異世界でチート無双! いやいや神の使いのミスによる、僕の相棒もふもふの成長物語

ありぽん

文字の大きさ
上 下
19 / 72

19.これは僕の役目!! さぁ 買い物へ

しおりを挟む
「さぁ、後はこのリボンに石を通して、首に巻いてあげれば終わりです。どうしますか? アシュリーさんが付けますか?」

「ダメ!! ぼくがつける!!」

 思わず乗り出して叫んだ僕に、ママが困った顔で笑う。

「大丈夫よ。そんなに慌てなくても、ちゃんと分かっているわよ。あなたがつけるんでしょう?」

 僕は恥ずかしくなって、乗り出した体を元に戻すと、クスクス笑うメリアさんからリボンと革紐、それから石を受け取った。いや、これは僕の仕事でしょう? ちゃんと僕がリボンを付けてあげたいんだよ。
 
 前からパパとママにそう言ってあって、パパ達は分かってくれていたんだけど。でもメリアさんにそう言われて、思わず慌てちゃったんだ。解くことはできなくても誰でも結ぶ事はできるからね。

 まずはお父さんムーンラビットから。僕は少し前から結ぶ練習をしていた。どうも子供の体だからなのか、試しにリボンを結んでみたら、まぁ、酷い酷い。片結びになったり、縦結びになったり。輪っかの部分が左右でかなり違ったり、輪っかが3つになったり。
 輪っかが3つになった時は、ママがどうしたらそうんな結び方ができるのよって、逆に感心されたけど。

 だからこの時のために、僕は練習していたんだ。だって僕が結ぶって言っておいて、強く結び過ぎっちゃったり、ゆるゆる過ぎて、スポッ!! っと頭から抜けちゃったら? それじゃあ登録したら意味がなくなっちゃうからね。

 よいしょよいしょと、細心の注意を払いながら、お父さんラムーンラビットが苦しくないように、まずは軽く結んでみて。様子をお父さんムーンラビットに聞いてみる。

『きゅ、きゅう』

「もう少しきつくても良いと言っているわよ」

 ママに通訳してもらって、言われた通りもう少しだけ強く結んだら、お父さんムーンラビットから完璧って。その結んだ所をそれ以上動かさないように、そこからは難しい輪っかを作る作業。

 ここをこうして、ここを通して……。ふぅ、何とかバランスよくリボン結びにできたけど。首の感じはどうかな?

『きゅ!!』

 お父さんムーンラビットから、再び完璧!! って言われた僕。最後のリボン結び成功だよ。次はお母さんムーンラビットの番。
 リボンは革紐と違って、ヒラヒラしているから、ちょっと難しい。でもあれだけ練習してきたし、お父さんムーンラビットのは成功したから、リボンの方も頑張るよ。

 お父さんムーンラビットの時みたいに、まずは軽く結んで確認。そうしたらちょっと締め過ぎていたみたいで、慌てて緩めた僕。すぐに謝ったら、これくらい大した縛りじゃないんだから気にしないで、って言ってもらえたよ。

 それからやり直して確認したら、今度は大丈夫って事で。その後は難しい輪っか部分に。でも1回目は失敗しちゃって、片結びになりそうになっちゃったんだ。慌てて途中で止めて、再度挑戦。
 2回目は何とか結ぶことができて、お母さんムーンラビットに合格を貰うことができたんだ。

 そしてついに子ムーンラビットのリボン。子ムーンラビットは僕が移動しなくても、自分から僕の前に来てくれて、僕が少しでも結びやすいようにって、角度まで考えて止まってくれたよ。何でそれが分かったか。
 ママがそう言ったって。今までのリボン結びを見て、この角度が良いと思う。そう言ったらしいよ。凄いね子ムーンラビット。そこまで見ているなんて。

 そっとそっと、リボンを結び始める僕。子ムーンラビットがはお父さんムーンラビット達よりも更に小さいから、その分リボンを結ぶのも難しくなって。それでも頑張らないとって、今までで1番集中していたかも。

