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48.避難場所に到着、ロウカウからの贈り物
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「さぁ、順番に。慌てなくて良いかなら」
台車の板を外して、大人はもちろんそのまま、小さな子は順番に大人しく立って、エルフ達に降ろしてもらっていく。俺は籠に戻されて、籠はアロイシアスが持ってくれて、先にレイナさんが。全体の1番最後に俺が荷台から降ろされた。
扉が開かれて、みんながその中へぞろぞろ入っていく。中から声が聞こえてきたけど、もうかなり集まっているみたいだ。俺達もみんなの後ろを付いて行こうとした。が、いきなりアロイシアスさんが止まって。
何かと思ったら、アロイシアスさんの洋服の肩部分を、白いカウロウが咥えて止めていた。
「何だ? どうかしたのか?」
『何だ何だ?』
『どうかしたの?』
『何かある?』
シャイン達が俺のお腹の上から飛んで、アロイシアスさんの咥えられている、洋服の肩の部分にへばり付いた。
『グオォォォ』
「何だ? くれるのか?」
『グオォォォ!!』
返事をする白いカウロウ。それから頭を下げて。下の方からガサゴソ音が聞こえる。それからブチブチッて音が聞こえると、白いカウロウが頭を上げた。するとその口には白い綺麗な毛が。そして白いカウロウは俺に顔を近づけて、咥えていた白い毛を俺の上に置いたんだ。
「あう?」
『グオォォォ!!』
「お前にこの毛をくれると」
ええ!? 白いカウロウのあんなに素晴らしい毛を俺に!? ブチブチッて、かなりの勢いでちぎっていたけど、ちぎった部分は大丈夫か? そこから毛が悪くなるとか、伸びなくなるとか。俺に毛をくれたせいで、そんなことになったら困るぞ?
「あら、ティニー、良かったわね。出会ってすぐの毛をもらえるなんて、なかなか貰えないのよ」
中に入る列が止まっている間に、説明してくれたレイナさん。カウロウは大切に思う相手に自分の毛を贈るらしい。オスのカウロウがメスのカウロウにって感じで。そしてカウロウは家族になると。夫婦ってことだな。
後は、夫婦になって子供が生まれると、自分達の毛を使って子供のために寝床を作ったり、子供の長い毛に自分達の毛を絡ませたり。この毛を絡ませる行為は、この子は自分達の子だ。手を出したら自分達が許さないって、相手へのに警告だって。
そしてカウロウは、家族以外にも自分が認めた者に、毛と贈ることがあるらしんだけど。でもこれは本当に珍しいことで、カウロウの一生で1度あるかないかってくらい、とっても珍しい事だった。
しかもカウロウの毛はほとんど抜けることがなく、抜け毛も見つけるのはほぼ困難で。もしもその毛が人間達や獣人達の街で売られる事があれば、かなりの高値で売買されるらしい。
この白いカウロウは、そんな大切な時に使う、素晴らしい毛を俺にくれたのか? しかも抜け毛さえないなんて、やっぱり途中から引きちぎったら、元の綺麗な毛に戻らないんじゃ。
慌てて聞いた俺。でも大丈夫だった。毛を切ると、その後はしっかりと元の長さまで、素晴らしい状態で生えてくるらしい。俺はホッとしてため息を吐いた。あ~、心配した。
ところで何で大切な人や家族、認めた者にしか渡さない毛を、俺にくれたんだ? 俺はそう聞いてみる。
「あう? ばあう?」
『ブオォォォ!!』
『えー、良いなぁ。俺も欲しいぞ!』
『僕も!!』
『ぼくも欲しい!!』
待って待って、今白いカウロウは何て言ったんだ? と、その前にみんな、僕の言ったこと伝えてくれ。今のは俺の声にただ反応して、鳴いただけなんだろう? 俺はみんなに俺の話しを伝えてくれって言った。
「あう、ばう!!」
『あれ? そういえば?』
『僕達伝えてないよね?』
『でもお返事?』
ん? お返事?
