞ?」
『ボク、ちがうもん』
「自分が悪い事をしたら、ちゃんと謝らないといけないって教えただろう。というかお前のパパとママにも言われてるんだろう?」
『ブー』
『ブーじゃない! 誰がここを片付けると思っているんだ?』
と、なかなか罪を認めないクーちゃん。ここでププちゃんの出番である。何故か俺の言うことよりも、ププちゃんの言う事を聞くクーちゃん。ここからププちゃんのお叱りが始まった。
ちゃんとごめんなさいしないとダメなんだよとか、みんなが大切にしている物が、壊れちゃうかもしれないんだよとか。俺の代わりに叱ってくれる。そうして最後には、おやつあげないからね!! でお叱りが終わるんだ。
そうなるとクーちゃんは、しっかりと俺や晴翔、みんなに謝ってくる。
『ごめんなさい……』
「はぁ、片付けは明日やるから、ちゃんと一緒に片付けるんだぞ」
『うん……』
というような感じで。まぁ、ちゃんと謝ってくれるし、きちんと反省した後は、最後まできちんと片付けをしてくれるから良いんだけど。
実はこのクーちゃんのやらかし。クーちゃんが何かをやらかして、ププちゃんが叱って、そして謝るまでで、話しは終わらないんだ。
俺と晴翔が、クーちゃんが落としてバラバラにした物を、明日どう片付けようか話していると。ププちゃんとクーちゃんが、そっと小屋から出て行った。
すぐに俺達はププちゃん達の様子を、倉庫から隠れて伺う。ププちゃん達は倉庫から出るとラビと合流し、小さな声で話し合いを始めた。
今回のはやっちゃいけないやつだよ。大事な物が壊れちゃうかもしれないからね。今度やるなら、あっちに置いてある物が良いよ。それで隠しておいて驚かせるのが良いかも。
あとは僕達が書いて良いよって言った場所には、道具を使ってお絵描きして、慌てさせるのも良いし。ちゃんと僕達が教えてあげるからね。良い? 今日のは本当にごめんなさいだからね。
一体何の話し合いなのか? 真面目に話しているが、それはイタズラの話しなんだよ。今回は撮影の道具だから、壊れるとまずいって、ププちゃん達はちゃんと分かっていて。だから本気でクーちゃんを叱ったんだ。
だけど大人の驚いたり、慌てたりする姿を見るのも大好きなププちゃん達。小さい頃、みんなもちょっとしたイタズラをしただろう? それと同じでププちゃん達も、俺達にイタズラをしたいんだ。
たぶん今回のクーちゃんのやらかし。クーちゃんが興味があって触ったのも事実なんだろうけど。半分はイタズラの気持ちもあったのかもしれない。
ダンジョンから出たばかりのクーちゃん。どこまでが本当に悪いことで、どこまでがイタズラなのか、今ププちゃん達が教えているところなんだ。
それで俺達にイタズラの話しは聞かせられないからって、ああやって集まって、こそこそ話し合いをする、って感じだ。
「可愛い問題児が増えたな」
「今までだって、かなりのイタズラをやってきたのに。これからさらに増えるのかよ」
「イタズラが成功した時のラビ達は、本当に嬉しそうだからな。そのせいで一応怒るけど、本気で怒れないし」
「はぁ、撮影の時だけは静かにしていてほしんだけどな」
「そうなんだよなぁ。この前の紹介配信の時みたいになるとな」
この前のクーちゃん紹介配信。最後はボロボロだった。俺が転けたことで被害が増えて。そしてその後またクーちゃんがやらかして。視聴者さん達は大盛り上がりだったし、その後のアーカイブ配信も、ドタバタのおかげなのか、再生回数が伸び続けているから、まぁ良いけど。
だけど毎回俺や周りがボロボロになってたら、たまったもんじゃない。自分に癒し魔法をかけたいくらいだ。もう少し落ち着いてくれると良いんだけどな。
「はぁ、明日はここの片付けか」
「ははっ、パパは大変だな。俺もだけど。さ、そろそろ協会へ行くか」
「ああ」
可愛い問題児達が、今日はもう何もやらかさないと良いけど。
108
お気に入りに追加
393
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!
ありぽん書籍発売中
ファンタジー
いつも『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』をご愛読いただき、ありがとうございます。
10月21日、『もふもち』コミカライズの配信がスタートしました!!
江戸はち先生に可愛いジョーディ達を描いていただきました。
先生、ありがとうございます。
今後とも小説のジョーディ達、そしてコミカライズのジョーディ達を、よろしくお願いいたします。
*********
小学3年生の如月啓太は、病気により小学校に通えないまま、病院で息を引き取った。
次に気が付いたとき、啓太の前に女神さま現れて、啓太自身の話を聞くことに。
そして啓太は別の世界の、マカリスター侯爵家次男、ジョーディ・マカリスターとして転生することが決まる。
すくすくそだった啓太改めジョーディは1歳に。
そしてジョーディには友達がいっぱい。でも友達は友達でも、人間の友達ではありません。
ダークウルフの子供にホワイトキャットの子供に。何故か魔獣の友達だらけ。
そんなジョーディの毎日は、父(ラディス)母(ルリエット)長男(マイケル)、そしてお友達魔獣達と一緒に、騒がしくも楽しく過ぎていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる