異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!

ありぽん

文字の大きさ
7 / 78

7話 大賢者と魔王と勇者との出会い

しおりを挟む
 俺の番になり、俺にマッサージなど不要だけど、みんなの嬉しそうな表情が頭から離れず、マッサージ師がどんなマッサージをしているのか、とても気になったので。邪魔はしないから、マッサージをしている姿を見せて欲しい、と頼んだら。

 お爺さんのマッサージ師は、快く俺をお店に入れてくれて。お客さんの許可も取って、近くで様子を見させてもらう事になった。

 そのお店には何人かマッサージ師がいて、待っている患者さんに聞いた所、幸せそうな人達をマッサージしたのは、1番歳をとっている、俺の話しを聞いてくれたお爺さんだと教えてもらった。

 勿論他の人にマッサージをしてもらった人達も、ニコニコで帰って行ったけど。そのお爺さんにマッサージされた人達は、比べられないくらい、本当に幸せそうに帰って行ったよ。

 見せてもらったお爺さんのマッサージは、他の人と同じように見えるのに。でも帰って行く人達の表情が違うのは、本当にお爺さんの腕が良いんだろう。

 感動したまま、お爺さんのマッサージは終わり。もう少し見たかったけれど、仕事の邪魔をしたらダメだと。お礼を言って帰ろうとした俺。しかしなぜかお爺さんに止められて、何とお店が終わるまでお店にいることになったんだ。

 そしてお店が終わったのは、夜11時を過ぎてからだった。

「すまんのう、待たせてしまって。今日はいつもよりも人数が多くての。いつもならば1時間くらい早く終わるんじゃが」

 お茶を入れてくれたお爺さん。1時間早くって、それでも夜10時だ。毎回こんな遅くまで働いているのか? 
 何で止められたか分からなかったけど、今日は話しを聞くのをやめて、たとえばお爺さんがお休みの日にでも、改めて話しをさせてもらう約束ができれば。なんて思っていた時。

「今日の営業は終わりましたか?」

「おう、爺さん、お疲れ様!!」

「彼があなたに興味を持っていると、連絡が入りまして。どうせなら共に話しをさせてもらおうと思い、お伺いしました」
 
「いつ声をかけようか思ってたんだよ。ちょうど良かった」

 2人組の男がお店に入って来て、俺の事を見ながらお爺さんにそう話し。

「そうじゃろうな。お主、ちとこれから、少しわしらと話しをしないかのう」
 
 こうしてよく分からないまま始まった、お爺さんと2人の男達との話し合い。最初はもちろん自己紹介からしたんだけど。まさか始めの自己紹介の時点で、驚くことが起きるとは。

 まずマッサージ師のお爺さんだけど。俺のような末端の最弱のスケルトンでも知っているような、大賢者ウェンセスラスだった。大賢者、いやいや大大大賢者か。
 この世界で魔王と勇者の次に、力を持っていると言われている程の人が、まさかマッサージ師をしていたなんて。

 国に支えていたはずの彼がなぜここに? 驚きのあまり声が出せないでいる俺。でも驚きはまだ続いた。

 2人の男のうちの1人、丁寧な口調の男は魔王アマディアスで。ちょっと、いや普通に口が悪い方の男が、勇者ジェラルドだと言ったんだ。俺はそれを聞いて、さらに固まることになった。

 いや、もちろんこの街を作ったのは、魔王と勇者だということは理解していたよ。それにこんなに素晴らしい街を作るなんて、凄い2人だなって。2人の恩恵も受けているし。
 でもさ、まさかその代表の2人が、目の前に現れるなんて。そんなこと普通思わないだろう? だってこの街の代表だぞ。魔王と勇者だぞ。

 俺の前に座ってニコニコしている魔王、勇者、大賢者。何でこんなことになったんだ? 少しして固まって体は動いたけど、今度はアワアワすることに。そんな俺に、今度はニコニコではなく、ニヤッと笑いかけてきた魔王。それにまた固まる俺。

 そんな固まったり、アワアワしていた俺だけど。その後の3人のまさかの話しを聞くうちに、今度は緊張どころではなくなった。

 どうも俺が、この街がある森へ来た時点で、魔王も勇者も大賢者も、俺の存在に目をつけていたらしく。何と街に入ってからは、部下や仲間に俺の監視をさせていたらしんだ。しかも自分が動ける時には、自ら監視をしていたと。

 俺は争い巻き込まれて攻撃を受けた時から、その影響なのか、魔法が使えるようになっていたんだけど。魔法を使うには魔力を使うのだが、そんな大した魔法は使えなかったため、魔力なんて少しだと思っていた。

 が、どうもその魔力が、俺が考えていたよりもかなり、いや俺が考えもしないほども魔力量を得ていたらしく。

 この森に入るには、『真実の目』を持った人達の鑑定を受けて、敵意を持っていないと判断した人しか森に入れない。

 『真実の目』っていうのは、相手がどんな感情を、能力を持っているか、鑑定できるもので。その真実の目を持っている人達を森の周りに配置。
 その人達が『真実の目』を使って、問題がないと判断されると、森の中へ、街の中へ入ることができる。

 それでその『真実の目』で鑑定された俺。あまりに俺の魔力が莫大だったせいで、もしかしたら真実の目が弾かれた可能性があり、もしも街を攻撃しに来たのならば……、と。俺の魔力量で、先に存在に気づいていた3人に連絡が入り、そのために監視していたって。

 でも俺の行動を見るうちに、そして俺の魔力を調べるうちに。俺の魔力からは敵対しているような、悪意のある? 刺々しい? 感じはせず。それどころかまろやかな? 感じがしたと。

 そして先日3人は集まり、俺のことを話し合い、敵対する者ではないという結露に。そして監視よりも、ここは1度俺に話しを聞いてみよう、ということになったと。

 そうしたら、たまたま俺が大賢者ウェンセスラスのお店へ来たものだから。みんながここへ集まった、とういう事だった。

 話し? 話って何を話すんだ? そう思っていた俺。するとまたあのニヤリ顔で魔王が。

「話しを聞こうというか、私達はあなたをスカウトしに来たのですよ」

 そう言ってきた。
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。 異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。 役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。 隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。 戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。 異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。 まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。 ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。 それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。 次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。 その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。 「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」 ※カクヨムにも掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...