異世界で新生活〜スローライフ?は精霊と本当は優しいエルフと共に〜

ありぽん

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36.それぞれの想いと動き(***視点)

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『それぞれ動いているようだな』

『はっ、そのようで』

『こちらの準備はどうだ? もし奴らが動き出した場合、すぐに動けるか?』

『ああ、大丈夫だ。すぐにでも動ける』

『あの子はどうしている?』

『さっき様子を見に行ったら、元気に他の子供と戦う真似をしていたぞ。まぁ、蹴り上げた瞬間に、皆で後ろに転がっていたがな』

『ふっ、まぁ、そうだろうな。まだあれ程小さければそうなるだろう』

『体に対して、足がまだ小さいですからね。特にあのお方は更に小さい』

『だが、あの子が無事の大きくなれば、そしてあの突然現れた、あの素晴らしき人間と共に育つ事ができれば。きっと我々の群れは、更に長い時代を生きていく事ができるだろう。それも素晴らしいリーダーの元で』

『そうだな。それには奴らに、あの人間を奪われないようにしないとな』

『どこから嗅ぎつけて来たのか。しかも突然現れた。こんな事が今までにあったか?』

『いいえ。前回の時も南の方から、徐々に移動してくるのを感じておりました。今回のように突然現れるようなことは』

『どうにも嫌な予感がして仕方がない。その嫌な予感があの素晴らしい人間と、息子に向いてしまったら……。そうならないよう、しっかりっと対応するぞ』

『『ハッ!!』』

『ブッカー様、オルボーン様が』

『来たか。私が奴と話している間、ここは任せるぞ』

 我はすぐに場所を移動する。オーク供が現れて、すぐにその目的に気づいた我らは、奴らが止まっているうちに、戦闘態勢を整えた。そんな我らと同じように、森の至る所で我らと同じような動きをとる者達が。

 おそらく我らと同じ考えなのだろう。奴らが動いた場合、すぐにでも奴らを全て消す事ができれば良いが。もしも森を進まれてしまった場合は、なるべく早くそれを止めるためにも、戦闘体態勢を整えなければ。

 それと我らとは別に、奴らの侵攻に乗じて、攻撃を仕掛けようとしている者達も動き出した。が、もちろんそちらの対策も万全だ。だが、今我を訪ねて来た者と、共に戦う事ができれば、更に作戦は完璧なものに。

 訪ねて来た者が待っている場所へ着けば、奴もしっかりと、すぐに戦える状態まで、体の中に力を溜め込んでいた。

『久しぶりだなオルボーン、本当は会いに行くつもりだったが。こちらも忙しくてな』

『そうだろうな。ちょうど今、子育てで1番忙しい時期だろう? パパ、パパと、後ろをついて歩いているんじゃないのか?』

『ふっ、まぁな』

『俺も方もな。そろそろ出産なんだが、まさかこんな事になるとは。まったく迷惑な』

『エルマはどうしている?』

『少し後ろへ下がらせた。何が起こるか分からないからな』

『その方が良いだろう』

『それで、早速だが。これからの事について話し合っておこう』

 我らはその後、今回のオーク達にどう対処するかを話しあった。我らや他の種族の者達皆で、オーク達を相手にすれば、おそらく問題はないだろう。だが、少し気になる事もあったのだ。

 オークジェネラルの中に、明らかに他のオークジェネラルと違う1匹が混ざっていて。その者の力がどれ程のものなのか分からないのだ。 
 確かな事といえば、その1匹は、最低でも他のオークジェネラルの3倍の力を持っているという事で。だが、それの上限がわからない。

 我々は相手がどれ程の力を持っているか、ほぼ知る事ができる。そのおかげでその相手と向かい合う時に、しっかりと対策が取れるのだ。

 しかし問題のオークジェネラルは。上限がぼやけてしまっているというのか、まったく上限が分からず。
 そのまま感じている通り、他のオークジェネラルの3倍の力を持っているオークジェネラルであるならば。奴らが動き出した時、全力で倒しに行けば良いだけだが。

 もしそれ以上に、我々が相手をするのが大変な程の力を持っていたら? その場合は動きが変わってくる。

 それをオルボーンも分かっているから、我と話し合いをするためにここへ来たのだ。オルボーンはいくつか、他の種族からも伝言を受け取っており、それも踏まえて話しを進めた。やはり皆、あの素晴らしい人間を守ろうと、皆集結しているようだ。

 それから少しの間話し合いは続き、大体の事を決める事ができた。これならば大丈夫だと思うが、やはり後はあのオークジェネラルが問題だな。

『よし、とりあえずはこれで行こう』

『ああ』

『じゃあ最後に、もしもの場合だが。おそらくあの素晴らしい人間は、エルフが守るだろうし、アイラがついているからな。大丈夫だとは思うが。もしもの場合が起きた時はどうする』

『その場合は我が息子と、あの素晴らしい人間を連れて、ここから離れる。そしてあの場所へ。あそこには我の知り合いがいるからな』

『そうか。まぁ、あの素晴らしい人間を、気に入っている者達ばかりだからな。文句は出るかもしれんが、それが1番良いだろう』

『避難をしても、ここが落ち着けばすぐに戻ってくる』

『ああ、そうしてくれ。他に逃げ、その逃げた場所に住んでいる者達もが、俺達のように惹かれてしまっては面倒だからな。まだ惹かれるものが多くならないうちに、側に置いてもらえるようにしなければ』

『まったくだ』

『よし、俺はそろそろ戻るぞ。奴らもざわついて来ているし。もしかしたらもうすぐかもしれないな』

『ああ、気をつけろよ』

『そっちもな』

 こうしてオルボーンは自分の群れに帰っていき、我も元の位置へ。話し合いの最中から、オーク達がざわつき始めた。そのまままた再び静かになり、この森から出て行ってくれれば……。まぁ、そうはならないだろう。

 息子とあの素晴らしい人間を守るために、我らにできる事をやろう。それにはまず奴らをしっかりと消さなければ。

 そうだな。もし戦う事になり、奴らをしっかりと倒す事ができたら、あの素晴らしい人間に、奴らの頭でも届けるか。うむ、それが良い!! 
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