『グオォォォ!』
『へぇ、そんなんだ』
『前の僕達と同じだね』
『うん、同じ』
『ティニー、カウロウはティニーの話し、なんとなく分かるって』
『それから毛をくれたのは、会えて嬉しかったから毛をあげるって。あと、今度またゆっくり遊ぼうねだって』
『その時に、もう少し毛をくれる。そう言ってる』
ええ!? そんな事を言ってくれてたの? というか俺の言葉が通じてるって? それに、嬉しいなぁ。だけどいいよいいよ。そんな大切な毛なんだから。俺は今貰えたら分で十分だから。色々な事実が分かって、俺は考える事がいっぱいだ。
『俺も欲しいぞ』
『ねぇ、僕にもちょうだい』
『欲しい』
みんな、無理やり貰っちゃダメだって。ほら、俺のを分けよう! 俺がそうみんなに言う前に、みんなから欲しい欲しい言われた白いカウロウ。仕方がないなぁ、という顔をして下を向くと、またブチブチと音が。そして俺が貰った毛の半分くらいの毛を、みんなにくれたんだ。
『やったぁ!! ありがとう!!』
『ちゃんとみんなで分けるからね!! ありがとう!!』
『ありがと!!』
『グオォォォ』
「まったく、あなた達は。ティニーの家族だからって特別に頂いたんだから、大切にするのよ」
『『『はーい!!』』』
俺も急いでありがとうを言う。
「あうーっ!!」
そしてうちの精霊達がすまなかった。後できちんと言っておくから。白いカウロウは、俺がお礼を言うと、とっても嬉しそうな顔をして。俺の顔に鼻先をちょんと当てた後、乗って来たエルフの人と一緒に、エルフの里へ戻って行った。
後1回、ここまで他のエルフ達を運んでくるらしい。気をつけてな。敵がけっこう近づいて来ているみたいだから。色々が終わったら、約束通りゆっくり遊ぼうな。
白いカウロウを見送った俺達。するとちょうど前のエルフ達が進み始めて、俺達もそれに続いた。毛はすぐにレイナさんがカバンにしまってくれたよ。こんなバタバタしている中、なくしたり、風で飛ばされたら大変だからな。
前に進んでいくと、3人のエルフが立っていて、避難して来たエルフ達に、それぞれ場所を伝え。それに従って、避難して来たエルフはまた移動。みんな避難場での居る場所が決まっているらしい。
中はどうなっているんだろう? まだ扉を通っていないから中の様子が分からない。避難場所だからな、そんなに広くはないだろうし。もうかなりの人数が避難して来ているはずだから、ちゃんと場所を決めておかないと、全員が入れなくなると困るからな。
なんて考えているうちに、ようやく大きな扉を通った俺達。そこには俺の思っていたものと反対の景色が広がっていた。
台車の板を外して、大人はもちろんそのまま、小さな子は順番に大人しく立って、エルフ達に降ろしてもらっていく。俺は籠に戻されて、籠はアロイシアスが持ってくれて、先にレイナさんが。全体の1番最後に俺が荷台から降ろされた。
扉が開かれて、みんながその中へぞろぞろ入っていく。中から声が聞こえてきたけど、もうかなり集まっているみたいだ。俺達もみんなの後ろを付いて行こうとした。が、いきなりアロイシアスさんが止まって。
何かと思ったら、アロイシアスさんの洋服の肩部分を、白いカウロウが咥えて止めていた。
「何だ? どうかしたのか?」
『何だ何だ?』
『どうかしたの?』
『何かある?』
シャイン達が俺のお腹の上から飛んで、アロイシアスさんの咥えられている、洋服の肩の部分にへばり付いた。
『グオォォォ』
「何だ? くれるのか?」
『グオォォォ!!』
返事をする白いカウロウ。それから頭を下げて。下の方からガサゴソ音が聞こえる。それからブチブチッて音が聞こえると、白いカウロウが頭を上げた。するとその口には白い綺麗な毛が。そして白いカウロウは俺に顔を近づけて、咥えていた白い毛を俺の上に置いたんだ。
「あう?」
『グオォォォ!!』
「お前にこの毛をくれると」
ええ!? 白いカウロウのあんなに素晴らしい毛を俺に!? ブチブチッて、かなりの勢いでちぎっていたけど、ちぎった部分は大丈夫か? そこから毛が悪くなるとか、伸びなくなるとか。俺に毛をくれたせいで、そんなことになったら困るぞ?
