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249.僕のヒールでお兄ちゃんを助ける!!

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『今からレンには、エイデンの回復をしてもらいたい。あの出鱈目なヒールをして欲しいのだ』

 うん、勿論やるよ。やるに決まってるよ。て言うか、みんなおかしいとか出鱈目だとか、僕のはちゃんとしたヒールだよ。たぶん。だってちゃんと怪我が治るでしょう?  
 それに元気になるし、魔力も回復するし。力だって強くなるんだから。ブローは進化したしね。うん、やっぱりヒールだよ。

 僕はうんうん頷きながらスノーラを見ます。そうしたらスノーラが困った顔で笑っていて、そこまでできる物を、普通ヒールとは言わないって。どうも僕口に出していたみたいです。でもさ、怪我が治るんだからヒールでしょう? それに僕ヒールしか知らないし。

 うん、今はその事は良いんだけど。スノーラのお話だと、レオナルドお兄ちゃん達が来てくれた時、少し個々の状況を聞いていて。スノーラ達がディアブナスの攻撃で動けなくなっていた時に、やっぱりお兄ちゃん達も動けなくなっていたんだって。
 まだ魔法陣を発動する前、みんなが魔力を流す位置に着こうとしていた時に、あの攻撃をされて、みんながここに倒れていました。

 でもそんな中、お兄ちゃんは立ちあがろうと、意識をしっかり保つために、自分の足を刺して、無理やり立ち上がったんだ。スノーラ達も立てない攻撃だったのに、エイデンお兄ちゃんはしっかりと立ち上がって。
 そして刺した足を引きずりながらエイデンお兄ちゃんは、中心で光っているあの大きな鉱石の所へ。そして魔法陣を発動させるために自分の魔力を流しました。

 でもね、魔法陣を発動させるためには、とってもとっても魔力が必要で、お兄ちゃんだけの魔力だけだとダメなのはみんなが分かっていました。だからレオナルドお兄ちゃん達も一生懸命に立とうとしたんだけど、結局立つ事ができなくて。

 そんな中エイデンお兄ちゃんは、それまでにもいっぱい魔力を流していたけど、さらに魔力を流し始めたんだ。そんなお兄ちゃんをレオナルドお兄ちゃん達は止めようとして。
 そうそれは、それ以上に魔力を流せば、全部の魔力がなくなって、それはエイデンお兄ちゃんの命がなくなるって事で。

 僕は知りませんでした。たくさん魔法を使って魔力がなくなっても、少し待てば回復して魔法が使えると思っていたんだ。でも違ったの。魔力は無限に使える物じゃありませんでした。勿論たくさん使っても全部使わなければ、少し経てば魔力は元に戻るんだけど。完全になくなると、もう回復する事はなくて。そしてそのままその人は…。

 魔力は全ての命ある物に存在していて、勿論それは人とか魔獣だじゃなく、花も草もそう言った物にも存在しています。だから魔力がなくなると枯れちゃったり。それと一緒。僕達も魔力が完全に無くなれば、そう言う事になるって事で。

 エイデンお兄ちゃんが流した魔力のおかげで、あと少しで魔法陣が発動しようとしていました。でもこの時点で、お兄ちゃんの魔力はぎりぎりの状態だったんだ。それなのに、完璧じゃなくても魔法陣を発動させる。

 お兄ちゃんは最後の魔力までも使い、ついに魔法陣を発動される事に成功しました。でも…。そのままお兄ちゃんは倒れたって。
 魔法陣の発動で、少しだけ動けるようになったレオナルドお兄ちゃん達。でも立つ事はできなくて。スノーラ達もそうだったよね。

 ただ、それからがレオナルドお兄ちゃん達は凄かったです。魔法陣の中心にいたからかもしれないけど、スノーラ達も立てなかったのに、お兄ちゃん達は立ち上がったんだよ。それでお兄ちゃんをどうやって助けようか考えたり、でも早くお屋敷の方にも行かなくちゃいけないしって、色々考えていたら。

 レオナルドお兄ちゃん達よりも凄い人が駆けつけてくれました。そうフィオーナさん達です。お兄ちゃん達が立てないうちから気合いで立ち上がって、ここに駆けつけてくれて。そしてレオナルドお兄ちゃん達にお屋敷に行くように言うと、フィオーナさんは、自分の魔力をエイデンお兄ちゃんに流し始めました。

 この時本当に、本当に微かにしかエイデンお兄ちゃんの魔力は残っていなくて。なんとか魔力は流したけど回復するかどうか。フィオーナさんが回復を始めてから、僕達がここに来るまでと、あまり状況は変わっていないみたいです。

『レン、ここまでになってしまえば、我のヒールではどうにもならない。もう少し状況が良くなっていたならば、我の力でもと、少し期待していたのだが。しかし…』

 スノーラが僕の頭を撫でて来ます。

『レン、お前のヒールならば、兄を助ける事ができるかもしれん。お前の出鱈目なあの凄いヒールならばな。だが、それでも助けられない可能性がある。ただレン以外今の兄を救う可能性がある者もいないだろう』

 僕はエイデンお兄ちゃんを見ました。それからスノーラを見て。

『今からレンの魔力をもう少し引き出す。レン、兄を頼めるか? ずっと頑張ってくれているレンにはかなり無理をさせてしまうが』

 僕はスノーラに抱きつきます。そんなに心配そうな顔しないで、僕なら大丈夫だよ。だって僕はヒールをしてるだけだもん、それとハリセン。全然疲れてなんていないよ。みんなはもっと凄い事をしているんだから、疲れたなんて言えないよ。

「だいじょぶ! ぼくひーりゅしゅりゅ! おにいちゃげんきしゅる!!」

『レン…、ありがとう』

 スノーラがいつもみたいに魔力を引き出してくれます。さっきまで残っていた魔力と合わさって、すぐに魔力は溜まったよ。
 それからルリ達の応援を受けながら、エイデンお兄ちゃんの所へ行った僕。フィオーナさんに抱かれて寝ているお兄ちゃんの顔は、具合が悪くて真っ青っていうよりも、真っ白で生気がない感じでした。
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