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24.魔獣契約の問題、初級の魔獣契約しか出来ない人への反応
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抱きついてありがとうを繰り返す僕達。そんな僕達に呆れ顔で話してくるママ。
「アーベル、あなたね。ママも魔法を使えるのよ? 確かに契約魔法は使えないけれど、学校にお勉強しに行っていたママが、自分の魔法しか勉強しないはずないでしょう。ちゃんと実技だけじゃなくて、教科書を使っての授業もあるんだから」
あっ……、そうか。それはそうだよね。あれだけ魔法で色々できるパパとママ。学校にだってしっかり通っていたんだから、契約魔法ができなくても、他の魔法の知識はあるよね。
「まぁ、私は魔獣契約はできないから、契約するのが難しい魔獣達との契約のやり方までは、深く勉強しなかったけれど、あなたとムーンラビットの契約くらいなら、しっかり分かっているから安心しなさい」
またまた強く抱きつく僕と子ムーンラビット。そうそう、魔獣契約にももちろんレベルがあってさ、僕の魔獣契約レベルは中級ですらないけど。他の上級の魔獣契約ができる人は、結構大変みたいなんだ。
ムーンラビットは魔獣の中でも弱い部類に入る。魔法の力が強いわけじゃないし、物理攻撃も大したことがない。挙句とっても小さいから。俺みたに家族になりたいっていうなら別だけど。上級の魔獣契約ができる人達は、まぁ、強い魔獣と契約するわけで。
そしてその強い魔獣と契約するには、色々準備が必要なのと、強い魔獣と契約するってことは、その魔獣よりも自分の方が力が強いといけないらしくて。
もちろん相手が強いからと言って、必ず契約できないわけではないけれど。ほら、僕と子ムーンラビットみたいに、心を通わせていれば何とか?
でもまぁ、弱い魔獣よりも強い魔獣は、自我をしっかりと持っている魔獣が多いから、契約しようとしている人間が、どれだけ強いとか、どういう人間だとか、しっかり見てくるんだよ。
それで自分に相応しくないってなれば。いくら契約魔法を使っても、それを跳ね除けてきて。
問題はそれだけじゃない。上級の魔獣契約には、魔法陣が必要なんだ。しかもかなり複雑な。それを描くのが大変で、下手をしたら上級の魔獣契約はできる力があるのに、それが描けないために、下の魔獣としか契約することしかできないなんてことも。
魔法陣を書かないで頭の中で思い浮かべて、契約しようとする人達もいるけれど。それができる人間がこの世界に何人いることか。
何で初級のやり方を知らないのに、こんな事を知っているのか。それは図書館の、あの難しい本に書いてあったんだよ。
だから上級の魔獣契約を使える人達は、いかに強い魔獣と契約できるかで競っている人達が多いし、魔獣契約ができるのなら、強い魔獣と契約できていないとダメだって、そんな認識の人達ばかりで。
冒険者ギルドによっては、この考えがあまりにも浸透しているものだから、僕みたいに弱い魔獣契約しかできない人間は冷遇されることも。
どうして他の魔法は初級でも馬鹿にされないのに、魔獣契約だけがこんなに冷遇され、馬鹿にされないといけないんだ。
これが僕やパパ達が時々言っていた、ある問題ってやつ。すでに俺は、あのバートン家からかなり馬鹿にされているし、ジークと学校で顔を合わせると、ジークとその取り巻き。5歳で取り巻きもどうかと思うが、その連中に毎回馬鹿にされる。
別にどんな魔獣と契約しようが、レベルが低かろうが、本人達が心を通わせていれば問題ないだろう。まったくやになっちゃうよ。こんな可愛い子ムーンラビットと家族になれるだけで僕は幸せなんだから、ほっといてもらいたい。
