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27話 ドラゴンチビ助、今日から家族になりました

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「はぁ、お前は、どうして面倒な事ばかりやるんだよ」

「いやいや、これは俺のせいじゃないだろ。大体俺だって、ここにこんな奴が居るなんて知らなかったし。そっちも把握してなかったんだろ?」

「……それで、このチビが出てきた時、何か前兆みたいな物はなかったか?」

「叔父さん?」

 おい、何話し逸らしてるんだよ。俺には散々文句言っといて。

「あー、あー、そうだよ。把握してなかったよ。これで良いんだろう!」

「はぁ」

「康伸おじさん、とりあえず向こうで話しをした方が良いんじゃ? こんな真ん中に立って話しをしてたら、他の調査員の邪魔になるだろうし」

「ああ、そうだな。よし、お前達こっちに来い」

 まったく何でこんな事になったのか。俺はただゆっくりするために、このダンジョンに来ただけだったのに。まさかこんな大事になるなんて。

 結論から先に言うと、俺達に新しい家族が増えた。うん。とっても可愛いい家族だ。歳はププちゃんよりも少し上だな。まだまだ小さな子で、1番歳の近いププちゃんに、今のところ1番懐いている。
 でもラビともブーちゃんとも、もう意気投合しているから、新しい家族として迎える事に、問題はないだろう。そう、ラビ達にとっては。

 問題は俺達の方だ。可愛い家族が増えたのは嬉しい。嬉しいが、その家族の存在が問題だった。

 新しく家族になったのはドラゴン種で、ホワイトドラゴンと呼ばれる、光の魔法を得意とする、S級に分類される生き物だったんだよ。まぁ、さらに詳しく言えば、ホワイトドラゴンの赤ちゃんだけど。

 あの時の流れはこうだ。突然現れたホワイトドラゴンのチビ助。高ランクの危険とされるドラゴン種が、居ないはずのこの平和なダンジョンにどうして? と、俺と晴翔が固まっていると。
 ラビが、チビ助がププちゃんのボールを背中に背負っているのに気づいて、ププちゃんにそれを報告。俺はチビ助の存在にビックリして、ボールを持っているなんて気づかなかったよ。

 それで報告を受けたププちゃんがチビ助の所へ行ってしまい、それを俺が慌てて追いかけたってわけだ。
 攻撃されるかとドキドキしていた俺、本当に慌てたよ。小さくてもドラゴン。攻撃されたらププちゃんなんてひとたまりもないだろうし、俺達だってどうなるか分からなかったからな。

 だけど俺が心配していた事は、1つも起こらなかった。ププちゃんがチビ助に、自分のボールだから返してくれる? と聞くと。チビ助はすぐにボールを返してくれて。
 その後、何かを言われたププちゃん。その回答が、うん、これからお菓子食べるの、それでその後は、またいっぱい遊んで、それからお家に帰るんだ、で。

 その後またまた何かを話すチビ助。すると今度は、うん! 僕達みんな家族!! 晴翔は別の家族でお兄ちゃんだけど。でもみんな家族!! って。

 最初は何の話しをしているのか、チビ助の登場に衝撃を受けていた俺は、理解が追いつかなかなくてさ。だけど次のププちゃんの言葉に、流石に現実に引き戻されたよ。

 そうなのぉ? 家族いないの寂しいもんねぇ。じゃあ、お家にくれば良いよ。僕達家族になろう!! 今日から僕達家族!! 嬉しいなぇ!! だった。

 その言葉に、とても嬉しそうにその辺を飛び回ったチビ助。飛び回った後は、ラビといつの間にか起きたブーちゃんに挨拶。挨拶されたラビとブーちゃんは、チビ助が家族になることを、もう承知していて。

 それでも止めようとしていた俺。が、最後に俺の所に飛んできた、ププちゃんよりも少しだけ大きなチビ助は、すっぽりと俺の腕の中に収まると。とても嬉しいそうな顔で、鼻歌を歌い出したんだ。

 その時、ラビ達と契約した時のように、チビ助に繋がりを感じた俺。これは完璧に契約を待っているサインで。
 ここまで繋がりを感じて契約しないわけにもいかず。それにこんなに嬉しそうにしているチビ助を、離すことなんかできるはずもなく。俺はホワイトドラゴンのチビ助と契約する事になったんだ。

 が、それからが問題だった。まずはダンジョンの見回りしていた協会の人に、今起こった事を報告。伝えた時の、そしてチビ助を見た時の、協会の人の驚きようと言ったら。まぁ、そうなるよなと。

 そうしてすぐに、協会の人々が集められた。その中には協会で理事をしている、父さんのお兄さん。井上康伸叔父さんも来てくれて。本当は簡単に現場には出てこないけど、やらかしたのが俺だったから来てくれたんだ。

「ドラゴンと契約している奴がいないわけじゃないが。ブーより少し多いくらいなんだぞ。それをお前は、ブーに引き続きドラゴンまで契約するなんて」

「だから俺のせいじゃないって。それにここにドラゴンが居たことの方が問題だろう」

「分かってんだよそんなこと。だが少しは文句を言わせろい。はぁ、これからここはしばらく封鎖だ。他の同じようなダンジョンも調べ直さないといかん。が、その前にお前だ。とりあえず登録は俺がしておいてやる」

「ありがとう叔父さん」

「だが、登録が完璧に済むまで、そのドラゴンは家から出すなよ。俺達が管理していると、他が確認できるようになるまではな。変な連中が寄ってくるかもしれん。それと印はしっかりと付けておけ」

「ああ」

「あとなるべく早く、今のそいつの力がどのくらいなのか調べに来い。力を把握しておくのは大事なことだからな。場合によっては、ドラゴンと契約している俺の知り合いを紹介してやる」

「ありがとう、助かるよ」

「はぁ、俺は仕事が増えて最悪な気分だよ。心配事も増えたしな。今日はとりあえずそのまま帰れ。協会の奴に送らせるから」

「ああ。じゃあすぐに帰りの用意をするよ」

「俺はこれからそいつがいつからここに居たか調べるが、はぁ、今日は徹夜か?」

『ねぇ、タクパパ』

「ん? 何だ?」

 今話しかけてきたのはチビ助だ。力が強いせいか契約した途端、しっかりと話しができるようになった。

『なにをしらべるの?』

「お前がどうしてここに居たのか調べるんだよ。もしかしたら、何かよくない事もあるかもしれないしね」

『ぼく、ここにきたの、すこしまえだよ。べつのどうくつで、へんなドラゴンがおそってきたから、パパがあぶないからって、ぼくをここにおくってくれたの』

「は?」

「何だ? どうしたんだ?」

「あー、叔父さん、俺もよく分からないんだけど、チビ助の事は少し解決するかも」

「は?」
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