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231.一斉にハリセン攻撃!!

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「もしゅこち。これかりゃ、しゃべりゅのめよ」

『うん、最後の確認』

『間違わないようになの』

 さらにディアブナスに近づいた僕達。ブロー達はディアブナスの攻撃をひょいひょい避けながら。そしてスノーラ達もディアブナスに話しかけてから、みんながディアブナスが僕達の方を見ないようにしてくれています。
 時々ブローはスノーラの頭に乗って、何か話しているみたいだけど、何を話しているかそこまではね。

 僕達はそんな中順調に進んで、これ以上近づいたら静かな声で話しても、気づかれるんじゃないかってくらい、ディアブナスに近づいていました。だから最後の確認をする事に。

『まえまでいっちゃりゃ、いっしぇいに、こげき』

『ルリはアイスを掴んで、一緒に肩に攻撃』

『左の肩なの』

「ぼくはおにゃかをこげき」

 うん、ここまでは大丈夫。あとはディアブナスの所に着いたら声を出せないから、せーのって言えないでしょう。だからそれも確認ね。僕はそのままハリセンを使っても、そんなに力が出ないと思うんだ。今でもハリセンの音が1番上手く鳴らないし。だから攻撃する時に、ジャンプをしてハリセンで叩こうと思っていたんだけど。

 それで良いかな? 僕がジャンプするタイミングで、ルリとアイスにも飛んでもらって一斉に攻撃。僕はルリ達に聞いてみました。

『うん、ルリはそれで良い』

『ボクも良いなの』

「きみゃり!!」

 確認が終わった僕達は、これからは話すの禁止。最後の歩きを始めます。これだけ近づいたからね、もうそこにスノーラがしっかり見えていて。倒れていても体を半分起き上がらせているスノーラにも、僕達はしっかり見えているはず。

 でも絶対にスノーラは僕達を見て来ませんでした。もしもスノーラの目線でディアブナスが気づいたら。多分そんな感じじゃないかな? 本当はスノーラに今すぐ近づきたい、それですぐにヒールしてあげたい。でもそれは今は我慢。まずはディアブナスを何とかしないとダメだもん。

 あと少し、あと少し。お願いだから気が付かないで。そう思いながらさらに近づいた時でした。急にディアブナスが動き始めたんだ。別に僕達の方を見て来たわけじゃないんだけど、そうじゃなくて。さらに力を入れて完全に立とうとしてきたんだ。

『ふんっ、魔法陣の力を使おうとも、今の私を止めることなどできない。それにお前の方から私の元へ来てくれたのだからな。さっさと立ち上がり、この面倒な連中を始末したら、お前を取り込み、その辺に隠れている子供も取りこんでやる』

 そう言って、さらに立ち上がるディアブナス。今はハイハイみたいな格好まで復活しちゃったよ。さらに体を起こそうとして来て。早くしなくちゃ! でも最後まで気を抜かないでしっかりと。
 ただ、立つためにはいはいみたいな格好になったから、ディアブナスの弱い攻撃が止みました。よしよし、今のうち。

 そしてついに…。今僕達の目の前にはディアブナスのお尻が。左後ろから近づいていたんだけど、段々と真後ろに移動しちゃっててね、しっかりと近づいたら目の前がお尻になっちゃったんだよ。だから最後に少しだけ横にずれて、足音が聞こえないか本当にドキドキでした。

 でもちゃんと横にずれる事ができて、お腹の傷に、肩の傷がバッチリ見えました。僕はお腹に、ルリ達は肩に。僕達は頷いて、ハリセンを手に持ちます。ハリセンを取るときも音を立てないように、そっとそっと取ったよ。
 もうね、この時汗がダラダラ。手も汗で湿ってたし、それでハリセンが滑るといけないから、洋服で拭いてから持ちました。

 前にハリセンを構える僕達。僕はしゃがんでジャンプの準備をします。ハリセンでどれだけ攻撃できるか分かりません。僕達が考えていたよりも、ハリセンの攻撃が効かない可能性もあって。それでももう他に方法はないもんね。
 少しでも良いんだよ、今よりもディアブナスの力を漏れさせて、スノーラ達を自由にできたら。お願いハリセンさん、僕達に力を貸してください!

 ディアブナスがまた少しだけまた、体を持ち上げました。僕はそれと反対、しっかりとしゃがんで。最後にルリ達の顔を見ました。2匹ともしっかり顔で、僕に頷いて来たよ。うん! 

 僕は思いっきりジャンプしました。それと同時にルリがアイスを掴んで飛んで、タイミングはバッツリだったよ。同じタイミングで、僕達はディアブナスのそれぞれの怪我の所へ。そして一斉攻撃、思いっきりディアブナスの傷の部分をハリセンで叩きました。

 ぱしぃ~!! ぱしぃ!! パシィ!!

 もうね、これ以上ないくらいに、しっかり傷をハリセンで叩いたよ。そして叩いた瞬間ハリセンと叩いた場所が光った気がして。
 叩き終わったのとほぼ同時かな。僕はすぐに前をみました。そこにとっても驚いているディアブナスの顔が。僕、ディアブナスが驚いている顔何て初めて見たよ。

 でもすぐにその顔を歪めて、凄い勢いで睨んできたディアブナス。ルリ達が僕の肩に戻ってきた途端、グイッと体を無理やりこっちに向けてきて、だんっ! だんっ!!と、思いっきり立ち上がりました。

『逃げろ!!』

 スノーラの声が聞こえて、僕は後ろに逃げようとします。その時、周りがとってもゆっくり動いているように見えたんだ。こうスローモーションみたいな感じ? 何もかも、僕の動きもディアブナスの動きも、向こうで何かを叫んでいるスノーラやブロー達の姿も、全部がそう見えたんだ。

 でもすぐにそれは終わって、次の瞬間、僕は飛ばされていました。
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