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45.白いカウロウ
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カウロウの走る速さに驚いているうちに、俺の前のエルフ達が乗った所で定員に。俺達は次のカウロウに乗る事になった。
俺達を運んでくれるカウロウは他のカウロウと少し色が違っていて。他のカウロウは、ほとんどが茶色か濃い茶色なんだけど、俺達のカウロウは真っ白だった。
「あうのぅ」
『うん、真っ白だね』
『時々白いカウロウが生まれるんだぞ』
『この前生まれたのは……いつ?』
「この前生まれたのは10年くらい前だったかしらね。時々白い子が生まれてくるの。他の子よりも力が強いのよ。でも変異種ではないの。変異種わかるかしらね。変異種っていうのは……」
レイナさんの変異種の説明は、俺の知っている変異種と同じだった。ある時突然、体に変化が起こって。見た目については変わることも変わらないこともある。だけど力は今までと全然変わって、かなり強くなるって。
だから敵対している魔獣が、変異種になって襲ってくると対処が大変だと。下手をしたら本来弱い魔獣でも変異することで、こちらにかなりの怪我人が出る時もあるらしい。
だけどそういった、途中から変化する変異種ではなく、生まれた時から違う魔獣達が。本来の目の色じゃなかったり、カウロウみたいに毛の色が違ったり。体のどこかが変化して生まれてくる魔獣達がいるんだって。
そういう魔獣達はとても珍しい存在で、とても美しい魔獣が多く。そのせいでそんな魔獣達を狙う不届者達が。エルフ達はできる限り、そういう魔獣達を保護しているらしい。
この白いロウカウも別の森で狙われているところを、ミルバーンが保護してくれたんだ。ミルバーン、ナイスだ!!
まったく、こんなに綺麗で、こんなに可愛いいカウロウを狙うなんて。どの世界にもバカな連中がいるもんだ。そんな奴ら、みんないなくなれば良いのに。
それで白いカウロウだけど、体は真っ白で、他のカウロウよりも力が強いと。他との違いはこの2つらしい。他は変わらないって。
話しを聞いているうちに、白いカウロウが俺達の前へ。そして荷台の板が外されると、先頭にいた俺達から荷台へ乗っていく。
先頭だったから、1番前の1番端っこに座った俺達。目の前には白いカウロウの大きな大きなお尻と、大きな体のわりに、小さめな可愛いしっぽが。
「あうぅ」
みんなが乗っている、この少しの間だけでも、ちょっと撫でさせてもらえないだろうか。俺はレイナさんに抱っこされたままだったから、その状態でなんとか手を伸ばしてみた。
『レイナママ、ティニー撫でたいって言ってるぞ』
『ちょっとだけって』
『ほんのちょっと』
「あら、そなの? でもねぇ。すぐに出発するし、そのまま握ったままになったら」
気を付けるから!! エルフの子達が俺の手を触った時みたいに、頑張って握らないようにするから!!
