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60.タイミングが良かった?
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それからもアンセルとアドルフさんの話しは続いた。僕はもちろんアンセルの言葉を伝えるだけで、他のことに関して、僕の意見を言ったり、質問をしたりはしなかった。
だって魔獣の強さについてだって、行動についてだって、僕なんかが分かるわけもなく。元上級冒険者のアドルフさんと、今まで自然で暮らしていて、みんなをまとめていたアンセルの方が、色々なことを知っていて、それに対して対策が取れるんだから。
僕が口を挟んで、話し合いの時間が伸びる方が問題だ。セレン達にも大事な話しだからと、静かにしていてねと言ったら。最初はその場で静かにしていたみんな。でも途中で話しに飽きてしまったようで。途中から部屋の中をフラフラしだし。
僕が注意しようとしたら、アドルフさんに止められた。魔獣の子供なんて、そんなもんだと。静かにしているしそのままにしておいて良いって。
アンセルも、野生の魔物は魔物の破壊行進が始まると、さっさとそこから逃げて終わりだから、あまり深くは考えないらしい。野生の魔獣達も最初は話しを聞くものの。今のように途中で飽きて。その後は避難をして終わりだって。
もちろん近場で魔物の破壊行進が起こり、すぐにでも逃げないといけない場合なんかは、しっかりと行動するけど、でもやっぱりあんまり緊張感がないらしい。
『俺達に被害というよりもどちらかと言えば、人間や獣人達、他の種族にとって、危険な行進という感じだな。俺達魔獣は危ないと思ったら、無理をしないんだ。だからこういう時はさっさと逃げて終わりだ』
まさかの事実だった。こう縄張りを守るため、仲間を守るために戦うとばかり思っていたから。まぁ、逃げちゃえばそれも関係ないか。
「よし、分かった。よく知らせてくれた、感謝する。お前さんがいなかったら、今頃まだ気づかずに、姿が見えたときには、対応が遅れていただろう。本当にありがとう」
『なに、ここは俺達の新しい家族が住んでいる街だからな。家族が怪我をしたり、街がなくなってしまっては困るからな』
「さて、これからバーナードを呼んで、ちゃっちゃと話しをした後。これからの事を関係者を呼んで話さないとな。オーランドは確か夕方ごろ帰って来るはずだったな?」
「はい、お母さんがそれくらいに帰って来るって」
「じゃあ、オーランドの方は後でだな。お前はこのまま急いで家に帰って、アシュリーを呼んでくれ」
「はい!」
「さて、どうしたもんかね」
「……」
「何だ? まだ他にも問題があるのか? なら今のうちに言っておいてくれ」
「いや、問題ってほどじゃあ。いや、問題なのかも」
「何だ?」
「今回の魔物の破壊行進。いつもの数匹から数十匹の魔物が、街を襲って来るわけじゃないから。あの人達がお父さん達の指揮を取るのかと思ったら」
「あー、そっちの問題もあったな」
僕が心配しているのは、こういった非常時にお父さん達の指揮を取る、あの面倒な男。バートンのことだ。そしてその指揮の最中に戦いもしないのに、バートンが指揮をとっている所へ来て、みんなに文句を言う、バートンの妻のリリアナ。
この2人が、いつもと同じような感じでお父さん達の邪魔をしたらって。だって今回は、いつもの魔物の襲撃じゃないんだ。魔物の破壊行進なんだ。それなのにいつもの調子でこられたら、お父さん達が怪我をしかねない。下手をしたらってことも……。
「なんてタイミングだ!」
僕が心配していると、アドルフさんが軽く机を叩いた。
「どうしたんですか?」
「アーベル、バートン達の問題だが、今回は奴らを気にしなくて良いぞ。きっと彼が指揮をとってくれる。彼はバートン達の事をよく知っているからな。勝手はさせないだろう」
何かと思ったら、2つ向こうの大きな街を収めている侯爵様、タナー・オーガスト・クリテンドンとおっしゃるんだけど。そのタナー様が今、僕達の街に来ているらしいんだ。何の用事なのか、まぁそれは良いんだけど。
タナー様はこういった魔物に関して指揮を取るのが優秀な方で、他の国でもそれに関して名が知れ渡っている、本当に凄い方なんだ。しかも人柄もとても素敵な方で、住民からかなりの支持を受けている。
そんな住民から支持されているタナー様は、バートン達のような人間を許さないことでも知られていて。前のバートンに処分が下った時も、その処分関わっていた。というか、タナー様のおかげで、ここまでバートンが静かになったっていうか。だからこの街でもタナー様は大人気なんだよ。
そしてバートンだけど。下の者にはやたらと強く出るのに、上の人には滅法弱い。それがバートンだからな。今回の事を話せばきっと、タナー様は街を守るために動いてくださり、皆の指揮をとってくれると。
そうなればいつもは威張っているバートンも、指示をされる方になるため、お父さん達はいつもよりもしっかりと動けるって。
はぁ、良かった。これで少しは安心できる。少しというかかなりかな。いくら指揮が良くても、怪我をしないってことじゃないからね。
「よし、俺はもう動くぞ。お前も早く知らせてくれ」
「はい!!」
僕達はすぐに冒険者ギルドを後にして、いつもはゆっくり進む馬車を選ぶけど。料金が高いからな。でも今日は早い馬車を選んで、急いで家の近くまで移動した。そして馬車に待っていてくれっるように頼み、僕は家へと急いで。
早く帰って来た僕達に、お母さんは最初ちょっとビックリしていたけど、僕達の話しを聞いて、荷物をささっと準備し、僕達に家の事を頼むと。僕が待ってもらっていた馬車に乗って、お店が集まっている地区へと向かって行った。
