62 / 72
62.みんなそれぞれの気持ち
しおりを挟む
いつもよりちょっと早い夕食を食べた僕達。僕達も今日は早く寝ておかないとって事で、最後にもう1度だけ、自分達の荷物を確認して寝ることに。
もちろん僕は、さっきお母さんに渡された、ノート2冊とテディーの薬を、しっかりと確認。
セレン達は自分の大切な物と、いつも素材採取で使っている、大切な道具を確認して。大切な物とは、みんなが色々な場所で見つけたおもちゃのことだ。みんなにとっては大切な物だからね。ちゃんと持っていかないとって、最初に入れていた。
そしてアンセルのカバンには、必要になりそうな薬を入れてもらった。僕達のカバンにも入っているけれど、それで足りなくなるといけないから。後はご飯が入っている事を確認して。
全部がしっかりと準備してあったから、さぁ寝ようって、僕達の部屋に行こうとしたところに。カロリーナがやって来た。
「カロリーナ、話しは?」
「うん、聞いた。お父さん達は前線だって」
「じゃあ、うちと同じだね」
「私も前線で、前線の後ろの方」
「え? カロリーナが? だって僕達はまだ学生なんだよ。しかもこの前上に進級したばっかりなのに!?」
まさかの事に大きな声を出してしまって、僕は口を塞いだ。お父さん達が寝ているんだから静かにしなくちゃ。
「うん、でも私は前線。広範囲の火魔法を使えるから。私の火魔法は、中級の冒険者の誰よりも広いからだって」
「カロリーナ、そこまで魔法が使えるようになっていたの?」
「うん、この前できるようになった。それで森を焼きすぎそうになって怒られた」
なんでこんな時に。もう少し後だったら、今回は前線に出なくても良かったかもしれないのに。いくら学生でも、実力が中級冒険者並みかその上をいくと、前線の立たされる事があるんだよ。なんでカロリーナ、こんな時にそんな強い魔法が使えるように……。
俺は思わず下を向いてしまった。よく分かっていないセレン達が僕の様子を心配して、顔を覗き込んでくる。
『アーベル、どうしたの?』
『カロリーナ、どうかしたのか?』
『アーベル苦しい?』
『どうしたの?』
その後流れる沈黙。でもすぐにそれは終わって、カロリーナが話してきた。
「みんなのために戦える。私の憧れの人に、少し近づけた」
ハッ!! として、顔を上げた僕。カロリーナを見ると、カロリーナは小さい時から変わらない、かわいい笑顔で僕の事を見ていた。
「私の夢、まだまだぜんぜん足りないけど、でも少しだけ近づけた。私はみんなを守。アーベルとアーベルの家族を守る。そのために勉強も訓練も頑張った」
そうだ、カロリーナの夢は、自分と同じ火魔法を使い。カロリーナの前で上級の火魔法を使い、みんなを助けた上級冒険者だったっけ。
その上級冒険者には、まだまだ追いつけていないけど、それでもここまでその上級冒険者を目指して、頑張ってきたんだよな。
「私、頑張る。だからアーベルに、行ってらっしゃいって言ってもらいたい。私もアーベルに行ってらっしゃいする」
俺は小さく深呼吸をした。カロリーナは覚悟を決めている。みんなを、僕達を守ってくれるって。それなのに僕は、なんでこんな時に魔法が使えるように、なんて思ったんだろう。しっかりと行ってらっしゃいをしなくちゃ。
「うん、そうだね。カロリーナは今まで頑張ってきたんだから、その魔法で魔獣を薙ぎ払っちゃえ!」
「うん!!」
「僕もみんなが怪我した時は、しっかりと回復魔法をかけて、みんなを元気にするよ!」
「うん!!」
「カロリーナ、行ってらっしゃい!!」
「行ってきます!! アーベルも行ってらっしゃい!!」
お互いに行ってらっしゃいをした後、僕とカロリーナはハイタッチをした。それから順番にセレン達ともハイタッチをして。
カロリーナに訓練してもらっているのに、頭を撫でられるのは、小さい時から断固拒否のセレン。そんなセレンもハイタッチをして。今日は特別だから、余計なことはしないかなと思ったら。ハイタッチの後に、いつもの威嚇の『チッ!!』をしていたよ。
それを見てニコニコするカロリーナ。まぁ、これが本当の2人の挨拶みたいなものだから、まぁ、良いか。
「それじゃあ!」
「全部終わったら、またみんなでご飯」
「そうだね! またみんなでご飯を食べよう!!」
手を振って自分の家の向かうカロリーナ。そんなカロリーナの姿が見えなくなるまで僕は手を振り続けた後、家に入った。
その後すぐに眠りについた僕。どれくらいの眠っただろう、誰かが僕の事を起こしたと思ったら、お母さんだった。そろそろ行くらしい。もちろんみんなで見送りだ。
「それじゃあ、アーベル、みんなも気をつけるのよ」
「何かがあった時は、自分達の安全を優先するんだぞ」
「もしもこの街を離れる事になったら、分かってるわね」
「みんなのなるべく、バラバラにならずに行動するんだぞ」
「お父さん、お母さん、僕もみんなも大丈夫だよ。お父さん達に言われた事、しっかりと守るから」
そう僕が言うと、お母さんとお父さんが、僕の事を抱きしめてきた。
「アーベル、愛しているわ。必ずここへ帰ってきましょう」
「ああ、必ずみんなで」
大丈夫、家族みんながいれば、どんな困難だって乗り越えられるんだから。みんなでまたこの街で、楽しく暮らすんだ。
「うん、お父さん、お母さん、気をつけて」
お父さん達が僕から離れると、お母さんはちょっと涙目だった。お母さん、僕は大丈夫だから。
その後お母さん達は、みんなを抱きしめて、まずは街の中心に向かって行った。さっきのカロリーナみたいに、お母さんとお父さんが見えなくなるまで手を振っていたよ。
「……」
『『『……』』』
「さぁ、僕達はもう少し寝ようか。朝日が昇ってきたら起きて、ご飯をしっかり食べて、街の中心へ行こう。みんな、僕達も頑張ろうね!!」
『うん、頑張る!!』
『誰にも負けないぞ!!』
『ハピちゃん、いっぱい頑張る!!』
『ぼくも!!』
『お前達、色々と面倒は起こすなよ』
『そうよ、頑張るのは良いけど、やり過ぎはいけませんよ』
『お前達はすぐに調子に乗るからな』
セレンの両親は、いつもはお母さんとお父さんと一緒に行動しているけれど、今回は僕達と行動する事に。
みんなが大丈夫と言いながら、攻撃をする真似をしながら家に入っていく。うん、僕達なら大丈夫!!
もちろん僕は、さっきお母さんに渡された、ノート2冊とテディーの薬を、しっかりと確認。
セレン達は自分の大切な物と、いつも素材採取で使っている、大切な道具を確認して。大切な物とは、みんなが色々な場所で見つけたおもちゃのことだ。みんなにとっては大切な物だからね。ちゃんと持っていかないとって、最初に入れていた。
そしてアンセルのカバンには、必要になりそうな薬を入れてもらった。僕達のカバンにも入っているけれど、それで足りなくなるといけないから。後はご飯が入っている事を確認して。
全部がしっかりと準備してあったから、さぁ寝ようって、僕達の部屋に行こうとしたところに。カロリーナがやって来た。
「カロリーナ、話しは?」
「うん、聞いた。お父さん達は前線だって」
「じゃあ、うちと同じだね」
「私も前線で、前線の後ろの方」
「え? カロリーナが? だって僕達はまだ学生なんだよ。しかもこの前上に進級したばっかりなのに!?」
まさかの事に大きな声を出してしまって、僕は口を塞いだ。お父さん達が寝ているんだから静かにしなくちゃ。
「うん、でも私は前線。広範囲の火魔法を使えるから。私の火魔法は、中級の冒険者の誰よりも広いからだって」
「カロリーナ、そこまで魔法が使えるようになっていたの?」
「うん、この前できるようになった。それで森を焼きすぎそうになって怒られた」
なんでこんな時に。もう少し後だったら、今回は前線に出なくても良かったかもしれないのに。いくら学生でも、実力が中級冒険者並みかその上をいくと、前線の立たされる事があるんだよ。なんでカロリーナ、こんな時にそんな強い魔法が使えるように……。
俺は思わず下を向いてしまった。よく分かっていないセレン達が僕の様子を心配して、顔を覗き込んでくる。
『アーベル、どうしたの?』
『カロリーナ、どうかしたのか?』
『アーベル苦しい?』
『どうしたの?』
その後流れる沈黙。でもすぐにそれは終わって、カロリーナが話してきた。
「みんなのために戦える。私の憧れの人に、少し近づけた」
ハッ!! として、顔を上げた僕。カロリーナを見ると、カロリーナは小さい時から変わらない、かわいい笑顔で僕の事を見ていた。