「あうあ~」
『お願いだって』
「触らせてやれば良い。途中で騒がれてもな。赤ん坊はすぐに泣く。そうなると面倒だ」
アロイシアスさん、そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、別に俺は泣かないぞ。
「でも」
「速くしないと出発してしまうぞ」
「分かったわ。ティニー、そっとよ」
「あうっ!!」
ありがとうございます!! レイナさんが俺が触りやすいように、俺を傾けてくれて。俺はドキドキしながらそっと。でもゆっくりしているうちに、出発するといけないからなるべく速く、白いカウロウを撫でた。
おおお! おおおおおっ!! とっても素晴らしい手触りだった。見た感じはけっこうゴワゴワしているのかと思った毛は、まったくそんな事はなく。サラッ! フワッ! もふっ!! って感じで。
今までも、この世にこんなに気持ち良いものがあるのかって、感動する物ばかりだったけど。今までの1番気持ちいいを更新したかもしれない。
「あ~う~、ば~ぶ~、あ~う~」
「何だって?」
『サラッ~、フワッ~、もふ~、って言ってるぞ』
「毛の感想か? で? 嬉しいのか嬉しくないのか」
『今のティニーの声は嬉しい声だよ』
『うん、とっても嬉しい時の声』
「そうか、嬉しいのなら良かった」
いやぁ、こんなに気持ちがいいなんて。オークの件がなければ、ゆっくり堪能したいところだよ。あ~、もう少し堪能したいけど、そろそろ終わらないとなぁ。もう半分くらい、荷台にみんなが乗ってきちゃったし。
そう考えていた時だった。白いカウロウが振り返って俺を見てきたんだ。それからブオォォォッ! って鳴いて。
『ティニー、カウロウが優しく撫でてくれてありがとう、って言ってるぞ』
『グオォォォ』
『それから、しっかり避難所まで運ぶからね、って』
『ブオォォォ』
『ボク、とっても速く走っちゃうよ! その間景色を楽しんで、そう言った』
おおお!! ありがとうって言ってもらえたぞ!! 俺は最後にそっと撫でて手を離し、できる限りで白いカウロウに手を振った。もちろんもしっかりとお礼も言ったぞ。
「あうっ!!」
俺の声に答えるように鳴いた白いカウロウ。その間に俺達の乗っている荷車は定員がいっぱいに。板がしっかりと閉められて、白いカウロウと荷車に結界が張られる。
と、その時だった。少し遠いところで、小さいけれど爆発音はが聞こえて。そっちを見れば白い煙が上がっていた。
「あそこまで来たな」
「まだ大丈夫ね。でも気をつけないと」
今、煙が見えている所まで、オーク達が来たって事か? あれはオークの攻撃による煙なのか、それともミルバーン立野攻撃による煙なのか。ミルバーン、怪我をしていないと良いけど。
「よし、結界は張り終わった!!」
「分かった!!」
白いカウロウに乗っているエルフが、踵で白いカウロウの背中を軽く蹴った。
『グオォォォッ!!』
『行くよ、ティニー!! って言ってるぞ』
あれ? 俺の名前何で知ってるんだ? みんなが話しているのを聞いていたのか?
「さぁ、ティニー、出発よ」
そうレイナさんが言い終わった瞬間だった。他のカウロウ同様、徐々に速くなっていくんじゃなくて、最初からビュンッ!! と白いカウロウが走り始めた。
俺達を運んでくれるカウロウは他のカウロウと少し色が違っていて。他のカウロウは、ほとんどが茶色か濃い茶色なんだけど、俺達のカウロウは真っ白だった。
「あうのぅ」
『うん、真っ白だね』
『時々白いカウロウが生まれるんだぞ』
『この前生まれたのは……いつ?』
「この前生まれたのは10年くらい前だったかしらね。時々白い子が生まれてくるの。他の子よりも力が強いのよ。でも変異種ではないの。変異種わかるかしらね。変異種っていうのは……」
レイナさんの変異種の説明は、俺の知っている変異種と同じだった。ある時突然、体に変化が起こって。見た目については変わることも変わらないこともある。だけど力は今までと全然変わって、かなり強くなるって。
だから敵対している魔獣が、変異種になって襲ってくると対処が大変だと。下手をしたら本来弱い魔獣でも変異することで、こちらにかなりの怪我人が出る時もあるらしい。
だけどそういった、途中から変化する変異種ではなく、生まれた時から違う魔獣達が。本来の目の色じゃなかったり、カウロウみたいに毛の色が違ったり。体のどこかが変化して生まれてくる魔獣達がいるんだって。
そういう魔獣達はとても珍しい存在で、とても美しい魔獣が多く。そのせいでそんな魔獣達を狙う不届者達が。エルフ達はできる限り、そういう魔獣達を保護しているらしい。
この白いロウカウも別の森で狙われているところを、ミルバーンが保護してくれたんだ。ミルバーン、ナイスだ!!
