ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!

ありぽん書籍発売中

文字の大きさ
上 下
3 / 110

3話 今日ももふもふスローライフ配信始めます!! 2

しおりを挟む
“ん? 見た事ない野菜だな? 野菜?”
“俺も見たことないけど、あんな野菜あったっけ?”

「この2つの野菜、今日のクッキーに入れる予定なのですが。実はこの野菜、ラビが地球産の野菜とダンジョン産の野菜を、交配して作った物なんです。な、ラビ」

 俺が野菜を持ってラビに話しかけると、俺の言っていることが伝わっただろうラビが、えっへんと腰しに手を当て胸を張って立った。

“魔獣が交配!?”
“確かに今までも、かなりの新種の物が作られてきたけど”
“まさか魔獣がそれをやるなんて”
“あれって協会の専門の人達がやるんだろ?”
“別に一般の人がやったって良いんだよ。ただ申請をしろって話し“
“そうなのか”
“それにしたって、魔獣が交配するなんてな”
“ラビたん凄~い!!”
“さすがラビたん!!”

「野菜については別の日の配信でやるつもりですが、気になる方は俺の名前で協会に登録してあるので、検索してみてください』

“後で検索しよ”
“ラビたんの野菜、できるなら食べてみたい!”
“ラビちゃん大好きな私は絶対に食べないと!!”

 まずは途中までの工程は2つとも同じなので、新しい視聴者さんにもわかりやすいよう1つずつ説明をし、クッキーの生地は無事に出来上がった。そうして基本のクッキーはそのまま型抜きをして完成。

 基本のクッキー作りが終われば、次はラビが作った新種の野菜を使ったクッキーを作っていく。と、ここで事件は起きた。

まぁ、原因は俺なんだけど。

「それじゃあ野菜を切っていきますね。2つありますが、野菜を作ってくれたラビが好きな方から……」

 野菜の1つは青色が強く、もう1つの方は少しだけ青色が暗く、ラビは青が暗い方の野菜が好きだったため、俺はそっちの野菜の手を伸ばしたのだが……。
 間違った。ニコニコしていたラビが、俺が野菜を掴んだ瞬間、俺の顔にドロップキックをかましてきた。そのドロップキックにより、その場に倒れ込む俺。

“あ、くらった”
“今のは完璧に入ったんじゃないか?”
“これは間違えたなw”
“ラビたんが好きな野菜は、色が少し暗い方の野菜の方……と” 
“色がなぁ。あれじゃあ見慣れるまで間違うかもな”
“あーあ、ちゃんと確かめないから”
“おーい、生きてるかぁ?”
“大丈夫だろ、その辺この子達はちゃんと分かってるから”
“お、足が動いた、生きてる生きてるw”

「イタタタタ、俺間違えたか?」

 俺が頬を摩りながら起き上がるとラビに聞いた。するとラビは片足をパシパシ鳴らしながら、もう1つの方も野菜を見て。その後は、2つの野菜を俺の所に持ってきて。きゅうきゅうと鳴きながら、野菜が違うだろう、と俺に説教をしてきた。

「悪かったよ、次は気をつける」

『きゅ!!』

 しっかりしてくれよって感じで、野菜をもとの位置に戻し、自分の位置に戻るラビ。

“怒られる保護者w”
“これじゃあどっちがどっちだかw”
“ラビたん、さすが!!”
“ラビた~ん!!”

 はぁ、これでまた俺への反応が……。

 その後俺は、間違えないように、そしてドロップキックをされないように。細心の注意を払いながら、何とか綺麗にクッキーを焼き上げることができた。

 良い匂いが部屋中に漂う。そしてオーブンからクッキーを取りだし、テーブルに運ぼうと後ろを向くと。
 さっき視聴者さん達が言っていた通り、いつの間に起きたのか。ブーちゃんがベランダから俺の後ろに移動して、クッキーを食べるスタンバイをしていた。

“やっぱりw”
“くそっ、気にしてたのに、今日も移動するところを見逃した!”
“私も”
“俺もだ。誰か移動したところ見たか?”
“いや、俺は見てないぞ”

 コメント欄が、ブーちゃんが移動しているところを見ていない、ってコメントで溢れる。そう、ブーちゃんの動いている姿を見るのは、かなり難しんだ。たぶん今回も、誰も見てないんじゃないかな。

“今回も全滅か~?”
“くそ、次回こそ絶対に見てやる!!”
“ブーちゃん専用カメラがあればなぁ”

「みなさん、次回は頑張って、ブーちゃんが動くところを見てくださいね。では、最後試食に移ります」

 クッキーをお皿に分け、飲み物を用意し、カメラマンの晴翔も席に着いたら、みんなで今日のクッキーを食べる。ラビもププちゃんもブーちゃん、みんなニコニコしていたから、今回のクッキーはやはり成功だろう。
 今回、俺が野菜を間違えて、ラビにドロップキックをおみまいされた以外は、問題なく配信を終える事ができそうだ。

「それでは今日の配信はここまでになります。次回の配信予定は3日後を予定しています。詳しくは【もふっとチャンネル】サイトをご覧ください。そしてもし俺達の配信を気に入っていただけたなら、良いねとチャンネル登録お願いします。それでは次回!! ほらみんな挨拶して」

『きゅう!!』

『ぷぷぷ~!!』

『みょおぉぉぉ!』

“今日も楽しかった!!”
“お疲れ様でした!!”
“では皆さんまた次回”
“ラビちゃ~ん、またねぇ!!”
“ププちゃん、今日も可愛かったよ!!”
“ブーちゃん、次回こそは!!”

「それではまたよろしくお願いいます! じゃあ!!」

 全ての機材のスイッチを切り、配信が完璧に止まっている事を確認する。ふう、これで話しても大丈夫だな。

「タク、お疲れ!」

「晴翔もお疲れ! みんなもお疲れ様!!」

『きゅう!!』

『ぷぷぷ~!!』

『みょおぉぉぉ! み……むふぁぁぁぁ』

「はは、クッキー食べたらまた昼寝か」

「まぁ、ブーちゃんだからな。さぁ、俺達は片付けをしよう」

「ああ」

  ふぅ、今日の配信も無事に終わらせる事がでいて良かった。……ドロップキックさえなければ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん書籍発売中
ファンタジー
いつも『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』をご愛読いただき、ありがとうございます。 10月21日、『もふもち』コミカライズの配信がスタートしました!! 江戸はち先生に可愛いジョーディ達を描いていただきました。 先生、ありがとうございます。 今後とも小説のジョーディ達、そしてコミカライズのジョーディ達を、よろしくお願いいたします。       ********* 小学3年生の如月啓太は、病気により小学校に通えないまま、病院で息を引き取った。 次に気が付いたとき、啓太の前に女神さま現れて、啓太自身の話を聞くことに。 そして啓太は別の世界の、マカリスター侯爵家次男、ジョーディ・マカリスターとして転生することが決まる。 すくすくそだった啓太改めジョーディは1歳に。 そしてジョーディには友達がいっぱい。でも友達は友達でも、人間の友達ではありません。 ダークウルフの子供にホワイトキャットの子供に。何故か魔獣の友達だらけ。 そんなジョーディの毎日は、父(ラディス)母(ルリエット)長男(マイケル)、そしてお友達魔獣達と一緒に、騒がしくも楽しく過ぎていきます。

処理中です...