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36話 いろいろな可能性
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沈黙が流れる中、最初に口を開いたのはトールだった。
『飛んだ……』
このトールの言葉をかわきりに、ミルフィー達全員が俺の所へ飛んでくると。俺と扇風機を囲んで、もう大騒ぎだった。とは言え、俺もはしゃぎたい気分ではあった。
だって羽が飛んだんだぞ? 物凄い勢いで飛んでいって、物に傷をつけて、ブーメランのように戻ってきて、元通りの扇風機に戻ったんだ。俺が何もしなくても。
普通だったら蓋ガードを止めている留め具を、しっかり外さなくちゃいけないのに。それも自動だからな。まだ確認はしていないけど、今は閉じているガード。きっとしっかり止まっているはずだ。
でも、うん。俺はこれでも小さな子供ってわけじゃないから。ミルフィー達みたいに大騒ぎはしなかった。……まぁ、シルフ達、4大精霊王は、誰よりも年上だけどさ。その辺は、うん。
今、扇風機を確かめようとしても、呪文を確かめようとしても、どうせその度にみんな騒ぐから、もう少しみんなが落ち着いてから、確認することにした。
そうして俺の初めての、扇風機攻撃に成功してから約1時間がたった頃。そう、みんな1時間も大騒ぎしていたんだけど、ようやく静かになって。ゼェゼェしているみんなにジュースを飲ませてから、みんなで扇風機の確認をした。
『リョウ、これって勝手に開くの?』
「いや、普通は俺がこの留め具を外さないと開かないんだけど、何故か魔法を使った時は、勝手に外れたんだ。と、ちょっと待ってくれ。……うん、しっかりとしまってるな」
『じゃあ、しまったのも勝手だったのか?』
「ああ。しまったのも勝手だ」
『え、えと、羽が飛んだのは?』
「あれも俺が飛ばしたんじゃないぞ。勝手に扇風機から外れて飛んでいったんだ」
『リョウパパ!! すごいいきおいでとんでった!! ビューン!! って!!』
「ああ、凄い勢いで飛んでいったな。あれは俺も驚いた」
『リョウが何もせずに、全て勝手にということ。それと私達は、魔力の流れが見えますが。あの時は、羽に1番魔力が集まっていて、次にガードに集まっていました。この事から、これは攻撃魔法が成功したと思って良いでしょう』
『どう見ても成功だよ!! ねぇねぇ、向こうの丸太見に行こうよ!!』
みんなで丸太の所まで移動する。俺が魔法を使った場所から丸太までは、10メートルくらいか。良くここまで届いたな。
『ほら、見て見て!! しっかりと深く傷がついてるよ!!』
『ビューン!! で、グササッ!! すごいすごい!!』
『凄いな!! こんなしっかりなんて!!』
丸太の幅は直径50センチくらいだったんだけど、その半分くらいまで、深く切り込みが入っていた。俺が斧で丸太を割る時よりも、しっかり入っていたよ。今度から丸太を割るのに、この魔法が使えないかな?
