異世界で新生活〜スローライフ?は精霊と本当は優しいエルフと共に〜

ありぽん

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42.まさかの早すぎる避難?

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 ミルバーンが戦いに向かって、レイナさんはいつも通りの生活に。俺達もミルバーンの話しをしてから、いつも通りの生活に戻って。夕方までは特にかわったことはなく、平和に時間は過ぎていった。

 ただ時々、外がざわつく事が。定期的にって感じかな。それで今もざわついたから、シャイン達に様子を見てもらう事に。ちなみに今レイナさんは洗濯物を畳んでいて忙しい。

「あうぅ、ばぁぶぅ?」

 みんな、どんな感じだ? って聞く俺。

『武器を持ったエルフが並んで歩いてるぞ』

『それで時々会うエルフに何か聞いてる』

『それからキョロキョロ』

 キョロキョロ? 

『俺、ちょっと見てくるぞ!!』

『僕も!!』

『ぼくはここから見る』

 ラピーだけ残し、シャインとフラフィーが窓から飛んでいった。ラピーはその場でジャンプをしながら、外の様子を引き続き見ている。あ、今のラピーに羽は生えていない。必要になったら羽を出すけど、今はゴロゴロが優先で消したんだ。

 ラピーは普段も動きがゆっくりだからな。それにマイペースだから、時々シャインやフラフィーに怒られるけど。ただ、戦っている時のラピーは素早いし、俺を運んだ時も早かったから、見た目に騙されるとダメだ。

『う~ん、変わらない』

 そう言いながら、シャイン達が居ないから、どうやって窓から降りようか考えるラピー。羽を出すか、この前のゴブリンの時の様に、飛べば良いのにと思ったが。
 ラピーは考えた結果、そのまま転がり落ちて戻って来ることにしたらしい。結構な勢いで下に落下して、そのままゆっくり進みながら、最後は俺の入っている籠を登って戻ってきた。

『何も変わんらない。同じ。そのまま歩いて行っちゃった。シャイン達、もう戻ってくる』

 そうラピーが言った数秒後、シャイン達が戻ってきた。

『見回りだって』

『聞いてたのは。何か変な事は起きていないかとか、必要な物はすべて揃えたかとか。確認してたよ』

「今は見回りの時間なのよ」

 話していると洗濯物を畳み終えたレイナさんが、俺を迎えに来た。これから俺の、夜のミルクの時間だ。

「今はオーク達がこっちに進んでいるでしょう? まだ大丈夫だけど、でもおかしな事、たとえば別の敵が里の近づいているとか、壁のどこかに穴が空いている場所を見つけたとか。よくない事が起きているかもしれないでしょう? だからそういうことがあれば、武器を持っているエルフ達に言うのよ。そうしたら対処してもらえるの」

 なるほど、見回りか。シャイン達によると30人くらいが歩いていたらしい。そういえば、この里にはどれだけのエルフが住んでいるんだろう? 俺がここへ来た時にチラッと見ただけでも、かなり居たように感じたけど。

「さぁ、何があるか分からないから、ミルクを飲んでしまいましょう。そうしたら私もご飯を食べてしまうは」

 すぐにミルクを飲ませてもらった俺。俺の隣でシャイン達も、木の実を食べたり果物を食べたり。俺達の食事が終われば、言っていた通りレイナさんがご飯を食べて。

 まさかこのご飯が、今回のオーク事件での、ゆっくりご飯のなるなんて思ってもみなかった。

 ミルクをいっぱい飲んで眠くなった俺は、俺達の部屋へは行かずに、レイナさんの側で寝る事に。何かあった時にすぐに避難できるようにらしい。
 わざわざバラバラの場所に居て、レイナさんが俺達を迎えに来て、なんてやっている時間があれば。一緒に居てさっさと避難した方が、時間がもったいなくてないもんな。

 それに避難なら良いけど。いや、それも良くないんだけど。もしも目の前にオーク達が迫っていて、急に攻撃されたら? ほら、オーク達は急に現れたって。だからそれと同じ様に、突然近くに現れて攻撃されたら。やっぱりすぐに逃げるために側にいた方が良いだろう。

「おやすみなさい。ゆっくり休んでね」

 レイナさんの優しい声を聞きながら、眠りについた俺。どれだけ寝ていたのか。もしかしたらそんなに寝ていなかったかもしれないが。俺はふと目を開けた。するとシャイン達が俺のお腹の上で、厳しい顔をしていて。

 周りを確認する俺。さっき寝た時はソファーで寝ていたはずだが、同じ景色じゃない。ここは……、玄関か?

「あら、起こしちゃったわね」

『あっ!! ティニー起きたか!?』

『レイナさんが揺らさずに動かしてくれたけど、やっぱり起きちゃった』

『外、煩い。しょうがない』

 ん? 揺らさずに? それに煩いって、確かに外が騒がしいような?

『これからみんなで避難するんだぞ』

『まずは小さい子達からだって』

『だからティニーも避難。ぼく達も避難、レイナママも避難』

 レイナさん俺の世話をしてくれているから、みんなからレイナママって呼ばれるようになっちゃったよ。まだお子さん居ないのに。と、それは今は置いておいて。

 何だって? 避難? だってオーク達が行進を始めたのは、お昼と夕方の間位で。オーク達が現れた場所はかなり離れた場所だったんだろう? もう里の近くまで来ちゃったのか? それともやっぱり、突然近くに現れたとか?

「話しは後でしましょうね。今は避難をしないと。さぁ、行きましょう」

 自分のマジックバックと俺のマジックバックを持ったレイナさんが、しっかりと俺にタオルをかけ直すと、お腹にシャイン達が座り直して。そうして俺達は外へ出た。

 家の中でも結構騒がしい声や音が聞こえていたけど、外へ出たらその比じゃなく、凄い騒ぎだった。それから武器を持っているエルフ達が、他のエルフ達を先導していて。子供と親だろう、手を繋いで歩いている。

 でも別に、泣いている人が居るとか、慌てている人がいるから、とかで騒がしいんじゃなかった。

 あっちへそっとへと誘導するエルフ達と、ママ、あっちだって! 今日はどっちに避難かな? ほら、話さないで歩きなさい。バックは持ってあげるから、しっかり歩いて、なんて。ただ単にみんなが一斉に話しているから、騒がしいだけだった。

 うん、避難の時に慌てるのはダメだもんな。ゆっくりとでも素早く慌てずに。なるべく話しをしないで、が大事だからな。と、そんな事を考えていると、誰かが話しかけてきた。
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