もっと上の学校へ行けば行くほど、こういう馬鹿な連中が増えてくるんだろうな。はぁ、今から面倒で仕方がない。
「さぁ、じゃあやり方を説明するわよ」
「うん!!」
『きゅう!!』
「アーベルは子ムーンラビットのことだけを一生懸命に考えなさい。良いわね」
「うん!!」
「おチビさんも、アーベルのことを一生懸命に考えて」
『きゅ!!』
「それからアーベルは、今自分ができる、最大の魔力を溜めなさい。水魔法の時と同じよ。本当はそこまでしなくても、このくらいの魔獣なら、ささっと契約できるのだけれど。あなたは初めてだから、しっかり魔力を溜めた方が良いわ」
「うん!!」
「そしていよいよ魔力が溜まったら。そうね契約してくださいとでも、家族になろうとでも何でいいから、魔力をおチビさんに流しながら、しっかりと声に出しなさい。これも普通はしなくても、契約するってあなたが思うだけで良いのだけれど。今は一応やった方が良いわね」
「うん!!」
「今回は何の準備のいらない、レベル的には初歩の初歩の契約だから。あなたが魔力をおチビさんに流して、その時にあなたの思いがしっかりしていれば、勝手に魔法は発動するわ。それで上手くいけば契約完了よ」
ん? 子ムーンラビットのことを考えて、魔力を溜めて。それで魔力を流して、契約してって言ったら終わり? 勝手に魔法が発動してくれる?
「かんがえて、まりょくをためる」
「そうよ」
「かぞくになってくださいっていって、まりょくをながす。それでおしまい?」
「ええ、おしまいよ。1番はお互いがお互いの事を考えることね。強い絆が大切なの。それと力の方は、初めてだから、しっかりとやらないといけないってだけで、初級の魔獣契約は本当に簡単なのよ」
なんか考えていたよりも、全然簡単そうで良かった。ここで魔法陣を描くなんて言われたら、絵の勉強もしなくちゃいけないところだった。
でも、簡単だなんて今は思っちゃダメ。ママが言った通り初めてなんだから。しっかりと今できる限りで。ううん、それ以上を出して。絶対に子ムーンラビットと契約するぞ!
「アーベル、あなたね。ママも魔法を使えるのよ? 確かに契約魔法は使えないけれど、学校にお勉強しに行っていたママが、自分の魔法しか勉強しないはずないでしょう。ちゃんと実技だけじゃなくて、教科書を使っての授業もあるんだから」
あっ……、そうか。それはそうだよね。あれだけ魔法で色々できるパパとママ。学校にだってしっかり通っていたんだから、契約魔法ができなくても、他の魔法の知識はあるよね。
「まぁ、私は魔獣契約はできないから、契約するのが難しい魔獣達との契約のやり方までは、深く勉強しなかったけれど、あなたとムーンラビットの契約くらいなら、しっかり分かっているから安心しなさい」
またまた強く抱きつく僕と子ムーンラビット。そうそう、魔獣契約にももちろんレベルがあってさ、僕の魔獣契約レベルは中級ですらないけど。他の上級の魔獣契約ができる人は、結構大変みたいなんだ。
ムーンラビットは魔獣の中でも弱い部類に入る。魔法の力が強いわけじゃないし、物理攻撃も大したことがない。挙句とっても小さいから。俺みたに家族になりたいっていうなら別だけど。上級の魔獣契約ができる人達は、まぁ、強い魔獣と契約するわけで。
そしてその強い魔獣と契約するには、色々準備が必要なのと、強い魔獣と契約するってことは、その魔獣よりも自分の方が力が強いといけないらしくて。
もちろん相手が強いからと言って、必ず契約できないわけではないけれど。ほら、僕と子ムーンラビットみたいに、心を通わせていれば何とか?