「私の夢、まだまだぜんぜん足りないけど、でも少しだけ近づけた。私はみんなを守。アーベルとアーベルの家族を守る。そのために勉強も訓練も頑張った」
そうだ、カロリーナの夢は、自分と同じ火魔法を使い。カロリーナの前で上級の火魔法を使い、みんなを助けた上級冒険者だったっけ。
その上級冒険者には、まだまだ追いつけていないけど、それでもここまでその上級冒険者を目指して、頑張ってきたんだよな。
「私、頑張る。だからアーベルに、行ってらっしゃいって言ってもらいたい。私もアーベルに行ってらっしゃいする」
俺は小さく深呼吸をした。カロリーナは覚悟を決めている。みんなを、僕達を守ってくれるって。それなのに僕は、なんでこんな時に魔法が使えるように、なんて思ったんだろう。しっかりと行ってらっしゃいをしなくちゃ。
「うん、そうだね。カロリーナは今まで頑張ってきたんだから、その魔法で魔獣を薙ぎ払っちゃえ!」
「うん!!」
「僕もみんなが怪我した時は、しっかりと回復魔法をかけて、みんなを元気にするよ!」
「うん!!」
「カロリーナ、行ってらっしゃい!!」
「行ってきます!! アーベルも行ってらっしゃい!!」
お互いに行ってらっしゃいをした後、僕とカロリーナはハイタッチをした。それから順番にセレン達ともハイタッチをして。
カロリーナに訓練してもらっているのに、頭を撫でられるのは、小さい時から断固拒否のセレン。そんなセレンもハイタッチをして。今日は特別だから、余計なことはしないかなと思ったら。ハイタッチの後に、いつもの威嚇の『チッ!!』をしていたよ。
それを見てニコニコするカロリーナ。まぁ、これが本当の2人の挨拶みたいなものだから、まぁ、良いか。
「それじゃあ!」
「全部終わったら、またみんなでご飯」
「そうだね! またみんなでご飯を食べよう!!」
手を振って自分の家の向かうカロリーナ。そんなカロリーナの姿が見えなくなるまで僕は手を振り続けた後、家に入った。
その後すぐに眠りについた僕。どれくらいの眠っただろう、誰かが僕の事を起こしたと思ったら、お母さんだった。そろそろ行くらしい。もちろんみんなで見送りだ。
「それじゃあ、アーベル、みんなも気をつけるのよ」
「何かがあった時は、自分達の安全を優先するんだぞ」
「もしもこの街を離れる事になったら、分かってるわね」
「みんなのなるべく、バラバラにならずに行動するんだぞ」
「お父さん、お母さん、僕もみんなも大丈夫だよ。お父さん達に言われた事、しっかりと守るから」
そう僕が言うと、お母さんとお父さんが、僕の事を抱きしめてきた。
「アーベル、愛しているわ。必ずここへ帰ってきましょう」
「ああ、必ずみんなで」
大丈夫、家族みんながいれば、どんな困難だって乗り越えられるんだから。みんなでまたこの街で、楽しく暮らすんだ。
「うん、お父さん、お母さん、気をつけて」
お父さん達が僕から離れると、お母さんはちょっと涙目だった。お母さん、僕は大丈夫だから。
その後お母さん達は、みんなを抱きしめて、まずは街の中心に向かって行った。さっきのカロリーナみたいに、お母さんとお父さんが見えなくなるまで手を振っていたよ。
「……」
『『『……』』』
「さぁ、僕達はもう少し寝ようか。朝日が昇ってきたら起きて、ご飯をしっかり食べて、街の中心へ行こう。みんな、僕達も頑張ろうね!!」
『うん、頑張る!!』
『誰にも負けないぞ!!』
『ハピちゃん、いっぱい頑張る!!』
『ぼくも!!』
『お前達、色々と面倒は起こすなよ』
『そうよ、頑張るのは良いけど、やり過ぎはいけませんよ』
『お前達はすぐに調子に乗るからな』
セレンの両親は、いつもはお母さんとお父さんと一緒に行動しているけれど、今回は僕達と行動する事に。
みんなが大丈夫と言いながら、攻撃をする真似をしながら家に入っていく。うん、僕達なら大丈夫!!
349
お気に入りに追加
1,522
あなたにおすすめの小説


やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。


【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる