上 下
161 / 175
連載

334 お仕置きはダメ?

しおりを挟む
『やっぱりダメ?』

『お仕置き見たいなの』

『お仕置き見せてくれる約束でしょう。フーリだけじゃなくて、みんなが迷惑かけられたんだから。消えるとこだったし。ちゃんとお仕置き見せてよ! ね、フーリ』

『お仕置き、僕見たい』

 更に2週間後、僕達は今、新しいお屋敷のまったりする部屋にいます。そしてみんながスノーラやお父さん達にブーブー文句を言っているところ。

 あれから何事もなく、予定通りにお屋敷が完成して。完成した日はみんなでパーティーをしました。僕達だけじゃないよ。街全体でパーティーをしたの。
 お屋敷が完成した日にね、街のちょっと壊れちゃっていた所も、全部がしっかりと直って。全てが片付いたってことで、街全体でお祝いパーティーをしたんだ。

 もうね、凄い盛り上がりだったよ。あっちもこっちも魔法で街全体が輝いていて、魔法で花火も上がっているし。ご飯を楽しむ人達に、お酒を飲んで更に騒ぐ人達。それから子供が楽しめる遊びや、大人が楽しめる遊びでしょう。もうね、静かな場所が全然なかったんだよ。
 う~ん、どっちかって言うと、パーティーっていうよりもお祭りって感じ。もちろん僕達もお屋敷だけじゃなくて、街の中で思いっきりご飯を食べたり遊んだり。

 そうそう、くじ引きみたいな物があったから、みんなでそれをやってみたら、全員が一緒に寝られるくらいの、大きなクッションが当たったんだ。
 しかも、特別な素材でできているらしくて、なかなか手に入らない、とっても珍しいクッションで。首都ベルンドアへ行っても、売っているか分からないくらいなんだって。
 
 そんな特別珍しい、クッションを当てたのはアイスでした。最後にアイスがくじを引いたんだけど、それが大当たり。
 それでその日はベッドに寝ないで、クッションで寝たんだけど。あんな肌触りが良いクッションなんて。僕は初めての感覚でした。こうサラサラでふわふわでもこもこで。そうスノーラと同じくらいに気持ちが良いクッションだったよ。

 そんな気持ちの良いクッションだからね、すぐに眠っちゃって。これならスノーラがいないときでも、ゆっくり眠れるねって、みんなでお話しをしていました。
 でもそうしたらスノーラが、自分方が上だって、ちょっとムスッとしてさ。それで自分の抜け毛でクッションを作るとかなんとか。

 いや、そんなに張り合わなくても。もちろんスノーラの毛並みが1番だよ。同じくらい気持ちが良いってだけで。うん。でも……。
 スノーラの毛のクッション、僕欲しいかも。クッションじゃなくてもブランケットとか。気持ちよさそうだよね。スノーラにクッションにブランケット。この3つが揃ったら。みんな動かなくなりそう。

 まぁ、そんな感じでみんなが、街の復興を喜んだんだけど。ディアブナス達を封印して、ジャガルドを捕まえて。そして街が復興して数週間。ルリ達が我慢の限界に。僕はそうなるだろうなって、何となくそんな気がしていたんだけどね。

 ジャガルドが冒険者ギルドの牢屋に連れて行かれて、連日尋問を受けているけれど、ジャガルドは何も話さないみたいで。かなり尋問が難航しているみたいなんだよね。
 尋問はお父さんはもちろん、ダイルさんやスレイブさん、他にも尋問専門の人達が、順番にやっています。お母さんもやっているんだ。

 スノーラによると、お母さんが1番怖いみたい。何かあるといけないからって、スノーラ、ドラゴンお父さん、カースが順番に護衛をしてくれているんだけど。3人共がお母さんの時には、あんまり近くに居たくないって言っていました。

 お母さんが怖い? 僕はあんまり想像できないよ。だっていつも僕達にはニコニコ優しいお母さんだよ。スノーラ達がみんな嫌がるほど怖いなんて。ドラゴンお父さんなんか、1度カースに順番変わってくれって言っていたし。

 と、それはまぁ、良いとして。尋問が難航しているうちに、首都ベルンドアからジャガルドを引き取りに来る人達が、後少しで街に来るって知らせが届いて。それを聞いたルリ達が、ジャガルドを連れていくなら、その前にお仕置きを見せてって。
 なかなかお仕置きは見られなかったのと、連れて行かれちゃうのとで、我慢の限界が来ちゃったんだ。

 でも、僕もさ、落ち着いて考えたら、罪人をそう簡単には外へ出して良いわけないし。しかも今は尋問の最中。それなのに僕達のためだけに、ジャガルドを外になんて出せないよね。
 ただ、それを分かっていても、ルリ達の気持ちも分かるし。できればルリ達にジャガルドのお仕置きを見せてあげたいんだけど。

『お前達の気持ちは分かっている。だが、我だけでは、今はどうにもできんのだ』

『だって、約束だよ。だから僕達、あの時静かにしたのに』

『うん、約束』

『約束は大切なの』

『大切』

『そうなのだが…』

 みんながスノーラと話している後ろで、静かにしていた僕。そんな僕にドラちゃんが話しかけてきました。

『レンは怒らないの?』

「う~ん。しゅにょー、ダメはダメ? どりゃちゃんは?』

『そっか。僕もだよ。お父さんがダメって言っている時は、ダメなんだよね。だから今は本当にダメなんだろうなって。でもできるならお仕置き見たいよね』

 そっか。ドラちゃんも僕と同じ感じなんだね。う~ん、でもこればっかりは、僕にはどうにもできないし。スノーラ達も勝手なことはできないし。なんか良い方法ないかな?

 なんて、僕達が揉めていた日の夜から数日後、また知らせが届きました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー] 特別賞受賞 書籍化決定!! 応援くださった皆様、ありがとうございます!! 望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。 そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。 神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。 そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。 これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、 たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。

もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん
ファンタジー
いつも『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』をご愛読いただき、ありがとうございます。 10月21日、『もふもち』コミカライズの配信がスタートしました!! 江戸はち先生に可愛いジョーディ達を描いていただきました。 先生、ありがとうございます。 今後とも小説のジョーディ達、そしてコミカライズのジョーディ達を、よろしくお願いいたします。       ********* 小学3年生の如月啓太は、病気により小学校に通えないまま、病院で息を引き取った。 次に気が付いたとき、啓太の前に女神さま現れて、啓太自身の話を聞くことに。 そして啓太は別の世界の、マカリスター侯爵家次男、ジョーディ・マカリスターとして転生することが決まる。 すくすくそだった啓太改めジョーディは1歳に。 そしてジョーディには友達がいっぱい。でも友達は友達でも、人間の友達ではありません。 ダークウルフの子供にホワイトキャットの子供に。何故か魔獣の友達だらけ。 そんなジョーディの毎日は、父(ラディス)母(ルリエット)長男(マイケル)、そしてお友達魔獣達と一緒に、騒がしくも楽しく過ぎていきます。

ぼくは悪のもふもふ、略して悪もふ!! 〜今日もみんなを怖がらせちゃうぞ!!〜

ありぽん
ファンタジー
恐ろしい魔獣達が住む森の中。 その森に住むブラックタイガー(黒い虎のような魔獣)の家族に、新しい家族が加わった。 名前はノエル。 彼は他のブラックタイガーの子供達よりも小さく、 家族はハラハラしながら子育てをしていたが。 家族の心配をよそに、家族に守られ愛され育ったノエルは、 小さいものの、元気に成長し3歳に。 そんなノエルが今頑張っていることは? 強く恐ろしいと人間達が困らせ怖がらせる、お父さんお母さんそして兄のような、かっこいいブラックタイガーになること。 かっこいいブラックタイガーになるため、今日もノエルは修行に励む? 『どうだ!! こわいだろう!! ぼくはあくなんだぞ!! あくのもふもふ、あくもふなんだぞ!!』

異世界で新生活〜スローライフ?は精霊と本当は優しいエルフと共に〜

ありぽん
ファンタジー
社畜として働いていた大松祐介は、地球での30歳という短い寿命をまっとうし、天国で次の転生を待っていた。 そしてついに転生の日が。神によると祐介が次に暮らす世界は、ライトノベルような魔法や剣が使われ、見たこともない魔獣が溢れる世界らしく。 神の話しにワクワクしながら、新しい世界では仕事に追われずスローライフを送るぞ、思いながら、神によって記憶を消され、新しい世界へと転生した祐介。 しかし神のミスで、記憶はそのまま。挙句何故か森の中へ転生させられてしまい。赤ん坊姿のため、何も出来ず慌てる祐介。 そんな祐介の元に、赤ん坊の祐介の手よりも小さい蝶と、同じくらいの大きさのスライムが現れ、何故か懐かれることに。 しかしここでまた問題が。今度はゴブリンが襲ってきたのだ。転生したばかりなのに、新しい人生はもう終わりなのか? そう諦めかけたその時……!? これは異世界でスローライフ?を目指したい、大松祐介の異世界物語である。

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 【5/22 書籍1巻発売中!】

異世界でチート無双! いやいや神の使いのミスによる、僕の相棒もふもふの成長物語

ありぽん
ファンタジー
ある異世界で生きるアーベル。アーベルにはある秘密があった。何故か彼は地球での記憶をそのままに転生していたのだ。 彼の地球での一生は、仕事ばかりで家族を顧みず、そのせいで彼の周りからは人が離れていき。最後は1人きりで寿命を終えるという寂しいもので。 そのため新たな人生は、家族のために生きようと誓い、そしてできるならばまったりと暮らしたいと思っていた。   そんなマーベルは5歳の誕生日を迎え、神からの贈り物を授かるために教会へ。しかし同じ歳の子供達が、さまざまな素晴らしい力を授かる中、何故かアーベルが授かった力はあまりにも弱く。 だがアーベルはまったく気にならなかった。何故なら授かった力は、彼にとっては素晴らしい物だったからだ。 その力を使い、家族にもふもふ魔獣達を迎え、充実した生活を送っていたアーベル。 しかし変化の時は突然訪れた。そしてその変化により、彼ともふもふ魔獣達の理想としている生活から徐々に離れ始め? これはアーベルの成長物語、いやいや彼のもふもふ達の成長物語である。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。