まったく、こんなに綺麗で、こんなに可愛いいカウロウを狙うなんて。どの世界にもバカな連中がいるもんだ。そんな奴ら、みんないなくなれば良いのに。
それで白いカウロウだけど、体は真っ白で、他のカウロウよりも力が強いと。他との違いはこの2つらしい。他は変わらないって。
話しを聞いているうちに、白いカウロウが俺達の前へ。そして荷台の板が外されると、先頭にいた俺達から荷台へ乗っていく。
先頭だったから、1番前の1番端っこに座った俺達。目の前には白いカウロウの大きな大きなお尻と、大きな体のわりに、小さめな可愛いしっぽが。
「あうぅ」
みんなが乗っている、この少しの間だけでも、ちょっと撫でさせてもらえないだろうか。俺はレイナさんに抱っこされたままだったから、その状態でなんとか手を伸ばしてみた。
『レイナママ、ティニー撫でたいって言ってるぞ』
『ちょっとだけって』
『ほんのちょっと』
「あら、そなの? でもねぇ。すぐに出発するし、そのまま握ったままになったら」
気を付けるから!! エルフの子達が俺の手を触った時みたいに、頑張って握らないようにするから!!
「あうあ~」
『お願いだって』
「触らせてやれば良い。途中で騒がれてもな。赤ん坊はすぐに泣く。そうなると面倒だ」
アロイシアスさん、そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、別に俺は泣かないぞ。
「でも」
「速くしないと出発してしまうぞ」
「分かったわ。ティニー、そっとよ」
「あうっ!!」
ありがとうございます!! レイナさんが俺が触りやすいように、俺を傾けてくれて。俺はドキドキしながらそっと。でもゆっくりしているうちに、出発するといけないからなるべく速く、白いカウロウを撫でた。
おおお! おおおおおっ!! とっても素晴らしい手触りだった。見た感じはけっこうゴワゴワしているのかと思った毛は、まったくそんな事はなく。サラッ! フワッ! もふっ!! って感じで。
今までも、この世にこんなに気持ち良いものがあるのかって、感動する物ばかりだったけど。今までの1番気持ちいいを更新したかもしれない。
「あ~う~、ば~ぶ~、あ~う~」
「何だって?」
『サラッ~、フワッ~、もふ~、って言ってるぞ』
「毛の感想か? で? 嬉しいのか嬉しくないのか」
『今のティニーの声は嬉しい声だよ』
『うん、とっても嬉しい時の声』
「そうか、嬉しいのなら良かった」
いやぁ、こんなに気持ちがいいなんて。オークの件がなければ、ゆっくり堪能したいところだよ。あ~、もう少し堪能したいけど、そろそろ終わらないとなぁ。もう半分くらい、荷台にみんなが乗ってきちゃったし。
そう考えていた時だった。白いカウロウが振り返って俺を見てきたんだ。それからブオォォォッ! って鳴いて。
『ティニー、カウロウが優しく撫でてくれてありがとう、って言ってるぞ』
『グオォォォ』
『それから、しっかり避難所まで運ぶからね、って』
『ブオォォォ』
『ボク、とっても速く走っちゃうよ! その間景色を楽しんで、そう言った』
おおお!! ありがとうって言ってもらえたぞ!! 俺は最後にそっと撫でて手を離し、できる限りで白いカウロウに手を振った。もちろんもしっかりとお礼も言ったぞ。
「あうっ!!」
俺の声に答えるように鳴いた白いカウロウ。その間に俺達の乗っている荷車は定員がいっぱいに。板がしっかりと閉められて、白いカウロウと荷車に結界が張られる。
と、その時だった。少し遠いところで、小さいけれど爆発音はが聞こえて。そっちを見れば白い煙が上がっていた。
「あそこまで来たな」
「まだ大丈夫ね。でも気をつけないと」
今、煙が見えている所まで、オーク達が来たって事か? あれはオークの攻撃による煙なのか、それともミルバーン立野攻撃による煙なのか。ミルバーン、怪我をしていないと良いけど。
「よし、結界は張り終わった!!」
「分かった!!」
白いカウロウに乗っているエルフが、踵で白いカウロウの背中を軽く蹴った。
『グオォォォッ!!』
『行くよ、ティニー!! って言ってるぞ』
あれ? 俺の名前何で知ってるんだ? みんなが話しているのを聞いていたのか?
「さぁ、ティニー、出発よ」
そうレイナさんが言い終わった瞬間だった。他のカウロウ同様、徐々に速くなっていくんじゃなくて、最初からビュンッ!! と白いカウロウが走り始めた。
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