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12話 スケルトンだって食事をする?
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『スッケーパパ、今日は何色?』
『そうだな、今日は茶色かな。濃い茶色とちょっと濃い茶色だ。それと『骨崩れない』』
『う~ん、難しい。でも最初はリル選んで良い?』
『ああ、良いぞ』
俺達が来たのはたくさんの石が、簡単に色分けして置いてある場所だ。何で食堂の料理を受け取る場所に、そんな沢山の石が置いてあるのか。それはこの石が、俺達スケルトンや、固形の食べ物を食べられない魔物達のご飯だからだ。
スケルトンがご飯? と思うかもしれない。だけどこれは本当に俺達のご飯なんだぞ。勿論最初からこの世界に、俺達のような骸骨や、生身の肉体を持たない魔物達なんかに、ご飯なんかあるわけがなかった。
まぁ、正気を吸ったり、魔力を吸ったりするから。それがご飯といえばご飯だけど。俺も記憶を取り戻す前は、洞窟に入ってきて、俺を倒そうとした奴を……。なんてこともしていたけど。
なんなら今もしているし。でも今は食事っていうよりも、リルや街の人々を守るためだ。
が、何を言おう、この石を発見し。これを俺達のご飯にしたのは、誰でもない俺である。
数年前み争いに巻き込まれて、記憶を取り戻した後。俺は骨がボロボロの状態で動いていた。何でそんな状態で歩いていたか。自然に回復するのを待つしかなかったからだ。
治癒魔法が使えない弱いスケルトンとって、自然に漂っている魔力を少しずつ吸収する事でしか、体を治療することができず。だからあの時も自然に治るのを待っていたんだけど。
ただあの時はいつもと違う事が。フラフラと歩いていたら、ある石から魔力が漏れている事に気づいたんだ。今までにそんな石は見たことはなく、その辺に落ちている、ただの石だったはずの石からな。
そして周りを注意深く見てみれば、魔力が盛れてる石がそこら中に転がっていて。更に見つめれば、目が慣れてきたのか、どんどんその溢れている魔力が、しっかりと見えるように。
何だこれ? そう思った俺はその石を調べてみることに。勿論用心しながら手に取ったさ。争いの巻き込まれて散々な目にあったのに、そして何とか助かったのに。変な石を触って、また変な事になりたくなくったからな。
が、石を手に取っても、爆発するとか、魔力のせいで更に体がボロボロになるとか、変なことが起こる事はなく。ふぅ、と肩を撫で下ろす俺。だけどすぐに不思議な感覚に襲われた。
こうなんか、魔力が俺の中に入ってくるような、力が湧いてくるような、そんな感覚がしたんだ。そしてこう思った。この魔力、吸収することができんるんじゃ? と。
何となく、何となくだけど、魔力を自分の体に取り込む事が、出来るんじゃないかと思ったんだよ。それに良い事が起きる気がしたっていうか。だからすぐに俺は、試してみることにした。
俺達スケルトンは時々、自然以外で体力を回復させるって言ったけど。もしも近くに魔族が居てくれた場合には、魔族から魔力を分けて貰い、それで体の維持もしていた。
だからそのおかげで、魔力を取り込むのには慣れていたから。その感覚で、石から魔力を取り込む事に。その結果……。
魔力を取り込む事に成功した。すぐに石から溢れる魔力が俺の方に流れて来て、すんなり体に取り込まれたんだ。
そしてすぐに変化が。ボロボロだった骨は完璧に回復し、それどころか体力まで回復して。生きてきたスケルトン人生の中で、1番元気になったかもしれない。
まさか石の魔力を取り込んだだけで、ここまで元気になれるとは。今までしていた事は何だったのか。自然回復なんてあんな時間がかかる事を、俺達スケルトンはずっとしてきたんだぞ?