 そして結んで気づいたこと。本当にリボンが結びやすいんだよ。子ムーンラビットの考えてくれた角度のおかげで、こう、手が動きやすいっていうか、リボンを動かしやすいっていうか。

 そのおかげで最初の軽くリボンを結ぶのは、1回で合格をもらった僕。そして肝心の輪っか部分もまさかの1回で合格。すぐに子ムーンラビットのリボン結には終わっちゃったんだ。

「……」

『……』

「かぞく……」

『きゅう……』

「ぼくたちみんなかぞく!!」

『きゅ、きゅう!!』

 僕と子ムーンラビットはハイタッチ。それからすぐに僕の頭に上った子ムーンラビットは、頭の上でもカッコつけて立ち上がっているって。ふぅ、無事に登録が完了、リボン結びも完了。

 僕はソファーに深く座って。思わずため息を吐いちゃったよ。今日1日の体力を全部使ったみたいな感覚が。あ~、本当に無事に済んで良かった。

「これで全て終了です。それにしても、欲しかった力を授かることができたなんて、本当に良かったですね」

「ああ。他の力にはほとんど興味がなかったからな」

「後は、面倒な連中をどうやってやり過ごすか、ですね」

「まぁ、その辺はな。もう少し落ち着いて、学びに行く前には一応話すつもりだ」

「ただでさえ面倒なのに、更に面倒な一家がいますもんね」

「それも後で考えるさ。今日はありがとう」

「いえ、私は仕事をしただけですから」

 こうして魔獣登録は終了。個室から出て最初の受付がある所まで戻ると、さっきよりも人が少し増えていて。そんな中をメリアさんに手を振りながら外へ出る僕達。

「さぁ、とりあえずお昼にしよう。その後買い物だな」

「食べたらまず、必要な物を買ってしまいましょう。それからあなたがみたい物を見に行きましょうね」

 大きく頷くお母さんムーンラビット。登録の時よりも生き生きしているような? よっぽど買い物楽しみにしていたんだろうな。

 食堂へ向かう僕達。この時はその後の買い物で、あれだけダメージを受けるなんて、僕とパパ、そしてお父さんムーンラビットと子ムーンラビットは知るよしもなく。
 そして僕達がダメージを受けた代わりに、ママとお母さんムーンラビットは、ここへきた時よりもパワーアップして帰路に着くことになったんだ。



      *********

お読みいただきありがとうございます。
次回更新15:00です。
よろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

前世では伝説の魔法使いと呼ばれていた子爵令嬢です。今度こそのんびり恋に生きようと思っていたら、魔王が復活して世界が混沌に包まれてしまいました

柚木ゆず
ファンタジー
 ――次の人生では恋をしたい!!――  前世でわたしは10歳から100歳になるまでずっと魔法の研究と開発に夢中になっていて、他のことは一切なにもしなかった。  100歳になってようやくソレに気付いて、ちょっと後悔をし始めて――。『他の人はどんな人生を過ごしてきたのかしら?』と思い妹に会いに行って話を聞いているうちに、わたしも『恋』をしたくなったの。  だから転生魔法を作ってクリスチアーヌという子爵令嬢に生まれ変わって第2の人生を始め、やがて好きな人ができて、なんとその人と婚約をできるようになったのでした。  ――妹は婚約と結婚をしてから更に人生が薔薇色になったって言っていた。薔薇色の日々って、どんなものなのかしら――。  婚約を交わしたわたしはワクワクしていた、のだけれど……。そんな時突然『魔王』が復活して、この世が混沌に包まれてしまったのでした……。 ((魔王なんかがいたら、落ち着いて過ごせないじゃないのよ! 邪魔をする者は、誰であろうと許さない。大好きな人と薔薇色の日々を過ごすために、これからアンタを討ちにいくわ……!!))

処理中です...