でもまぁ、弱い魔獣よりも強い魔獣は、自我をしっかりと持っている魔獣が多いから、契約しようとしている人間が、どれだけ強いとか、どういう人間だとか、しっかり見てくるんだよ。
それで自分に相応しくないってなれば。いくら契約魔法を使っても、それを跳ね除けてきて。
問題はそれだけじゃない。上級の魔獣契約には、魔法陣が必要なんだ。しかもかなり複雑な。それを描くのが大変で、下手をしたら上級の魔獣契約はできる力があるのに、それが描けないために、下の魔獣としか契約することしかできないなんてことも。
魔法陣を書かないで頭の中で思い浮かべて、契約しようとする人達もいるけれど。それができる人間がこの世界に何人いることか。
何で初級のやり方を知らないのに、こんな事を知っているのか。それは図書館の、あの難しい本に書いてあったんだよ。
だから上級の魔獣契約を使える人達は、いかに強い魔獣と契約できるかで競っている人達が多いし、魔獣契約ができるのなら、強い魔獣と契約できていないとダメだって、そんな認識の人達ばかりで。
冒険者ギルドによっては、この考えがあまりにも浸透しているものだから、僕みたいに弱い魔獣契約しかできない人間は冷遇されることも。
どうして他の魔法は初級でも馬鹿にされないのに、魔獣契約だけがこんなに冷遇され、馬鹿にされないといけないんだ。
これが僕やパパ達が時々言っていた、ある問題ってやつ。すでに俺は、あのバートン家からかなり馬鹿にされているし、ジークと学校で顔を合わせると、ジークとその取り巻き。5歳で取り巻きもどうかと思うが、その連中に毎回馬鹿にされる。
別にどんな魔獣と契約しようが、レベルが低かろうが、本人達が心を通わせていれば問題ないだろう。まったくやになっちゃうよ。こんな可愛い子ムーンラビットと家族になれるだけで僕は幸せなんだから、ほっといてもらいたい。
もっと上の学校へ行けば行くほど、こういう馬鹿な連中が増えてくるんだろうな。はぁ、今から面倒で仕方がない。
「さぁ、じゃあやり方を説明するわよ」
「うん!!」
『きゅう!!』
「アーベルは子ムーンラビットのことだけを一生懸命に考えなさい。良いわね」
「うん!!」
「おチビさんも、アーベルのことを一生懸命に考えて」
『きゅ!!』
「それからアーベルは、今自分ができる、最大の魔力を溜めなさい。水魔法の時と同じよ。本当はそこまでしなくても、このくらいの魔獣なら、ささっと契約できるのだけれど。あなたは初めてだから、しっかり魔力を溜めた方が良いわ」
「うん!!」
「そしていよいよ魔力が溜まったら。そうね契約してくださいとでも、家族になろうとでも何でいいから、魔力をおチビさんに流しながら、しっかりと声に出しなさい。これも普通はしなくても、契約するってあなたが思うだけで良いのだけれど。今は一応やった方が良いわね」
「うん!!」
「今回は何の準備のいらない、レベル的には初歩の初歩の契約だから。あなたが魔力をおチビさんに流して、その時にあなたの思いがしっかりしていれば、勝手に魔法は発動するわ。それで上手くいけば契約完了よ」
ん? 子ムーンラビットのことを考えて、魔力を溜めて。それで魔力を流して、契約してって言ったら終わり? 勝手に魔法が発動してくれる?
「かんがえて、まりょくをためる」
「そうよ」
「かぞくになってくださいっていって、まりょくをながす。それでおしまい?」
「ええ、おしまいよ。1番はお互いがお互いの事を考えることね。強い絆が大切なの。それと力の方は、初めてだから、しっかりとやらないといけないってだけで、初級の魔獣契約は本当に簡単なのよ」
なんか考えていたよりも、全然簡単そうで良かった。ここで魔法陣を描くなんて言われたら、絵の勉強もしなくちゃいけないところだった。
でも、簡単だなんて今は思っちゃダメ。ママが言った通り初めてなんだから。しっかりと今できる限りで。ううん、それ以上を出して。絶対に子ムーンラビットと契約するぞ!
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