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17.リボンと魔獣登録用の石を選ぼう
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「まぁ、うん。問題が起こらないうちに登録して出よう」
歩きながらそう言ったパパ。受付の列に並んで数分。元々並んでいた冒険者達は少なかったけど。簡単な依頼を受けていたみたいで、そんなに時間はかからず対応が終わって。すぐに僕達の番になった。
「オーランドさん、アシュリーさん、こんにちは」
「よう、メリア。休み明けか?」
「はい。久しぶりに長い休みをもらいました」
「ゆっくりできた?」
「実家に帰って、甥っ子の相手を」
「それは良かったわね。あなたニクスのことが大好きだものね。リフレッシュできたでしょう」
「はい!! 今日からまたバリバリ働きますよ!! アーベル、こんにちは」
「こんにちは!!」
「それで今日は? 依頼は受けていませんよね?」
「ああ、今日は家族の登録に来たんだ」
「そうなんですね!! ではこちらへ」
メリアさんは、パパ達と仲の良い受付の人で。この前のママの冒険者退治事件。あの時唯一ニコニコ笑いながら、さすがアシュリーさんです!! と言っていた人だ。
魔獣登録は個室で行われる。色々とやる事があって時間がかかるから、受付でやると後ろの人達に迷惑が。だから魔獣登録の時は個室でやる事になっているんだ。
先に個室に通された僕達。待っていると登録に必要な道具を持って、メリアさんが入ってきた。
「その様子だと、アーベルは素敵な力を授かったようですね」
「ああ、魔法を使うのはもう少し後だが、先に登録だけ済ませておこうと思ってな。登録はこのムーンラビットの親子だ」
「全員アーベルとの登録で良いですか?」
「ええ、それで良いわ」
「では、まずリボンを選びましょう。それから登録の石を選んでいただいて。先に選ぶものから選んでしまって、その後まとめて登録を。ムーンラビット達にもやってもらう事がありますしね」
「一応リボンと革製の物も見せてもらえるかしら。この子達の好きな方に」
「はい、勿論です。ではこちらとこちらを見ていただいて」
メリアさんが出したのは、リボンと革製の紐だった。これは登録の石を首から下げる物で、みんな好きなものが選べる。他には首輪みたいな物もあるけれど、そういうのは大きいサイズの魔獣が、腕に付けたりしっぽに付けたりする。
小さい魔獣の大体が、このリボンか革製の紐だ。ただリボンと革製の紐といっても、色々種類があって、何の変哲もないただのリボンから、フリルが付いていたり、レース状のリボンだったりと、色もみんな違って、色々種類がある。
革製の紐も、本当にただの紐みたいな物もあるけど。これまた色々な編み方をされている革紐や、模様が施されている革紐、カラフルに染められている革紐にと、こっちも色々な革紐が。
とりあえず今用意されている物を、箱からバササッ!! と全て箱から出したメリアさん。その中から子ムーンラビット達に、気に入った物を選んでもらう。
みんながテーブルに乗って選び始めた。これが真剣そのもので、全く口を挟めなかったよ。勿論パパ達もメリアさんも黙ったまま。
ちゃんと全部確かめたみんな。最終的にお父さんムーンラビットは、紺色で変わった編み方をされている革製の紐を。お母さんムーンラビットは薄い緑色の、レースが付いているリボンを。そして子ムーンラビットは、青色の可愛いフリルの付いているリボンを選んだ。
リボンと革紐を選んだら、次は登録用の石を選ぶ。特別な石で、何がどうやってできているか分からないけれど、この石にこれから僕達の情報を記録させて。石に選んだリボン通して首から下げるんだ。
登録の石って言われているけど、ただの石じゃつまらないって事で。アクセサリー的な? 模様が入っていたり、形をしていたり。これも色々と種類があって、好きな物を選べる。
この石もバササッッ!! と全部出したメリアさん。そしてこれまたさっき同様、真剣に選ぶ子ムーンラビット達。
最終的にお父さんムーンラビットは、角がない三角形型の黒い石を選んで。お母さんムーンラビットは薄ピンクのハート型の石を選んだ。
子ムーンラビットは、三日月マークが描かれている、綺麗な透明の水色で、雫型の石を選んだ。怪我は治ったけど、三日月型の傷跡が残って。今ではそれが自分のチャームポイントだと。
そのチャームポイントが描かれている石を、子ムーンラビットが選ばないはずはなく。選んだ時の子ムーンラビットは、とてもとても嬉しそうだった。
「ではこれから登録に移ります。まずは先にアーベルの情報を入れてしまいましょう。どちらも登録しますよね?」
「ああ。その方が確実だろう」
「ではリボンの方でも使いますから、少し多めに血液をいただいて」
来た!! 登録には血液を使うとは聞いていたけど、多めにと言われるなんて。みんなが選んだ石には、ギルドの技術が使われていて。どんなやり方でどうやって、っていうのは、不正を防ぐために一部の人しか知らないんだけど。
石に血液を垂らすと、その血液を垂らした人の情報が、自然に石に登録されるようになっているんだ。登録されると、石に魔力を流す事によって情報が浮かび上がり、それで確認ができると。
これは冒険者達が登録する時にも使われている方法で。冒険者になるとタグを貰うんだけど。そのタグに同じことをすれば、タグに魔力を流すと情報が見られるようになっている。
「アーベル、そんなに嫌そうな顔をしなくても。多くと言っても少しだけよ。あのお皿に2、3滴よ」
そうは言っても、指にけっこう太い針を刺すんだよなぁ。これがあるって聞いてから、少し嫌だなって思ってたんだよ。でも、これをしないと、石の他にも血を使う物があるし。何より登録ができないし。目を瞑っていればすぐに終わるか?
ニコニコ笑ったまま、裁縫なんかで使う平均的な針よりも、太い針を持って待っているメリアさん。俺は、そっとそっと手を出した。
*********
お読みいただきありがとうございます。
次回更新21:00です。
よろしくお願いします。
歩きながらそう言ったパパ。受付の列に並んで数分。元々並んでいた冒険者達は少なかったけど。簡単な依頼を受けていたみたいで、そんなに時間はかからず対応が終わって。すぐに僕達の番になった。
「オーランドさん、アシュリーさん、こんにちは」
「よう、メリア。休み明けか?」
「はい。久しぶりに長い休みをもらいました」
「ゆっくりできた?」
「実家に帰って、甥っ子の相手を」
「それは良かったわね。あなたニクスのことが大好きだものね。リフレッシュできたでしょう」
「はい!! 今日からまたバリバリ働きますよ!! アーベル、こんにちは」
「こんにちは!!」
「それで今日は? 依頼は受けていませんよね?」
「ああ、今日は家族の登録に来たんだ」
「そうなんですね!! ではこちらへ」
メリアさんは、パパ達と仲の良い受付の人で。この前のママの冒険者退治事件。あの時唯一ニコニコ笑いながら、さすがアシュリーさんです!! と言っていた人だ。
魔獣登録は個室で行われる。色々とやる事があって時間がかかるから、受付でやると後ろの人達に迷惑が。だから魔獣登録の時は個室でやる事になっているんだ。
先に個室に通された僕達。待っていると登録に必要な道具を持って、メリアさんが入ってきた。
「その様子だと、アーベルは素敵な力を授かったようですね」
「ああ、魔法を使うのはもう少し後だが、先に登録だけ済ませておこうと思ってな。登録はこのムーンラビットの親子だ」
「全員アーベルとの登録で良いですか?」
「ええ、それで良いわ」
「では、まずリボンを選びましょう。それから登録の石を選んでいただいて。先に選ぶものから選んでしまって、その後まとめて登録を。ムーンラビット達にもやってもらう事がありますしね」
「一応リボンと革製の物も見せてもらえるかしら。この子達の好きな方に」
