異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!

ありぽん

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63話 禁断の力、そして生け贄

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「生け贄か……」

「間違いねぇのか?」

『この目で見たから、間違いはない。あれは生け贄を使った禁忌の力だ。……生け贄というだけで最悪な事だからな。良かったとはあまり言えないのだが。一瞬だったからな。その、なんだ。皆よく分からないまま、痛みも苦しみも感じなかったはずだ』

「アマディアス」

「分かっています。だから抑えているでしょう」

 またアマディアスさんの魔力が上がったけど、それはすぐに戻った。だけど一応師匠が注意していた。アマディアスさんが暴走するかもしれなかったから。ただ、アマディアスさんじゃないけど、みんな同じ気持ちだっただろう。生け贄を使うなんて……。

 アマディアスさんに転移の魔法で、送ってもらっている俺が言えたもんじゃないけどさ。それでも歩けば良いだけだろう、歩けば。俺だって緊急じゃなければ、自分で歩いて長い距離を移動してるよ。

 それなのに、自分の移動のためだけに、世界的に1番嫌われている方法を使うなんて。

 禁忌の力を使うには、自分の魔力が膨大な場合は、自分のその魔力をそのまま捧げたり、自分の体のどこか一部分を捧げたりする方法がある。他にもその禁忌の力によって、とても珍しい素材を集め、一定の条件を満たして使うなどだ。

 そう、努力っていうのはおかしいけれど。自分の何かを犠牲にするか、それとも絶対に集めらないと言われる素材を、なんとか集められれば、禁忌の力を使うことは可能だ。まぁ、自分の何かを捧げる時に、自分の命を捧げてしまうことがほとんどだが……。

 しかし自分は何もせずに、ただ見ているだけで、禁忌の力を使える方法がある。それが生け贄を捧げる方法だ。

 人間だろうが獣人だろうが、エルフだろうが魔族だろうが魔獣だろうが。生け贄に使う種族は決められておらず、誰でも良いから大量に集め、その後……。

 集めた者達の命を捧げるんだ。命を捧げれば、その命を捧げた者達の力を全て捧げる事ができる。それにより禁忌の力を使うことができるんだ。

 この方法は、ラダリウス達のような力のない、自分を捧げることは絶対に嫌だ、素材探しも面倒だ、すぐに力を使いたい、と考え者達が。1番手っ取り早い方法として、大昔はよく使われていた。

 だがそのために、どれだけの者達が犠牲になるか。生け贄はタイロンが言っていたように、大量の人数が必要なんだ。
 
 タイロン達の元へ突然現れたのは、禁忌の転移魔法で間違いないだろう。それに生け贄を使い。まだ話しは聞いていないが、その後また何かに生け贄を使い。そしてその場から立ち去る時にも生け贄を使った、というところか?

 もしかしたら、タイロンの時だけではなく、他でも生け贄を使っていた可能性がある。その場合の人数はどれだけになるのか。それだけの人数を集めるのは、そう簡単な事じゃない。一体どこからそんなに集めた?

『人や獣人だけではなく、魔獣もいた。調べたが、力が弱い者達が集められていたように思う。そのせいで数も余計多く集めてい感じだろう』

「奴隷を使ったのはもちろん。その辺から攫って来た可能性が高いな」

「奴隷なら購入すれば、何人といっぺんに人が集められられますからね。しかしそれでも、それだけの数を用意できる奴隷商は、なかなかいないはず」

「後はよく分からずに、良い仕事があるとか何とか言って、騙して連れて来たか」

「どちらにしろ、おそらくラダリウスに手を貸している者がいますね。あれに、いろいろ考える、などという頭はないですから。奴を消してしまえば、今回のことは終わると思っていましたが、そう簡単ではないようです。が、その事については後ほど話し合いましょう」

「そうじゃの。今回は他にも問題があるようじゃからな」

「それで、どうしてあなた方の群れから呪いのアンデットが?」

『ウォット様でも知らない魔法陣が使われた』

 と、タイロンの言葉に、ピリッとした空気が流れた。ウォット様でも知らない魔法陣? 

 ラダリウス達が来てすぐに、何かがおかしいと感じたウォット様が、子供達と戦うこと苦手なドラゴンや他のドラゴンを避難させ。戦闘要員のドラゴン達はその場に残り、ラダリウス達を様子を窺っていた。

 しかし避難が終わってすぐ、ラダリウスがまた生け贄を捧げれば。巨大な魔法陣が現れ、それで生贄の半分以上が命を落としたと。その数100人以上。

 そうしてすぐに発動された魔法陣に、戦闘態勢を取ったのだが。ここで勝手な行動をしたドラゴンがいた。それがあの呪いのアンデットになってしまった、ガルドルというドラゴンだ。

 どうやらガルドルというドラゴン、ドラゴンの群れの中で第2位の力を持っていたが、問題ドラゴンだったらしい。

 余計な事ばかりをし、他のドラゴンの言うことは聞かず、必要以上の力を振るう時もあり。他のドラゴンに、いつも迷惑をかけていた。挙句、戦闘狂で、誰でも構わず、攻撃を仕掛けるため。度々他の種族と面倒ごとを起こしていたと。

 そのため、何度か群れから出す、という話しも出ていたそうだ。が、ただそれでも、群れで問題が起きた時は、ウォルト様の次に力が強いだけあって、奴の力は使えたため、結局は群れに残していたらしい。

 そのガルドスが、その時やってしまった。みんなが止めるのも聞かず、ウォルト様も力ずくで止めようとしたのだが。それを振り切り、魔法陣を確認しに行ってしまったガルドル。

『おそらくガルドルは、魔法陣から敵が出てくると思ったのだろう。禁断の力を使い、さらにウォット様も知らない魔法陣だ。そんな所から出てくる物ならば、楽しく戦えると。それが本当に、何かが出てくる魔法陣なのかも、分かっていなかったのに。そしてガルドルが魔法陣に近づいた時、それは起きた』
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