「さぁ、僕達も色々準備をしようか。避難になるかもしれないし、お母さん達が帰って来たときに、必要になりそうな物を用意しておこう」
だって魔獣の強さについてだって、行動についてだって、僕なんかが分かるわけもなく。元上級冒険者のアドルフさんと、今まで自然で暮らしていて、みんなをまとめていたアンセルの方が、色々なことを知っていて、それに対して対策が取れるんだから。
僕が口を挟んで、話し合いの時間が伸びる方が問題だ。セレン達にも大事な話しだからと、静かにしていてねと言ったら。最初はその場で静かにしていたみんな。でも途中で話しに飽きてしまったようで。途中から部屋の中をフラフラしだし。
僕が注意しようとしたら、アドルフさんに止められた。魔獣の子供なんて、そんなもんだと。静かにしているしそのままにしておいて良いって。
アンセルも、野生の魔物は魔物の破壊行進が始まると、さっさとそこから逃げて終わりだから、あまり深くは考えないらしい。野生の魔獣達も最初は話しを聞くものの。今のように途中で飽きて。その後は避難をして終わりだって。
もちろん近場で魔物の破壊行進が起こり、すぐにでも逃げないといけない場合なんかは、しっかりと行動するけど、でもやっぱりあんまり緊張感がないらしい。
『俺達に被害というよりもどちらかと言えば、人間や獣人達、他の種族にとって、危険な行進という感じだな。俺達魔獣は危ないと思ったら、無理をしないんだ。だからこういう時はさっさと逃げて終わりだ』
まさかの事実だった。こう縄張りを守るため、仲間を守るために戦うとばかり思っていたから。まぁ、逃げちゃえばそれも関係ないか。
「よし、分かった。よく知らせてくれた、感謝する。お前さんがいなかったら、今頃まだ気づかずに、姿が見えたときには、対応が遅れていただろう。本当にありがとう」
『なに、ここは俺達の新しい家族が住んでいる街だからな。家族が怪我をしたり、街がなくなってしまっては困るからな』
「さて、これからバーナードを呼んで、ちゃっちゃと話しをした後。これからの事を関係者を呼んで話さないとな。オーランドは確か夕方ごろ帰って来るはずだったな?」
「はい、お母さんがそれくらいに帰って来るって」
「じゃあ、オーランドの方は後でだな。お前はこのまま急いで家に帰って、アシュリーを呼んでくれ」
「はい!」
「さて、どうしたもんかね」
「……」
「何だ? まだ他にも問題があるのか? なら今のうちに言っておいてくれ」
「いや、問題ってほどじゃあ。いや、問題なのかも」
「何だ?」
「今回の魔物の破壊行進。いつもの数匹から数十匹の魔物が、街を襲って来るわけじゃないから。あの人達がお父さん達の指揮を取るのかと思ったら」
「あー、そっちの問題もあったな」
僕が心配しているのは、こういった非常時にお父さん達の指揮を取る、あの面倒な男。バートンのことだ。そしてその指揮の最中に戦いもしないのに、バートンが指揮をとっている所へ来て、みんなに文句を言う、バートンの妻のリリアナ。
この2人が、いつもと同じような感じでお父さん達の邪魔をしたらって。だって今回は、いつもの魔物の襲撃じゃないんだ。魔物の破壊行進なんだ。それなのにいつもの調子でこられたら、お父さん達が怪我をしかねない。下手をしたらってことも……。
「なんてタイミングだ!」
僕が心配していると、アドルフさんが軽く机を叩いた。
「どうしたんですか?」
「アーベル、バートン達の問題だが、今回は奴らを気にしなくて良いぞ。きっと彼が指揮をとってくれる。彼はバートン達の事をよく知っているからな。勝手はさせないだろう」
何かと思ったら、2つ向こうの大きな街を収めている侯爵様、タナー・オーガスト・クリテンドンとおっしゃるんだけど。そのタナー様が今、僕達の街に来ているらしいんだ。何の用事なのか、まぁそれは良いんだけど。
タナー様はこういった魔物に関して指揮を取るのが優秀な方で、他の国でもそれに関して名が知れ渡っている、本当に凄い方なんだ。しかも人柄もとても素敵な方で、住民からかなりの支持を受けている。
そんな住民から支持されているタナー様は、バートン達のような人間を許さないことでも知られていて。前のバートンに処分が下った時も、その処分関わっていた。というか、タナー様のおかげで、ここまでバートンが静かになったっていうか。だからこの街でもタナー様は大人気なんだよ。
そしてバートンだけど。下の者にはやたらと強く出るのに、上の人には滅法弱い。それがバートンだからな。今回の事を話せばきっと、タナー様は街を守るために動いてくださり、皆の指揮をとってくれると。
そうなればいつもは威張っているバートンも、指示をされる方になるため、お父さん達はいつもよりもしっかりと動けるって。
はぁ、良かった。これで少しは安心できる。少しというかかなりかな。いくら指揮が良くても、怪我をしないってことじゃないからね。
「よし、俺はもう動くぞ。お前も早く知らせてくれ」
「はい!!」
僕達はすぐに冒険者ギルドを後にして、いつもはゆっくり進む馬車を選ぶけど。料金が高いからな。でも今日は早い馬車を選んで、急いで家の近くまで移動した。そして馬車に待っていてくれっるように頼み、僕は家へと急いで。
早く帰って来た僕達に、お母さんは最初ちょっとビックリしていたけど、僕達の話しを聞いて、荷物をささっと準備し、僕達に家の事を頼むと。僕が待ってもらっていた馬車に乗って、お店が集まっている地区へと向かって行った。
「さぁ、僕達も色々準備をしようか。避難になるかもしれないし、お母さん達が帰って来たときに、必要になりそうな物を用意しておこう」
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