「はい、勿論です。ではこちらとこちらを見ていただいて」
メリアさんが出したのは、リボンと革製の紐だった。これは登録の石を首から下げる物で、みんな好きなものが選べる。他には首輪みたいな物もあるけれど、そういうのは大きいサイズの魔獣が、腕に付けたりしっぽに付けたりする。
小さい魔獣の大体が、このリボンか革製の紐だ。ただリボンと革製の紐といっても、色々種類があって、何の変哲もないただのリボンから、フリルが付いていたり、レース状のリボンだったりと、色もみんな違って、色々種類がある。
革製の紐も、本当にただの紐みたいな物もあるけど。これまた色々な編み方をされている革紐や、模様が施されている革紐、カラフルに染められている革紐にと、こっちも色々な革紐が。
とりあえず今用意されている物を、箱からバササッ!! と全て箱から出したメリアさん。その中から子ムーンラビット達に、気に入った物を選んでもらう。
みんながテーブルに乗って選び始めた。これが真剣そのもので、全く口を挟めなかったよ。勿論パパ達もメリアさんも黙ったまま。
ちゃんと全部確かめたみんな。最終的にお父さんムーンラビットは、紺色で変わった編み方をされている革製の紐を。お母さんムーンラビットは薄い緑色の、レースが付いているリボンを。そして子ムーンラビットは、青色の可愛いフリルの付いているリボンを選んだ。
リボンと革紐を選んだら、次は登録用の石を選ぶ。特別な石で、何がどうやってできているか分からないけれど、この石にこれから僕達の情報を記録させて。石に選んだリボン通して首から下げるんだ。
登録の石って言われているけど、ただの石じゃつまらないって事で。アクセサリー的な? 模様が入っていたり、形をしていたり。これも色々と種類があって、好きな物を選べる。
この石もバササッッ!! と全部出したメリアさん。そしてこれまたさっき同様、真剣に選ぶ子ムーンラビット達。
最終的にお父さんムーンラビットは、角がない三角形型の黒い石を選んで。お母さんムーンラビットは薄ピンクのハート型の石を選んだ。
子ムーンラビットは、三日月マークが描かれている、綺麗な透明の水色で、雫型の石を選んだ。怪我は治ったけど、三日月型の傷跡が残って。今ではそれが自分のチャームポイントだと。
そのチャームポイントが描かれている石を、子ムーンラビットが選ばないはずはなく。選んだ時の子ムーンラビットは、とてもとても嬉しそうだった。
「ではこれから登録に移ります。まずは先にアーベルの情報を入れてしまいましょう。どちらも登録しますよね?」
「ああ。その方が確実だろう」
「ではリボンの方でも使いますから、少し多めに血液をいただいて」
来た!! 登録には血液を使うとは聞いていたけど、多めにと言われるなんて。みんなが選んだ石には、ギルドの技術が使われていて。どんなやり方でどうやって、っていうのは、不正を防ぐために一部の人しか知らないんだけど。
石に血液を垂らすと、その血液を垂らした人の情報が、自然に石に登録されるようになっているんだ。登録されると、石に魔力を流す事によって情報が浮かび上がり、それで確認ができると。
これは冒険者達が登録する時にも使われている方法で。冒険者になるとタグを貰うんだけど。そのタグに同じことをすれば、タグに魔力を流すと情報が見られるようになっている。
「アーベル、そんなに嫌そうな顔をしなくても。多くと言っても少しだけよ。あのお皿に2、3滴よ」
そうは言っても、指にけっこう太い針を刺すんだよなぁ。これがあるって聞いてから、少し嫌だなって思ってたんだよ。でも、これをしないと、石の他にも血を使う物があるし。何より登録ができないし。目を瞑っていればすぐに終わるか?
ニコニコ笑ったまま、裁縫なんかで使う平均的な針よりも、太い針を持って待っているメリアさん。俺は、そっとそっと手を出した。
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