可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

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307フーリを取り戻すために、そして…

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『くそっ!! 放しやがれ!!』

「ぐっ、ごほっ!」

「ぐげっ…」

 我らの前には今は、ジャガルドとその仲間が、エンに魔法によって、地面に押さえつけられている。そして光の魔法でぐるぐる巻きの状態で。そう、我らは無事に、ジャガルド達を捉える事に成功したのだ。

 エンが言った通り大きな木につくと、奴等に姿を見られないように、すぐに姿を隠した。そして木の間から向こうの様子を確認すれば、しっかりとジャガルド達の姿を確認する事ができ。

『こちらに気づいている様子はないな』

『見た感じはね。もしかしたら気づいているけど、気づいていないふりをしているかもよ』

『どうだかな、奴等は確かにそこら辺の人間よりも力があるようだが、今気配をなるべく消して移動している我らの気配を、感じる事ができるほどの力はないだろう』

『だからさ、それが分からないから気をつけようって、さっき話していただろう? 実は力を溜めていて、攻撃されればすぐに対応できるようにしているとか、僕達が近づいたら、罠が発動するようにしてるとか、ってね』

『だが、直接確認した感じ、そんな気配はない。このまま攻撃しても問題ないだろう。話しているのならば、我は先に行くぞ?』

『待て、ジャガルドを見てみろ』

 我がそう言うと、今まで話していたエン達がすぐにジャガルドを確認する。ジャガルド達は感じていた気配の通り10人で逃げており、その10人の真ん中を、ジャガルドは逃げていた。

 しっかりと奴を確認したのは、今回が始めただが。なるほど、他の仲間達もそこそこ力はあるようだが、奴はその中で吐出して力をもっている。こいつがレンやアイス、そして他の魔獣達を危険な目に…。

 そんなジャガルドに殺意を覚えながら、我はじゃガルドが持っている物を見る。

『奴が持っている物。おそらくあれにフーリは入っているのだろう。気配もあれからしているからな』

『そうだな、あれだな』

『ふ~ん、ジャガルド本人が持ってるんだ。フーリを連れていれば、自分が1番に狙われるだろうにさ』

『共のいる者を信じていないのではないか? それか何か、我々のような者達が追いかけて来た場合、仲間にそれの相手を押し付け、自分だけ逃げようとしているのでは? フーリさえいれば、色々とできるだろうからな』

 ジャガルドは何か四角い物に、黒い布を巻いた物を抱えて移動していた。そしてその抱えている物の中からフーリの気配が。フーリがあそこに入れられているのは間違いないだろう。

『よし、フーリのことはお前とブローに任せる。ジャガルドとやり合うことになるだろうが、お前はフーリを助ける事を優先しろ。ジャガルドは我が、他はカース、お前がやれ』

『え~、僕の人数が多すぎない?』

『何を言っている、全員を相手にしても、ジャガルド1人分の力にならんだろう。どう考えてもお前の方が楽ではないか』

『人数が多いってのが問題なんだよ。何人も面倒なんだよね。う~ん、あの魔法と僕のスピードで、1回で全員倒せないかな?』

『はぁ、カース、頼むぞ。ブロー、取り敢えず我のポケットに隠れていろ。フーリを助けて次第、お前はフーリを落ち着かせて、こちらに光の攻撃をしないようにしてくれ。よく分からん光魔法だからな』

『分かった!!』

 すぐに我の洋服の胸ポケットにすっぽり入るブロー。それを確認し、ジャガルド達のことももう1度確認。そしてエンとカースに向かって頷くと、我らは一気にジャガルと達へと向かって行った。

 それはほぼ一瞬。我等よりも先に奴等の元へ着いたカースが一気に、ジャガルドの前後にいた奴の仲間を、猛スピードのまま蹴りを入れ周りへ飛ばし、ジャガルドから引き離した。
 そしてその後は風魔法を使って、その仲間達にもう1度攻撃。仲間達は更に飛ばされ、木や岩にぶつかると、その衝撃で意識を失った。まぁ、そのうち気づくだろう。

 さすがのカースといった所か。やはり、カースのスピードと力では、少し強いだけの人間では、相手にならなかったようだ。

 と、カースの方が片付くまでに、カースがジャガルドの仲間をジャガルドから離したのと同時に、我とエンはジャガルドの元へ辿り着いた。
 そして我は攻撃しながら奴の持っている物、フーリが入っているであろう入れ物を奪おうとし。エンはしっかりとジャガルドだけを狙ったのだが。

 まさか我々の攻撃が、同時に止められるとは思ってもみなかった。が、やはり力を溜めていたのかとそう考え、すぐにまた2人で攻撃をする。
 次々に攻撃をする我とエン。その攻撃を全て止めるジャガルド。どれだけ力を溜めていたのか、やはり面倒な事になってしまった。何とかフーリの入っている入れ物を奪おうとする。

 早くフーリを助けなければ。奴からフーリを助けさえすれば、今よりもしっかりと、エンがジャガルドを攻撃することができるのだが。
 と、そう思い始めた頃だった。何故か突然、エンの攻撃が全てではないものの、ジャガルドを擦り始め。ジャガルドがよろけながら我々から距離をとろうとし。

『そろそろ力が尽きてくたか。スノーラ、早くフーリを助け出せ』

『分かっている』

「ちっ、そろそろか。あれは1度きり、なるべく使いたくはなかったが」

『!? スノーラ! みんな、気をつけて!! あいつ闇で逃げるつもりだ!!』

 それは突然だった。ブローがポケットから出てくると、自分の体に闇を纏わせ始め。そしてジャガルドの方は、奴の足元から闇が溢れ始めたのだ。

「今これを使うのは、俺の体力的にまずいが、ここから逃げねぇと意味がないからな」

『闇の中を通って、何処かに逃げるつもりなんだよ! 僕がそんな事させると思う!! 僕のは闇の精霊、お前の闇なんてすぐに消してやる!!』

 ブローの出した闇の力が、どんどんジャガルドの方へ流れて行き、そしてジャガルドが出した闇と混ざり合う。

「ちっ!! 邪魔をするんじゃねぇ!!」

 我とエン、そして他を片付けたカースが加わり、ジャガルドを止めようとする。

『絶対逃さないよ!! 絶対フーリを助けるんだから!! 絶対…』

 途中でブローが言葉を切る。そして数秒後。

『みんな離れて!!』

 ブローがそう叫んだ。
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