異世界でチート無双! いやいや神の使いのミスによる、僕の相棒もふもふの成長物語

ありぽん

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11.いよいよ力を授かる時

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 アンドリューズ様が儀式を早めてくれたおかげで、ついに力を授かる時が。ここからは神父さんに名前を呼ばれた子から祭壇の前へ行き、祈りを捧げることによって力を授かる。

 その時間は、その子その子によって違うらしくて、すぐに終わる子もいれば、やたらと時間のかかる子も。ということで、力を授かる子の関係者以外。ほら、さっきの挨拶だけしに来ていた人達なんかは。
 自分達は余計な話しで時間を使ったのに、そんな長い時間待っていられないって、さっさと帰って行った。

 後はお爺さんお婆さんが来ている子もいるから、お爺さん達がずっと硬い椅子に座っていると、腰が痛くなったり、疲れちゃうだろう? だからいつくらいに自分の孫が呼ばれるか聞いておいて、その時間になったら戻ってくるんだって。

 別にお爺さん達じゃなくても、少しの間休憩したいって親もいるから、そういう人達も時間を聞いて外へ出て行く。

 じゃあ僕達は? 確かにどんな力を授かるか、みんなドキドキ待っているけど、やっぱり5歳の子供だからね。大人が休憩って外へ出て行くくらいなのに、大人しく待てるのかって言われれば……。
 
 という事で、僕達にもゆっくり待てるように、お菓子や絵本が用意してある。さすがに今いる場所からは出て行くことができないから、少しでもみんなが待てるようにって、毎年用意してあるらしい。

 そうしてバタバタが終わるまで待った僕達。ついに最初の子の、力を授かる時がやってきた。ここで神父さんから説明が。

 まず名前を呼ばれた子は返事をして祭壇の前へ。立ちひざをして手を組むポーズをして神様に挨拶をする。挨拶は何でも良いらしい。こんにちは、でも、よろしくお願いします、でもな。これで僕達の準備は終わり。その後は力を授かるまで、姿勢はそのままで待つんだ。
 
 僕達の準備が終わると、今度はアンドリューズ様の番で。アンドリューズ様が何か呪文を唱えると、僕達を白い光が包むん。その光が今、力を授かっている、っていう印らしい。

 だからその白い光が消えれば終了。終了すると両親が子供の所へ。子供は白い雫柄の小さな石を貰って、それに魔力を流すと授かった力を確認できるんだ。自分専用の石って感じかな。こう空中に文字が浮かび上がる感じだ。
 
 もちろん子供達は、まだ魔力の使い方を習っていないから、自分でできるようになるまでは両親が魔力を流して確認するんだけど。
 しっかりと力を授かっているかアンドリューズ様の前で確認した後は、これで本当に全ての儀式が終わり。後は家に帰ろうが街で遊ぼうが、各自の自由だ。

 と、ここまでが一連の流れ。いよいよ最初の子の名前が呼ばれて、呼ばれた子は大きな返事をして祭壇の前へ。
 今聞いた説明通りに事は進んで、最初の子の白い光はすぐに消え、両親が子供の所へ。そうして力を確認すると、両親はかなり喜んでいた。

 強い力を授かったか、それともその子にとって必要だと思っていた力を授かったか。どちらにしても家族全員喜んでいたから、良い力を授かったんだろう。

 こうしてどんどん名前を呼ばれ、どんどん子供達は力を授かり。でもまぁ、うん。がっくりしている家族もいたけど。順調に儀式は進んで行き、そして半分くらいの子供達が力を授かった頃、先にカロリーナが呼ばれた。

「カロリーナ!」

「は~い!!」

 カロリーナは大きな返事をして、先に行ってると僕に言うと祭壇の前へ。カロリーナを白い光が包み、今までの子の平均くらいの時間で光が消えた。そしてカロリーナの両親が合流し、その力を確認すれば。

 両親から何かを言われたカロリーナは、ジャンプして喜びを爆発させていた。両親もとても嬉しそうにしていたし、おそらくカロリーナはレベルの高い火魔法を望んでいたから、それが叶ったんだろう。

 全てが終わり外へ向かうカロリーナは、ニコニコ顔で僕にブンブン手を振りながら。サムソンさんは、外で待っているからね、と言いカロリーナ家族は教会の外へ。
 ちゃんと聞いたわけじゃないから、本当にレベルの高い火魔法を授かったのかは分からないけど、カロリーナ達が幸せそうで良かった。

 なんて思っていた僕。まさかすぐに自分が呼ばれるとは思っていなかった。これまでも友達と来ていた子供達がバラバラ呼ばれていたから、まさかカロリーナの後にすぐ呼ばれるとは思っていなくてさ。

「次、アーベル!」

「は、はい!!」

 ちょっと慌てながら祭壇の前に行っちゃったよ。説明通りお祈りの格好をして、よろしくお願いしますと挨拶をする。そしてアンドリューズ様の呪文が聞こえれば、白い光が僕を包み。

 白い光の感じは、暖かいだった。春の暖かさって感じで、とても気持ちが良かった。後は別になんて事はなく、苦しいとか、体のどこかが痛くなるなんてもともなくて。本当にただただ待つだけだった。

 光に包まれてどれくらい経ったのか。他の子の時は力を授かる時間が短いとか長いとか、ちゃんと分かっていたけれど。いざ自分の番になると、どれだけ時間が経ったのか分からなくて。

 もしかして自分では、まだそんなに時間がたったと思っていなくても、実は1時間くらい経ってる? なんて不安になり始めた時、フッと体が軽くなった気がして、そっと目を開ければ、光が消えている最中だった。そして全ての光が消えれば。

「終わったぞ。カロリーナよりも少し時間が長かったくらいだ」

 と、アンドリューズ様が教えてくれた。やっぱりそんなに時間は経っていなかったらしい。

「アーベル!」

「よく静かに、お祈りしていられたわね」

 後ろから両親の声が。家族が揃って、俺は俺の白い雫型の石を貰った。それをすぐにパパに渡し、パパが石に魔力を流すと、フッと文字が浮かび上がり。パパとママがそれを確認すると、2人が僕を見てきた。

 結果は!? 僕の欲しかったあの力は!?
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