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316まさかのジャガルド達と面白い白い半透明ボール

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 カースが帰ってきてから、更にどんどん街に近づいてきた白いボール。それで気づいたこと、完璧に白いボールじゃありませんでした。半透明? だけど透明に近いし白だったんだ。遠くの時には白いボールに見えたんだけどね。

 そしてその白い半透明のボールの中に、何かが入っていることにも気づきました。こうね黒いような、青いような、色々な色が混ざって見えて、それが白い半透明のボールが上で止まると、その勢いで上の方に寄って止まって。
 落ち始めると、ボールの中をあっちにこっちに、バラバラ落ちる感じになって。中でシェイクされている感じになっていたよ。

『さて、次の次くらいかな? みんな、ちょっと下がっていて』

 そうカースに言われて、その場から下がる僕達。お父さん達はカースに問題ないって言われているけどやっぱりって、一応剣を持ったまま下がりました。

 ん? あれ? 更に近くで見えた白い半透明ボール。その中で動いていた物、あれってもしかして…。僕にはそう見えたんだけど、ルリとアイスに聞いてみようかな? 僕はそっとルリ達に聞いてみました。

「にぇ、ぼーりゅのにゃか、みえちゃ? ひちょにみえちゃ?」

『レンも見えた? 僕も人間に見えた』

『あれ…、ボク知ってるなの。たぶんジャガルドなの、それと仲間なの』

 何ですと!? 白い半透明のボールに入っているのが、人間っていうだけじゃなくて、まさかのジャガルド!? 僕はジャガルドっていうのが、悪いことしていたのは分かっているけど、本人をしっかり見たことなかったからね。
 いや、もしかしたらしっかりと確認すれば、何処かで会っていたかもしれないけど。本当にジャガルドなの!?

 ハッ!! ということはルリとアイス、それに他の魔獣達を苦しめたやつってことで、スノーラ達、最後の悪い人達を捕まえてきてくれたの? これでルリ達の事で、罪を償ってもらえる? だってほら、ディアブナス達は封印されてるから。

 だからここは残っている、そして今捕まっている黒服達と、そしてジャガルド達にもしっかりと罰を受けてもらいたい、と思っていたんだけど。もし本当にジャガルドなら、こんなに良い事はないよ。僕はカースに確認する事に。

「にぇ、ありぇ、にゃかにひちょ、はいっちぇる?」

『うん、入ってるよ』

『何人も入ってる?』

『そうだね、入ってるね。全部で11人、あれ? 何人だっけ?』

『中に入ってるのジャガルドと仲間なの? ボク、見間違えてないなの?』

『…ああ、そうだよ。間違いない、ジャガルドとその仲間だよ』

 カースの表情が笑っているけど、笑っていない感じに、そして少しだけピリピリとした空気が流れてきて。と、そんなカースに向かって行ったのはお父さんでした。

「今何と言った!? ジャガルドって言ったのか!?」

『ああ、そうだよ。あの中に入っているのは、ジャガルドとその仲間だよ。僕達の森の仲間を、そしてレン達に悪さをしたね。許せない連中だよ。…本当だったらその場で、ジャガルド達が1番苦しむ方法で殺したかったのに。僕達の平和な暮らしを、脅かしたんだからね』

 それからも止まらないカース。僕達のことをとっても怒ってくれていてね。せっかくスノーラ達と家族になって、これから幸せの暮らすはずだったのに、それを邪魔しようとしてって。

『その場で殺すのかと思っていたけど、でもスノーラ達は人間に任せるみたいだからね。僕はそれに従っただけ。しっかり奴等に責任を取らせてね』

「あ、ああ、もちろんだ」

 お父さんが少し下がりました。うん、なんかカースの笑っている顔が怖かったんだと思う。でもそれだけ僕達の事を怒ってくれていて、それはとっても嬉しかったです。だって僕達が家族になったのを、最初から見ていてくれているのはカースだからね。

 話している間にもう1回、白い半透明のボールが見えて。今までで1番大きく、そして近く見えたボール。

『さぁ、来るよ!』

 そうカースが言ってから数秒後、壁を飛び越えて何かが街へ入ってきました。そして木の上に止まると、周りをキョロキョロ。木の上に止まったのは、スノーラとドラゴンお父さんだったよ。

 その時、いつの間にかどこかに行っていたドラちゃんが僕達の所に。

『お父さん!!』

 ぶんぶん手を振るドラちゃん。僕達も急いでスノーラって呼びながら手を振りました。そうしたらこっちを向いたスノーラ達が手を上げて。ん? スノーラ、何か持ってない? 光っている…、紐? ロープ?

 スノーラが、その何かを持っている手を、こう引っ張るような動作をしました。そうしたら壁からあの、白い半透明ボールが壁を超えて街に入ってきて。
 よくよく見たら、光の紐だかロープは、その白い半透明ボールにくっついていました。もしかしてあの光のロープで、ボールを引っ張って運んでる?

 木から飛ぶ、スノーラとドラゴンお父さん。僕達とスノーラ達の間にあった大きな木に、もう1回だけ止まると、最後は一気に僕達の所まで飛んできました。すぐにスノーラ達の所に駆け寄ろうとする僕達。でもそんな僕達に。

『ちょっと待ってろ!』

『今あれを下ろすからな』

 あれ? あっ、あのジャガルド達が入っている白い半透明のボールね。そうそう、ボールだけど、スノーラ達が進んでいる最中に2回、他の木にぶつかって、びよ~んって跳ねていました。跳ねる…、どうなってるんだろう、あの白い半透明ボール。なんか動きが面白い。

 そうしてまたスノーラが、光のロープを引っ張れば、僕達とスノーラ達の間に、白い半透明ぼボールは落ちてきて。ぼよんぼよん、ぼよよよよんと、何回か跳ねて、少し転がって止まりました。

『面白い』

『面白いなの』

「ぼよよよよん」

『跳ねるね』

 それが僕達の、目の前でボールを見た感想でした。
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