ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!

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6話 ブーちゃん緊急配信1

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「……」

「……」

「なぁ」

「何だよ」

「これは緊急配信した方が良いんじゃないか?」

「偶然だな。俺も今そう思ってたところだ」

「オヤジさんに許可とって、配信させてもらうか」

「だよな。許可は必要だよな。他のお客さんにも聞かないと」

「……」

「……」

「「急げ!!」」

 俺と晴翔の声が重なり、俺は急いでオヤジさんの所へ。オヤジさんとは俺達が訪れる協会の販売店を仕切っているオヤジさんで、名前は純一さんだ。いつも俺達の相談に乗ってくれる良いオヤジさんなんだよ。
 そして晴翔は晴翔で、配信の許可が降りた時用に、撮影の準備を始め。数分後……。

「皆さんこんにちは。【もふっとチャンネル】の拓哉です!! 今俺達は、協会の中にある販売店から、緊急配信を行っています!! そう、ブーちゃん緊急配信です!!」

 本当に急な配信だったため、事前予告などできるわけもなく、急いで俺達が運営しているサイトに情報を流したけれど、どれだけの人達が気づいて見てくれることか。と、少し心配だったけど。平日の昼間だというのに、かなりの視聴者さんが集まってくれてホッとした。

 たぶんブーちゃん効果だろう。こんなブーちゃんの姿を生で見られると視聴者さんは、本当にラッキーだと思う。

“本当に配信してる!!”
“みんな間に合ったか!?”
“ブーちゃんの緊急配信、見にこないなんてありえん”
“リモートで仕事中だけど覗きにきた”
“いや、仕事しろよw”
“ブーちゃ~ん!!”
 
 うん、無理はしないでくれな。仕事の方が大切だから。これの放送はちゃんと録画してあって、後でアップするからさ。

 何故俺達が協会の販売店で緊急配信を始めたのか。それは普段ほとんど動かないブーちゃんが、かなりの動きを見せ、今までにない表情を見せたからだ。
 
 販売店に来た俺達は、すぐにそれぞれ手分けして、俺はぶーちゃんをおぶったまま、今度の畑配信に必要な物を。晴翔は他に必要な物を、そしてラビとププちゃんは、自分が買って欲しい物を探し始めた。

 まぁ、ブーちゃんをおんぶしての買い物の大変な事。結局ずっとおんぶしていてやる事はできず、途中でブーちゃんを下ろすことに。

 最初は俺に抗議の目を向けながら、両手両足を完全に開いた状態で、地面に伏せたブーちゃん。そんなブーちゃんを、他のお客さんの邪魔にならないように気をつけながら、買い物を続けた俺。

 が、それは突然だった。首だけ動かして、周りを見ていたブーちゃんが、急に一点を見つめたかと思ったら。何と自らの足で、俺達はお店の端にいたんだけど、お店の中心へと向かって歩き出したんだ。

 ブーちゃんが外で、こんなに歩いくのを初めて見て驚いた俺は、急いで晴翔を呼ぶことに。そして駆けつけた晴翔も、歩き続けるブーちゃんを見てかなり驚き。

 思わず黙った俺達だったけど、これは緊急配信をしなければと、俺はお店の親父さんと、協会に撮影の許可をとり。晴翔はカメラの準備を終えると、その時お店にいたお客さんに、これから生配信をするかもしれないと伝えてくれて。

 ありがたいことに、オヤジさんと協会からはすぐに許可を得ることができ。これまたありがたいことに、今回お店にいたお客さん達はみんな、俺達のチャンネルの事を知っていて、自分達のことは気にぜず配信してくれ、と言ってくれたため。

 こうして俺達は今、ブーちゃん緊急配信を始めた所だ。

“おおお!! 本当に歩いてる!!”
“みんな、ブーちゃんが歩いてるぞ!!”
“寝姿しか見たことがなかったブーちゃんが!!”
“マジかよ!! こんなにしっかり歩いてるなんて!!”
“落ち着け、みんな落ち着くんだ!! 本当に本物のブーちゃんか!?”
“さすがに緊急配信だから、かいつもより人いないな”
“みんなお知らせに気づけ! 気づくんだ!!”
“うう、こんな世紀の瞬間に立ち会えるなんて”

 歩き始めて数分。歩いていると言っても、超スローペースで歩いてくれているブーちゃんは、まだ歩き続けてくれていて、ようやくお店の半分まで歩いた所だ。そのため緊急配信を見に来てくれた視聴者さん達に、ブーちゃんの動いている姿を見せることができたよ。

 と、ここで少し落ち着いてきた視聴者さん達が、ブーちゃんの歩きに疑問を持ち始めた。

“ところで何であんなに歩いてるんだ?”
“そういえば”
“良いじゃないか何だって”
“そうそう、今日はブーちゃんが歩いた記念配信なんだから”
“でもさぁ、気になるじゃん”
“あれだけ動かないブーちゃんが、あんなに歩いてるんだぜ?”
“確かに。気になるは気になるな”

 うん、それは俺も気になる。こんなに歩くほど、ブーちゃんは何が気になってるんだ? 

「本当に、何が気になって、こんなに歩いているんでしょうね。俺にも分からないんですよ。ここはもう少しブーちゃんを静かに見守ろうと思います」

“うん、それが良いな”
“好きなお菓子でもあったんじゃない?”
“それかお肉の塊とかな”
“ブーちゃんの食に対する動きは、いつも見えない動きだからな”
“今日は食べ物まで距離があるから、ゆっくり歩いてるとか?”
“いつもは寝ているとはいえ、みんなの側に居るもんな”
“それでご飯が出てくると、いつの間にか後ろでスタンばってるw”

 それからも歩き続けるブーちゃん。と、ここでラビとププちゃんがブーちゃんの所に。2匹とも自分が買いたい物をいくつかしっかりと持っていて。おそらく自分達の買い物がすんで、気づけばブーちゃんが歩いていたから、急いでブーちゃんの所に集まって来たんだろう。
 
 2匹の表情を見て笑いそうになった。何で歩いてんだ? そんなに動いてどうしたの? って感じの驚いた表情で、ブーちゃんの事を見ていたんだよ。視聴者さんもそれに気づいて笑っている。

“ラビとププのあの表情w”
“家族なのに、2匹もあまりのことに驚いてるじゃんw”
“こいつどうした!?って感じだよなw”
“やばいあの表情ウケるwww”
“家族も驚くブーちゃん歩きw”

 そうして俺達やみんなを驚かせたブーちゃんは、その後も少しだけ歩き続け、ついにある場所で止まったんだ。



      *・゜゚・*:.。..。.:*・' .。.:*・゜゚・* *・゜゚・*:.。..。.:*・' .。.:*・゜゚・*

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12時、15時、18時、21時
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