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28.最初の魔物達との遭遇は10歳

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 勿論楽しい事ばかりではなかった。8歳を過ぎてからは、隣町へ行くために街の外へ出るだけではなく、お父さんやお母さんの手伝いのために、街から1番近い森山林へ行く事が増えて。

 街から近い森や林には勿論、自然に生きている魔物と呼ばれる生き物達が生息していて。僕の感覚だと、魔獣も魔物の中に入るんだけど、動物的なものが魔獣で、ゴブリンのように人型が魔物って感じか。

 最初のうちは何事もなく、用事を終えて街に帰れていたんだ。お父さんさん達がしっかり見張っていてくれたし。もし出合いそうになったら隠れて、魔物達が通り過ぎるのを待って。戦闘にならないようにしていた。

 でも手伝いで外にで初めてから2年経った時、僕とお父さんは魔物と鉢合わせしてしまったんだ。何故かその時はお父さんも、匂いに敏感なセレスやモグーも、ゴブリンの存在に気づく事ができなくて。

 それが僕にとっての初めての戦闘になった。初めての戦闘……。戦闘といっても、戦ったのはお父さんとセレスとモグーだったけど。僕は怖さのあまり、1歩も動けなかったんだ。その頃には初級だけどそこそこの魔法を使えていたのに。
 
 街の1番近くの森や林に住んでいる魔物は、弱い魔物達がほとんどで。もちろん奥の方へいけば、そこそこの魔物はいるけど、それもお父さんやお母さんにとっては全く問題なく。ゴッキーを潰す感覚だって言っていた。

 ゴッキー……。地球にいるゴキブリと同じような虫だ。と、それは良いとして、それくらいの弱い魔物達ばっかりっていう事で。僕の初級魔法でもかなりの攻撃を与えられるって。前にお父さんに聞いていたんだ。でも、それで僕は何もする事ができず。

 それなのにセレンとモグーは僕を守ってくれようと、その時に自分達が出来る限りの攻撃をしてくれて。2匹は見事1匹のゴブリンを倒すことに成功。残りの6匹のゴブリンは、ささっとお父さんが倒してくれた。

 でもその時の、セレンとモグーが怪我をしちゃって。怖がって1歩も動けなかった弱虫な僕を守ってくれての怪我。僕は急いで回復魔法をかけた。
 でもその時の回復魔法は、まだまだ習い始めたばかりで使い物にならず。急いで家に帰って、お母さんに治療してもらったんだ。

 その時お父さんに言われたこと、それは。僕は初めての戦闘だったんだからしょうがない。でもいいかげん泣きやめって。
 守ってもらって、僕が怪我をしたわけじゃないだろう。怪我をしたのは2匹なんだ。泣くよりもありがとうを言いなさいって。僕は森からずっと鳴きっぱなしだったんだ。

 それかお母さんに、2匹が動けたのは、自然を生きていた時間があるからだって。契約する前に家の畑に住んでいたセレン家族だって、それまでは自然に生きていて、魔物の脅威を知っていたし。
 モグーも自然で生きていて、魔物の怖さは知っていた。だから2匹は、すぐに動く事ができたんだって。

 今まで僕は、そんな脅威なんて知らずに、ずっと守られて生きてきて。そんな僕がすぐに動けるわけもない。だから今日のことで自分をあまり責めないようにって。

 でも、これから変われるのは自分次第。セレンやモグーを怪我させないためにも、これからしっかりと魔物のことをもっと学んで、そしてそれに対抗出来る力を付けること。
 中級の魔法だって、近くの魔物なら十分相手にできるし、もし他の強い魔物に出会っても対抗はできるって。

 そして最後に、回復魔法を与えられ最高のレベルまで、しっかりと習得しなさいって言われたんだ。そうすることで、今回みたいに誰かが傷ついた時に、すぐに治す事ができるのだから。僕はそれをできる力を授かったんだからって。

 その話しを全部聞き終わるまでに、僕の涙は止まっていた。そしてもっと強くなるって。将来的に中級までしか魔法を使えなくても、自分にできる限りの魔法を覚えて、せめてみんなの邪魔にならないように、そして少しでもみんなを守れるように、強くなるって決めたんだ。
 回復魔法も与えられたレベルまで、なるべく早く習得して。もしもみんなが怪我をしたり病気になったら、すぐに治すんだって。

 それから僕は気持ちを新たに、魔法の勉強をしたんだ。それと同時に魔物の事もしっかりと勉強したよ。

 そしてその後も何回も魔物と遭遇して。最初はやっぱり何もできなかった僕。悔しくて涙が出て。でもセレンやモグーやパパ達が応援してくれて。今では近くの森や林なら、1人で入れるって、お父さん達に認められるまでになった。

 セレンやモグーも攻撃力が上がったんだよ。きっと自然に住んでいる、その辺の同じ魔獣よりも強いんじゃないかな。
 ハピちゃんも最初は僕みたいに何もできなかったんだけど、今では2種類の魔法が使えるように。

 でも僕達の訓練は終わることはない。みんな上を目指して頑張っている。それに今度街の外へ出る時は、きっとお父さんもお母さんもいない、本当に僕達だけになるはずだから。今からみんなやる気満々で。数日前なんて頑張り過ぎて、みんな同時に熱を出すっていう。

 頑張りすぎの熱だから、お母さんの作った薬を飲んで、それで治療は終わり。みんなベッドで寝ながらニヤニヤしていたよ。本当、頑張りすぎには気をつけてな。

 あ、ちなみにカロリーナの初めての魔物との戦闘は、僕よりも早い8歳で。最初からゴブリンを丸焼きにしたと。そしてゴブリンだけじゃなくて、森も焼きそうになって、冒険者ギルドのギルドマスターにかなり怒られたって、サムソンさんが。

 別に森で火魔法を使うなとは言わない。でももそのせいで大火事になって森がなくなる事もあるんだから、その辺しっかりと教えてくれって。あと、親子そっくりだなって。それからカロリーナは水魔法を優先的に学ぶようになったんだ。
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