丸太を確認した後は、みんなで新しい攻撃魔法、『カットブーメラン』についての話し合いだ。今回は防御魔法とは違い、俺1人で魔法を使ったからな。それについてシルフ達から話しがあるって。
『防御魔法でも、他の防御魔法が使えるようになるって、話ししたでしょう?』
「ああ」
『それなんだけどさ、防御魔法の方は、ちょっと分かんないけど。もしかしたら攻撃の方は、さらに新しい攻撃ができるかもしれないぞ。それから俺達なんだけど。これは防御と攻撃どっちも、ミルフィーみたいにお前の手伝いできるかもしれないぞ』
どういうことか詳しく話を聞くと、まず防御魔法の方。『エリアバリア』を使う時、扇風機には俺とミルフィーの魔力が完璧に混ざった魔力が、扇風機を包んでいるらしい。俺には魔力の流れが見えないから、分からなかったけど。
でも俺が1人で『エリアバリア』を使った時は、扇風機を包む俺の魔力がとても弱かったようで。
それを見て、1人でやると効果は半減? もしかしたら、『エリアバリア』はミルフィーと共にやらないといけないコンビ魔法なんじゃ? と思ったって。
そしてそのコンビ魔法だけど、ミルフィーだけではなく、契約した自分達なら、一緒にできるんじゃないか、という事だった。
『リョウの魔力に、私達の魔力が綺麗に混ざるのなら、誰でも一緒に魔法が使えるかもしれません。そうなれば、いざ防御魔法を使う時に、1番近く居た者が、一緒に魔法を使えば良くなります』
「なるほど。みんなとも魔法が使えれば、緊急時にミルフィーが俺から離れていても。他の誰かが側にいてくれれば、すぐに魔法が使えるってことか」
『リョウパパ、ぼく、ずっとそばにいるよ?』
「それは分かってるよ。それに俺だって、お前の側からは離れないよ。でも遊んでいて、ちょっと向こうに居る時もあるだろう? そういう時の事だよ」
『ふ~ん?』
分かってないな。まぁ、そのうち分かるだろう。
『それと、攻撃の方ね。今リョウは1人で攻撃をしたでしょう? 防御は一緒にやる魔法なんだから、もしかしたら攻撃の方も、僕達と一緒にできる攻撃があるかも』
「一緒にか」
『そ、そう。こ、攻撃も僕達の魔力と混ざれば、強い攻撃になるとか?』
『もしかしたら、僕達の得意な力で、それぞれ違う、防御、攻撃ができるかも。扇風機の風の防御に攻撃、火の防御に攻撃って。いろいろ試してみると良いんじゃないかな』
『そうそう、何でもいろいろやってみなくちゃな!!』
『フルールは何でもやり過ぎて、私達にも、世界の人々にも迷惑をかけ過ぎてますが』
『そんな事ないぞ。確かに俺はいろいろやるけど。迷惑はかけてないぞ!!』
『私達の家を壊したり、村の備蓄をダメにしたのは誰でしたか? 魔獣達の暮らす土地も、危うく消す所でしたし』
『ちゃんと元に戻したろ』
何をやってるんだよ、火の精霊王。
『飛んだ……』
このトールの言葉をかわきりに、ミルフィー達全員が俺の所へ飛んでくると。俺と扇風機を囲んで、もう大騒ぎだった。とは言え、俺もはしゃぎたい気分ではあった。
だって羽が飛んだんだぞ? 物凄い勢いで飛んでいって、物に傷をつけて、ブーメランのように戻ってきて、元通りの扇風機に戻ったんだ。俺が何もしなくても。
普通だったら蓋ガードを止めている留め具を、しっかり外さなくちゃいけないのに。それも自動だからな。まだ確認はしていないけど、今は閉じているガード。きっとしっかり止まっているはずだ。
でも、うん。俺はこれでも小さな子供ってわけじゃないから。ミルフィー達みたいに大騒ぎはしなかった。……まぁ、シルフ達、4大精霊王は、誰よりも年上だけどさ。その辺は、うん。
今、扇風機を確かめようとしても、呪文を確かめようとしても、どうせその度にみんな騒ぐから、もう少しみんなが落ち着いてから、確認することにした。
そうして俺の初めての、扇風機攻撃に成功してから約1時間がたった頃。そう、みんな1時間も大騒ぎしていたんだけど、ようやく静かになって。ゼェゼェしているみんなにジュースを飲ませてから、みんなで扇風機の確認をした。
『リョウ、これって勝手に開くの?』
「いや、普通は俺がこの留め具を外さないと開かないんだけど、何故か魔法を使った時は、勝手に外れたんだ。と、ちょっと待ってくれ。……うん、しっかりとしまってるな」
『じゃあ、しまったのも勝手だったのか?』
「ああ。しまったのも勝手だ」
『え、えと、羽が飛んだのは?』
「あれも俺が飛ばしたんじゃないぞ。勝手に扇風機から外れて飛んでいったんだ」
『リョウパパ!! すごいいきおいでとんでった!! ビューン!! って!!』
「ああ、凄い勢いで飛んでいったな。あれは俺も驚いた」
『リョウが何もせずに、全て勝手にということ。それと私達は、魔力の流れが見えますが。あの時は、羽に1番魔力が集まっていて、次にガードに集まっていました。この事から、これは攻撃魔法が成功したと思って良いでしょう』
『どう見ても成功だよ!! ねぇねぇ、向こうの丸太見に行こうよ!!』
みんなで丸太の所まで移動する。俺が魔法を使った場所から丸太までは、10メートルくらいか。良くここまで届いたな。
『ほら、見て見て!! しっかりと深く傷がついてるよ!!』
『ビューン!! で、グササッ!! すごいすごい!!』
『凄いな!! こんなしっかりなんて!!』
丸太の幅は直径50センチくらいだったんだけど、その半分くらいまで、深く切り込みが入っていた。俺が斧で丸太を割る時よりも、しっかり入っていたよ。今度から丸太を割るのに、この魔法が使えないかな?
