可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん

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272.突然現れた勇者みたいな男の人

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 目を瞑った僕。でもすぐに眩しい光は治りました。だけどまだ僕は目を開けないで、スノーラにギュッと抱きついたまま。そしてまたあの知らない声が聞こえたんだ。

『いやぁ、久しぶりに外に出たけど、街並みは昔と変わってないみたいだな』

 僕はそっと目を開けます。それからすぐにルリとアイスを確認して。2人共目を瞑ったまま、ちゃんと僕の肩に乗っていたよ。それから頭の上ではブローが、あ~、眩しかったって。
 スノーラは僕を抱きしめたまま、すぐ側にあるスノーラの顔を見たらとっても驚いた顔をしていて。それからボソッと、ボソッと『マサキ』そう言ったんだ。

 マサキ? マサキってマサキさんのこと? マサキさんがどうしたの? よく分からないままスノーラをじっと見ていた僕に、またあの声が聞こえてきて。

『まさか俺の嫌な予感が当たるなんてな。全くそう言うのに限って当たるんだ。それにしてもちょっと変な感じだな。まぁ、実体があるようでないようなもんだから仕方がないか』

 パッ!と声の聞こえた方を見る僕。そこには相変わらず沈んでいる途中のディアブナスとコレイションが居て。でもさっきまでの光景と違う物が。若い男の人が立っていたんだ。

 洋服は僕が本で読んだ事がある、勇者って感じの洋服を着ていて。それからちょっとだけキラキラ光っている綺麗な剣を持っている、とってもカッコいい男の人だったよ。
 でもおかしなところも。あのね、体が少し透けていたんだ。向こうの景色が見えるの。だからコレイションも見えたんだけどね。

 この人何処から来たの? 何で透けているの? そんな事を考えていたら、またスノーラがマサキって。もうスノーラ、何でさっきからマサキマサキって言っているの? 今はそれどころじゃないでしょう? また新しい敵が現れたかもしれないんだよ。まぁ見た感じは敵って感じじゃないけど。

 でも油断はできない。やっぱり敵でコレイションみたいに、またディアブナスを強くされちゃったら大変だよ。スノーラ、早くあの人捕まえて!
 そんな僕の気持ちとは裏腹に、スノーラは全然動く気配がなくて。カースも同じだったよ。ただカースは最初、スノーラみたいにとっても驚いていたけど、今はニヤニヤしています。

 僕はそっとスノーラに話しかけました。

「しゅにょ?」

『何故お前がここに居る!!』

 と、それとほぼ同時に男の人に向かって叫んだスノーラ。その声にビクッとして、思わずスノーラの洋服をギュッとと掴んじゃったぼく。その頃にはルリとアイスも目を開けていて、僕の洋服の中に隠れてきました。

「しゅにょ? わりゅいちと?」

『あ、いや。すまない大きな声を出して』

 スノーラが僕の頭を撫でてくれます。

『相変わらずだな。俺の嫁にも子供の前で急に大声出すなって、いつも注意されてたろう。変わってないなお前は』

 男の人が振り返って僕達を見てきたよ。その顔はとっても優しい顔で、やっぱり敵じゃない? でも…。
 そう思っているうちに、またディアブナスの方を見る男の人。それでディアブナスボールを踏みつけようとして。でも足がすり抜けちゃったんだ。

『やっぱり触る方はダメか。まぁ力が使えるから良いだろう。さて、まずスノーラ達と話しをする前に、これ以上ディアブナスがまた動かないように、更に魔法陣で抑えようか』

 そう言うと男の人が、ディアブナスに両手をかざして。すぐに変化が起きました。今まであった魔法陣に、別の魔法陣の絵が現れたんだ。魔法陣が重なる感じ? 
 それで魔法陣がどんどん外側に広がっていって、途中で見えなくなっちゃいました。もしかしてお兄ちゃん達が描いてくれた魔法陣くらい大きい? そして新しく現れた魔法陣が光出すと、ディアブナスが苦しみ始めて。

『ぐ、ぐあぁぁぁ!! 何故だ、何故お前が。お前はもうこの世界に居ないはず!』

『お前もいい加減理解しろよ。それに中にいても外に出てきても相変わらず煩いし。昔もかなり煩くて面倒な奴だったけどさ。まぁ、良いや。それより俺が話している間、静かにしててくれよ。そんなにゆっくり話している時間はないんだからな』

 そう言ってまた僕達を見てきた男の人。そのまま僕達の方に近づいてきました。慌てる僕、驚いたままのスノーラ、そしてニヤニヤしているカースとドラゴンお父さん。
 でも男の人が僕達の前に来た時、フィオーナさん達やユイゴさん達、それからダイルさん達がしゃがんだと思ったら、片足を立ち膝にして、それから頭を下げたの。

 僕はいろんな事が一気に起こ過ぎて軽いパニックに。そんな僕を守るように、ルリとアイスが洋服から出てきて、蹴りを入れる真似をしたり、パンチをする真似をしたりしてくれて。僕はハッとしてルリ達を守るように抱きしめました。

 それを見た男の人はまたまたニッコリ、それからスノーラを見て、

『新しいお前の家族か。良い家族じゃないか、お互いがお互いを守り合って。昔の俺達みたいだな』

 そう言いました。昔の俺達? 僕はスノーラを見ます。相変わらず驚いた顔をしたままのスノーラ。
 ねぇ、スノーラはこの男の人が誰か知っているんだよね。それに何故かニヤニヤ顔のドラゴンお父さん達に、頭を下げているローレンスさん達。驚いていないで誰なのか教えてよ!

 僕はスノーラ肩をパシパシ叩きました。ルリ達も誰なのか早く教えてって、今度は本当にパンチと蹴りを入れていたよ。

『や、止めろお前たち!』

『ハハハッ、お前のそんな姿は初めてだな』

『お前のせいだろう!! 何故お前がここにいるのだ、マサキ!!』

 え? マサキ? 
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