と、体が凄く回復した事に驚いた俺だったけど。それ以上に驚くことが起きていた。
魔力を体に取り込んだ瞬間、ある感覚が俺を襲ったんだ。何と魔力から味かしたんだよ。
勿論魔力に味があるなんて、そんな話し聞いた事はなかったし。魔力を分けてもらった時も、こんな味はしなかった。
それにだ。もしも味がしたとしても、スケルトンの俺が、味なんか分かるわけないからな。舌で味わうわけじゃないし、味の感覚がしただけって方が正しいかもしれないけど。俺にとっては、本当に味がしたんだよ。
最初に感じた味はホットケーキ味だった。まさかのホットケーキだ。俺は嬉しさのあまり、その場でどれだけ喜んだ事か。
だって味というものを味わったのはいつぶりか。なにしろスケルトンとしてして生きてきて、もう歳なんて分からないほど生きてきたし。だからどれだけそれが嬉しかった事か。
もしもあの時その場に誰かがいたら、俺は完璧に不審者ならぬ、不審スケルトンだっただろう。石を持って、いや石を掲げて泣いているように見えるし、それなのに喜んでいるスケルトンだったからな。
と、まぁ、その時の俺の様子は置いておいて。それから俺は街へ向かう道中、色々な石の魔力を取り込んでいった。
この時の俺は、嬉しくて楽しくて、魔力を吸い取ることが止まらなかったよ。だって味だぞ? 止まるわけがない。まぁ、時々ハズレもあったけどな……。
『そうだな、今日は茶色かな。濃い茶色とちょっと濃い茶色だ。それと『骨崩れない』』
『う~ん、難しい。でも最初はリル選んで良い?』
『ああ、良いぞ』
俺達が来たのはたくさんの石が、簡単に色分けして置いてある場所だ。何で食堂の料理を受け取る場所に、そんな沢山の石が置いてあるのか。それはこの石が、俺達スケルトンや、固形の食べ物を食べられない魔物達のご飯だからだ。
スケルトンがご飯? と思うかもしれない。だけどこれは本当に俺達のご飯なんだぞ。勿論最初からこの世界に、俺達のような骸骨や、生身の肉体を持たない魔物達なんかに、ご飯なんかあるわけがなかった。
まぁ、正気を吸ったり、魔力を吸ったりするから。それがご飯といえばご飯だけど。俺も記憶を取り戻す前は、洞窟に入ってきて、俺を倒そうとした奴を……。なんてこともしていたけど。
なんなら今もしているし。でも今は食事っていうよりも、リルや街の人々を守るためだ。
が、何を言おう、この石を発見し。これを俺達のご飯にしたのは、誰でもない俺である。
数年前み争いに巻き込まれて、記憶を取り戻した後。俺は骨がボロボロの状態で動いていた。何でそんな状態で歩いていたか。自然に回復するのを待つしかなかったからだ。
治癒魔法が使えない弱いスケルトンとって、自然に漂っている魔力を少しずつ吸収する事でしか、体を治療することができず。だからあの時も自然に治るのを待っていたんだけど。
ただあの時はいつもと違う事が。フラフラと歩いていたら、ある石から魔力が漏れている事に気づいたんだ。今までにそんな石は見たことはなく、その辺に落ちている、ただの石だったはずの石からな。
そして周りを注意深く見てみれば、魔力が盛れてる石がそこら中に転がっていて。更に見つめれば、目が慣れてきたのか、どんどんその溢れている魔力が、しっかりと見えるように。
何だこれ? そう思った俺はその石を調べてみることに。勿論用心しながら手に取ったさ。争いの巻き込まれて散々な目にあったのに、そして何とか助かったのに。変な石を触って、また変な事になりたくなくったからな。
が、石を手に取っても、爆発するとか、魔力のせいで更に体がボロボロになるとか、変なことが起こる事はなく。ふぅ、と肩を撫で下ろす俺。だけどすぐに不思議な感覚に襲われた。
こうなんか、魔力が俺の中に入ってくるような、力が湧いてくるような、そんな感覚がしたんだ。そしてこう思った。この魔力、吸収することができんるんじゃ? と。
何となく、何となくだけど、魔力を自分の体に取り込む事が、出来るんじゃないかと思ったんだよ。それに良い事が起きる気がしたっていうか。だからすぐに俺は、試してみることにした。
俺達スケルトンは時々、自然以外で体力を回復させるって言ったけど。もしも近くに魔族が居てくれた場合には、魔族から魔力を分けて貰い、それで体の維持もしていた。
だからそのおかげで、魔力を取り込むのには慣れていたから。その感覚で、石から魔力を取り込む事に。その結果……。
魔力を取り込む事に成功した。すぐに石から溢れる魔力が俺の方に流れて来て、すんなり体に取り込まれたんだ。
そしてすぐに変化が。ボロボロだった骨は完璧に回復し、それどころか体力まで回復して。生きてきたスケルトン人生の中で、1番元気になったかもしれない。
まさか石の魔力を取り込んだだけで、ここまで元気になれるとは。今までしていた事は何だったのか。自然回復なんてあんな時間がかかる事を、俺達スケルトンはずっとしてきたんだぞ?
と、体が凄く回復した事に驚いた俺だったけど。それ以上に驚くことが起きていた。
魔力を体に取り込んだ瞬間、ある感覚が俺を襲ったんだ。何と魔力から味かしたんだよ。
勿論魔力に味があるなんて、そんな話し聞いた事はなかったし。魔力を分けてもらった時も、こんな味はしなかった。
それにだ。もしも味がしたとしても、スケルトンの俺が、味なんか分かるわけないからな。舌で味わうわけじゃないし、味の感覚がしただけって方が正しいかもしれないけど。俺にとっては、本当に味がしたんだよ。
最初に感じた味はホットケーキ味だった。まさかのホットケーキだ。俺は嬉しさのあまり、その場でどれだけ喜んだ事か。
だって味というものを味わったのはいつぶりか。なにしろスケルトンとしてして生きてきて、もう歳なんて分からないほど生きてきたし。だからどれだけそれが嬉しかった事か。
もしもあの時その場に誰かがいたら、俺は完璧に不審者ならぬ、不審スケルトンだっただろう。石を持って、いや石を掲げて泣いているように見えるし、それなのに喜んでいるスケルトンだったからな。
と、まぁ、その時の俺の様子は置いておいて。それから俺は街へ向かう道中、色々な石の魔力を取り込んでいった。
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