「あら、ティニー、良かったわね。出会ってすぐの毛をもらえるなんて、なかなか貰えないのよ」
中に入る列が止まっている間に、説明してくれたレイナさん。カウロウは大切に思う相手に自分の毛を贈るらしい。オスのカウロウがメスのカウロウにって感じで。そしてカウロウは家族になると。夫婦ってことだな。
後は、夫婦になって子供が生まれると、自分達の毛を使って子供のために寝床を作ったり、子供の長い毛に自分達の毛を絡ませたり。この毛を絡ませる行為は、この子は自分達の子だ。手を出したら自分達が許さないって、相手へのに警告だって。
そしてカウロウは、家族以外にも自分が認めた者に、毛と贈ることがあるらしんだけど。でもこれは本当に珍しいことで、カウロウの一生で1度あるかないかってくらい、とっても珍しい事だった。
しかもカウロウの毛はほとんど抜けることがなく、抜け毛も見つけるのはほぼ困難で。もしもその毛が人間達や獣人達の街で売られる事があれば、かなりの高値で売買されるらしい。
この白いカウロウは、そんな大切な時に使う、素晴らしい毛を俺にくれたのか? しかも抜け毛さえないなんて、やっぱり途中から引きちぎったら、元の綺麗な毛に戻らないんじゃ。
慌てて聞いた俺。でも大丈夫だった。毛を切ると、その後はしっかりと元の長さまで、素晴らしい状態で生えてくるらしい。俺はホッとしてため息を吐いた。あ~、心配した。
ところで何で大切な人や家族、認めた者にしか渡さない毛を、俺にくれたんだ? 俺はそう聞いてみる。
「あう? ばあう?」
『ブオォォォ!!』
『えー、良いなぁ。俺も欲しいぞ!』
『僕も!!』
『ぼくも欲しい!!』
待って待って、今白いカウロウは何て言ったんだ? と、その前にみんな、僕の言ったこと伝えてくれ。今のは俺の声にただ反応して、鳴いただけなんだろう? 俺はみんなに俺の話しを伝えてくれって言った。
「あう、ばう!!」
『あれ? そういえば?』
『僕達伝えてないよね?』
『でもお返事?』
ん? お返事?
『グオォォォ!』
『へぇ、そんなんだ』
『前の僕達と同じだね』
『うん、同じ』
『ティニー、カウロウはティニーの話し、なんとなく分かるって』
『それから毛をくれたのは、会えて嬉しかったから毛をあげるって。あと、今度またゆっくり遊ぼうねだって』
『その時に、もう少し毛をくれる。そう言ってる』
ええ!? そんな事を言ってくれてたの? というか俺の言葉が通じてるって? それに、嬉しいなぁ。だけどいいよいいよ。そんな大切な毛なんだから。俺は今貰えたら分で十分だから。色々な事実が分かって、俺は考える事がいっぱいだ。
『俺も欲しいぞ』
『ねぇ、僕にもちょうだい』
『欲しい』
みんな、無理やり貰っちゃダメだって。ほら、俺のを分けよう! 俺がそうみんなに言う前に、みんなから欲しい欲しい言われた白いカウロウ。仕方がないなぁ、という顔をして下を向くと、またブチブチと音が。そして俺が貰った毛の半分くらいの毛を、みんなにくれたんだ。
『やったぁ!! ありがとう!!』
『ちゃんとみんなで分けるからね!! ありがとう!!』
『ありがと!!』
『グオォォォ』
「まったく、あなた達は。ティニーの家族だからって特別に頂いたんだから、大切にするのよ」
『『『はーい!!』』』
俺も急いでありがとうを言う。
「あうーっ!!」
そしてうちの精霊達がすまなかった。後できちんと言っておくから。白いカウロウは、俺がお礼を言うと、とっても嬉しそうな顔をして。俺の顔に鼻先をちょんと当てた後、乗って来たエルフの人と一緒に、エルフの里へ戻って行った。
後1回、ここまで他のエルフ達を運んでくるらしい。気をつけてな。敵がけっこう近づいて来ているみたいだから。色々が終わったら、約束通りゆっくり遊ぼうな。
白いカウロウを見送った俺達。するとちょうど前のエルフ達が進み始めて、俺達もそれに続いた。毛はすぐにレイナさんがカバンにしまってくれたよ。こんなバタバタしている中、なくしたり、風で飛ばされたら大変だからな。
前に進んでいくと、3人のエルフが立っていて、避難して来たエルフ達に、それぞれ場所を伝え。それに従って、避難して来たエルフはまた移動。みんな避難場での居る場所が決まっているらしい。
中はどうなっているんだろう? まだ扉を通っていないから中の様子が分からない。避難場所だからな、そんなに広くはないだろうし。もうかなりの人数が避難して来ているはずだから、ちゃんと場所を決めておかないと、全員が入れなくなると困るからな。
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