丸太を確認した後は、みんなで新しい攻撃魔法、『カットブーメラン』についての話し合いだ。今回は防御魔法とは違い、俺1人で魔法を使ったからな。それについてシルフ達から話しがあるって。
『防御魔法でも、他の防御魔法が使えるようになるって、話ししたでしょう?』
「ああ」
『それなんだけどさ、防御魔法の方は、ちょっと分かんないけど。もしかしたら攻撃の方は、さらに新しい攻撃ができるかもしれないぞ。それから俺達なんだけど。これは防御と攻撃どっちも、ミルフィーみたいにお前の手伝いできるかもしれないぞ』
どういうことか詳しく話を聞くと、まず防御魔法の方。『エリアバリア』を使う時、扇風機には俺とミルフィーの魔力が完璧に混ざった魔力が、扇風機を包んでいるらしい。俺には魔力の流れが見えないから、分からなかったけど。
でも俺が1人で『エリアバリア』を使った時は、扇風機を包む俺の魔力がとても弱かったようで。
それを見て、1人でやると効果は半減? もしかしたら、『エリアバリア』はミルフィーと共にやらないといけないコンビ魔法なんじゃ? と思ったって。
そしてそのコンビ魔法だけど、ミルフィーだけではなく、契約した自分達なら、一緒にできるんじゃないか、という事だった。
『リョウの魔力に、私達の魔力が綺麗に混ざるのなら、誰でも一緒に魔法が使えるかもしれません。そうなれば、いざ防御魔法を使う時に、1番近く居た者が、一緒に魔法を使えば良くなります』
「なるほど。みんなとも魔法が使えれば、緊急時にミルフィーが俺から離れていても。他の誰かが側にいてくれれば、すぐに魔法が使えるってことか」
『リョウパパ、ぼく、ずっとそばにいるよ?』
「それは分かってるよ。それに俺だって、お前の側からは離れないよ。でも遊んでいて、ちょっと向こうに居る時もあるだろう? そういう時の事だよ」
『ふ~ん?』
分かってないな。まぁ、そのうち分かるだろう。
『それと、攻撃の方ね。今リョウは1人で攻撃をしたでしょう? 防御は一緒にやる魔法なんだから、もしかしたら攻撃の方も、僕達と一緒にできる攻撃があるかも』
「一緒にか」
『そ、そう。こ、攻撃も僕達の魔力と混ざれば、強い攻撃になるとか?』
『もしかしたら、僕達の得意な力で、それぞれ違う、防御、攻撃ができるかも。扇風機の風の防御に攻撃、火の防御に攻撃って。いろいろ試してみると良いんじゃないかな』
『そうそう、何でもいろいろやってみなくちゃな!!』
『フルールは何でもやり過ぎて、私達にも、世界の人々にも迷惑をかけ過ぎてますが』
『そんな事ないぞ。確かに俺はいろいろやるけど。迷惑はかけてないぞ!!』
『私達の家を壊したり、村の備蓄をダメにしたのは誰でしたか? 魔獣達の暮らす土地も、危うく消す所でしたし』
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