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22.報告とママ達の怖い話し

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「ママ~!! おわったぁ!!」

「カロリーナ、お帰りなさい」

「ママ、ただいま!!」

「お帰りなさい。今日のお勉強はどうだった?」

 僕はニヤリと笑った。うん、笑ったと思う。ちょっと格好つけてみようと思って。だって初魔法成功だよ? 少しくらい格好つけても良いと思うんだ。だけどママから返ってきた答えは。

「あら、変な笑い方をしてどうしたの?」

 だった。ママに抱かれている子ムーンラビットまでもが、こいつ何やってるんだって思っているような顔をしていて。そんなに変な顔だった? 僕的には格好いいはずなんだけど。

 僕の家の近くに、パージさんっていうおじさんが住んでいて。そのパージおじさんの笑っている顔が格好良くて、それを真似たんだけどな。でもママにそんな風に言われて、子ムーンラビットにそういう表情をされたらね。

 と、笑い方は今はどうでも良いんだよ。本題はそれじゃあないんだから。

「ママ、ぼく、みずまほうできた!!」

「本当!? 凄いじゃない!! やったわね!!」

『きゅうぅぅぅ!!』

 僕の報告にママも子ムーンラビットも、とっても喜んでくれて。それからカロリーナのお母さん、マーシアさんも喜んでくれた。みんなに喜んでもらえて、初めて魔法ができた時みたいに嬉しくなった僕。でも、まだまだ報告は終わってないよ。

「おうちにかえったら、けいやくまほう、やっていい?」

 それを聞いた途端、子ムーンラビットがママの手からジャンプして僕も頭の上に。それから頭の上でドタバタと動き始めて。この感じ、たぶん喜びのダンスをしてるな?
 
 魔獣登録から少しして、街に遊びに行った時、街を回っている音楽隊の人達が街に来ていて。その時ダンスをしている人達も一緒に来ていたんだ。それを見てから、子ムーンラビットは嬉しい時は、ダンスをするみたいに、ステップをするように。

『きゅ、きゅう、きゅうぅぅぅ!!』

「うん! けいやく!!」

「2人共、今日始めて魔法に成功したのよ、きっとまだ、すぐには無理よ」

「でも、やってみてもいいでしょう?」

「はぁ、確かにやるの良いけれど、でもそれで成功しなくて、がっかりしちゃうかもしれないわ」

「だいじょうぶ!! そしたらまたあしたがんばる!! それでダメだったらつぎのひも!!」

『きゅうぅぅぅ!!』

「もう、分かったわ。帰って少し落ち着いてからやってみましょう」

 やった!! 僕は軽くガッツポーズ。そうしたらカロリーナが、子ムーンラビットが同じ格好をしれるって教えてくれたよ。よし、帰ったら頑張らなくちゃ。

「あら、面倒な人達がいるわ。さっさと行きましょう」

 みんなで話していたら、マーシアさんが向こうの方を見てそう言った。みんなでマーシアさんが見ている方を見れば、あの面倒な嫌味一家が。そう、バートンの奥さんリリアナと、教室から出てきたジークの姿が。

「あら、本当ね。絡まれる前に行きましょう」

 ママが頷いて、僕達はそれぞれのママと手を繋いで、お店が並んでいる方へ歩き始める。

「あの人達も、どうにかならないかしらね。あの人達があそこまでの地位を手に入れた訳でもないのに。よくあそこまで威張れるわよ」

「本当そうよね。しかも確かに強い力は授かったかもしれないけど、本人達は努力をしないから、中級くらいまでしか魔法を使えないのよ? 挙句街に何かあっても、大した指示もできないで、自分の前に弱い魔獣が向かってきただけで逃げる。それでいて強い魔獣を、こちらが倒しても、もっとさっさと片付けられないのかって文句を言ってくるし」

「文句ばかりよね。あそこまで役に立たない人達も珍しいわよ。どうにか役職を剥奪できないのかしら?」

「これまでのお爺さま方の功績を考えると、簡単にはできないみたいだものね。いっそのこと、街で何かあった時ついでに……」

「私達は手を出しにくいものね。もし私達が何かをして、その罰を受けた場合、この子達にも迷惑をかける可能性がある。あなたの言った通り、何かの拍子で……」

「それともワザと奴の方へ強い魔獣を向かわせれば」

「他にも……」

 ……怖いよママ達。ママ達ならやりかねない? ダメだよ、もしそれでママ達に何かあれば僕達は。パパ達だって悲しむよ。ん? パパ達も一緒にやりかねない?

 というか、そんな楽しいそうに話されたらね。今のママ達の顔は、ママ達が買い物に行く時の、楽しそうに話している時の顔に、怖い顔じゃなくて悪い顔をプラスした感じ? 何ならいつもよりも楽しそうだけど。

 その後僕達は、無事ジーク達に絡まれることなく、そしてママ達の話しが盛り上がりながら、今日のお昼ご飯を食べる食堂に到着。ご飯の後は少しお店を見て、それからそれぞれ別行動に。

 カロリーナ達はこのまま夕飯まで食べて帰るって。パパ達が帰ってくるのが、明後日の予定なんだ。2人だから簡単に夕飯を済ませるって。僕達は家でお父さんムーンラビット達が留守番してくれてるからね。それに魔獣契約しなくちゃ。

「ただいま!!」

『きゅう!!』

 家に帰ってドアを開けると、すぐにお父さんムーンラビット達が出迎えてくれた。僕は今日の事をすぐに報告。お父さんムーンラビット達もとっても喜んでくれたよ。それから魔獣契約についても話したら、もっと喜んでくれた。

 ママはこれからまだやる事があるから、夕飯が終わってから、ゆっくり魔獣契約をしてみる事に。アスティン先生が言った事をしっかりと守らないと。僕1人で出来立ての魔法をやって、もしもカロリーナみたいな事になったら大変だ。

「いよいよだね」

『きゅ!!』

「ぼく、がんばるよ!! でもできなかったらごめんね」

『きゅう』

 今のは気にするなって感じの返事だったな。

「もしできなくても、ぼくあきらめないで、なんかいもやるよ!」

『きゅう!!』

 さぁ、いよいよ魔獣契約だ!!
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