異世界でチート無双! いやいや神の使いのミスによる、僕の相棒もふもふの成長物語

ありぽん

文字の大きさ
上 下
24 / 72

24.魔獣契約の問題、初級の魔獣契約しか出来ない人への反応

しおりを挟む
 抱きついてありがとうを繰り返す僕達。そんな僕達に呆れ顔で話してくるママ。

「アーベル、あなたね。ママも魔法を使えるのよ? 確かに契約魔法は使えないけれど、学校にお勉強しに行っていたママが、自分の魔法しか勉強しないはずないでしょう。ちゃんと実技だけじゃなくて、教科書を使っての授業もあるんだから」

 あっ……、そうか。それはそうだよね。あれだけ魔法で色々できるパパとママ。学校にだってしっかり通っていたんだから、契約魔法ができなくても、他の魔法の知識はあるよね。

「まぁ、私は魔獣契約はできないから、契約するのが難しい魔獣達との契約のやり方までは、深く勉強しなかったけれど、あなたとムーンラビットの契約くらいなら、しっかり分かっているから安心しなさい」

 またまた強く抱きつく僕と子ムーンラビット。そうそう、魔獣契約にももちろんレベルがあってさ、僕の魔獣契約レベルは中級ですらないけど。他の上級の魔獣契約ができる人は、結構大変みたいなんだ。

 ムーンラビットは魔獣の中でも弱い部類に入る。魔法の力が強いわけじゃないし、物理攻撃も大したことがない。挙句とっても小さいから。俺みたに家族になりたいっていうなら別だけど。上級の魔獣契約ができる人達は、まぁ、強い魔獣と契約するわけで。

 そしてその強い魔獣と契約するには、色々準備が必要なのと、強い魔獣と契約するってことは、その魔獣よりも自分の方が力が強いといけないらしくて。
 もちろん相手が強いからと言って、必ず契約できないわけではないけれど。ほら、僕と子ムーンラビットみたいに、心を通わせていれば何とか?

 でもまぁ、弱い魔獣よりも強い魔獣は、自我をしっかりと持っている魔獣が多いから、契約しようとしている人間が、どれだけ強いとか、どういう人間だとか、しっかり見てくるんだよ。
 それで自分に相応しくないってなれば。いくら契約魔法を使っても、それを跳ね除けてきて。

 問題はそれだけじゃない。上級の魔獣契約には、魔法陣が必要なんだ。しかもかなり複雑な。それを描くのが大変で、下手をしたら上級の魔獣契約はできる力があるのに、それが描けないために、下の魔獣としか契約することしかできないなんてことも。

 魔法陣を書かないで頭の中で思い浮かべて、契約しようとする人達もいるけれど。それができる人間がこの世界に何人いることか。

 何で初級のやり方を知らないのに、こんな事を知っているのか。それは図書館の、あの難しい本に書いてあったんだよ。

 だから上級の魔獣契約を使える人達は、いかに強い魔獣と契約できるかで競っている人達が多いし、魔獣契約ができるのなら、強い魔獣と契約できていないとダメだって、そんな認識の人達ばかりで。

 冒険者ギルドによっては、この考えがあまりにも浸透しているものだから、僕みたいに弱い魔獣契約しかできない人間は冷遇されることも。
 どうして他の魔法は初級でも馬鹿にされないのに、魔獣契約だけがこんなに冷遇され、馬鹿にされないといけないんだ。

 これが僕やパパ達が時々言っていた、ある問題ってやつ。すでに俺は、あのバートン家からかなり馬鹿にされているし、ジークと学校で顔を合わせると、ジークとその取り巻き。5歳で取り巻きもどうかと思うが、その連中に毎回馬鹿にされる。

 別にどんな魔獣と契約しようが、レベルが低かろうが、本人達が心を通わせていれば問題ないだろう。まったくやになっちゃうよ。こんな可愛い子ムーンラビットと家族になれるだけで僕は幸せなんだから、ほっといてもらいたい。

 もっと上の学校へ行けば行くほど、こういう馬鹿な連中が増えてくるんだろうな。はぁ、今から面倒で仕方がない。

「さぁ、じゃあやり方を説明するわよ」

「うん!!」

『きゅう!!』

「アーベルは子ムーンラビットのことだけを一生懸命に考えなさい。良いわね」

「うん!!」

「おチビさんも、アーベルのことを一生懸命に考えて」

『きゅ!!』

「それからアーベルは、今自分ができる、最大の魔力を溜めなさい。水魔法の時と同じよ。本当はそこまでしなくても、このくらいの魔獣なら、ささっと契約できるのだけれど。あなたは初めてだから、しっかり魔力を溜めた方が良いわ」

「うん!!」

「そしていよいよ魔力が溜まったら。そうね契約してくださいとでも、家族になろうとでも何でいいから、魔力をおチビさんに流しながら、しっかりと声に出しなさい。これも普通はしなくても、契約するってあなたが思うだけで良いのだけれど。今は一応やった方が良いわね」

「うん!!」

「今回は何の準備のいらない、レベル的には初歩の初歩の契約だから。あなたが魔力をおチビさんに流して、その時にあなたの思いがしっかりしていれば、勝手に魔法は発動するわ。それで上手くいけば契約完了よ」

 ん? 子ムーンラビットのことを考えて、魔力を溜めて。それで魔力を流して、契約してって言ったら終わり? 勝手に魔法が発動してくれる?

「かんがえて、まりょくをためる」

「そうよ」

「かぞくになってくださいっていって、まりょくをながす。それでおしまい?」

「ええ、おしまいよ。1番はお互いがお互いの事を考えることね。強い絆が大切なの。それと力の方は、初めてだから、しっかりとやらないといけないってだけで、初級の魔獣契約は本当に簡単なのよ」
 
 なんか考えていたよりも、全然簡単そうで良かった。ここで魔法陣を描くなんて言われたら、絵の勉強もしなくちゃいけないところだった。

 でも、簡単だなんて今は思っちゃダメ。ママが言った通り初めてなんだから。しっかりと今できる限りで。ううん、それ以上を出して。絶対に子ムーンラビットと契約するぞ!
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。 二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか! ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?

処理中です...